HHKB英語配列の余談
HHKBの英語配列を使うときの大きな障壁といえば
日本語入力切替をどうするか
矢印キーをどうするか
です。実際、私もこの2つをどうするかで非常に悩みましたし、今も絶賛悩んでいます。
日本語入力のやり方については他ページにあるので良かったらどうぞ。→ 英語配列で日本語入力をどうするかの話
今回は矢印キーの方に関わる雑談。
HHKBの英語配列というのは、ある意味では、HHKBの設計思想を味わうためのものだと思っています。現代のPC環境において、HHKBが持つ哲学…突き詰めたUNIX由来の合理性というのは、強みだけでなく弱みも持ち得ます。
詰まるところ、HHKB英語配列を買ったとしても、あなたの生産性が上がるかどうかはわかりません。まぁ、ターミナルしか使わないなら、上がるとは思いますが。
今はHHKBはコンパクトキーボードの代表格として、なんかFnキーとの組み合わせを駆使して使うキーボードだよね、とイメージしている方が多いと思います。
実際それは正しいです。コンパクトタイプゆえにそもそもキー数が少ない上、さらに英語配列においては矢印キーもありません。レイヤー機能を使わないと足りないキーが多すぎます。
それはさておき、私は、HHKB英語配列の真価というのはAの左隣に配置されたControlにあると思っています。
Fnキーでなんとかするというよりは、圧倒的にアクセスしやすいControlキーとの組み合わせで色々やってね、という設計思想を感じます。
Fnを多用するキーボード、というよりは、Controlを多用するためのキーボード、という印象です。
実際、ターミナル操作など、Emacs系のキーバインドを使う場面ではこのControlによって圧倒的に操作しやすくなります。一度慣れたら左下Controlには戻れません。Control+Tとかストレッチしすぎて打ちたいとも思わなくなるでしょう…w
実のところ、カーソル移動も、Fnとの組み合わせで矢印キーを使うのではなく、Control+FとかBとか使うほうが、このキーボードにとっての最適解なんだと思います。
逆に言えば、Fnで色々な操作をする、というのは、Controlとの組み合わせに最適化されたHHKBの設計思想から考えれば、そもそもが苦肉の策なわけです。
とはいえ現実的には、矢印キーとIME切替の方法に関しては、四苦八苦、いろいろなソリューションを考えるわけですが。
HHKB、特に英語配列は「レイヤー操作に最適化されているわけではない」と感じます。Fnレイヤーは用意されているけど、それがこのキーボードのアピールポイントではない、と。
そもそもFn操作をメインに据えるなら、左側にもFnをおいて欲しいものです。左Fnが欲しい人は、左のAltやCommandを潰さなければなりません。HHKB Lite2にはあったようですが、なんでなくしちゃったのだろう。
あと、複数のレイヤー設定もあるべき。Studioでは実装されましたが、Professionalでそれをやらないのは、開発初期からのHHKBの設計思想を、できる限りそのまま受け継いでいるからなんだと思います。
おなじみReturnキーの下にあるFnについても、多用されるキーにしては小さい。というか、そもそもホームポジションから打てません。ホームポジションを崩さない、効率的なタイピングを追求するなら、元からホームポジションで押せる位置に用意されるべきです。やっぱり、ControlやAlt(Meta)キーでなんとかならなかった際のセカンドオピニオンとして使う想定なんだと思います。それならいっそホームポジションを崩しても問題ありませんし。
そういえば、右のFnって位置変えられないんですよね。別に変えられるようにしても良いのでは…と思いますが。
Macなら、普通にテキスト編集している際にControl+FなどのEmacsキーバインドが使えるのですが、Windowsだと特殊な設定をしないとできないので、少し相性が悪いです。
あと、現代のOSやアプリでは、結局矢印キーを使わないと不便なことも多いです。Emacsのキーバインドが使えたとしても「矢印キー的な操作」ではありません。このあたりの折り合いが、今のPC環境とHHKBの特徴が合わないポイントだと思っています。
これはただの要望ですが、「なんだかんだ矢印は使わないといけない」現代のOSとアプリにマッチするソリューションとして、HHKB側にもさらなる拡張性が望まれますね。そしてそれらの大部分を解決するのが、矢印キーと左Fn。
幸いなことに日本語配列にはこれらのキーが存在します。これらのキーの搭載はは必然だったのかもしれません。
とはいえ、できればUS配列でも欲しいですね…
それか、日本語配列のEnterと}の部分をUS化したキーボードまたはキーキャップとか?
日本語配列はキーの数が多いのでカスタムの幅が英語配列より柔軟です。OS側でANSI配列として認識させることで記号配置は準拠で使えますし。個人的にはEnterが遠いくらいしかデメリットがありません。同じことを思っている人も多いと思いますし、何らかのソリューションがあってもいいと思います。
ちなみに、もう一つ特徴的なポイントとして、Backspaceの配置と記号配置も一般的なUS配列キーボードとは異なります。これもかなりクセの強いポイントです。これも開発当初からの設計思想の一つであり今も変わっていないポイントです。この辺の合理性というか、右手小指あたりの設計哲学は他に見られない、いい味してます。
まぁこのReturnの上のDeleteキーは、一度慣れたら最後、他のキーボードで誤爆しまくるんですが…
もっとも、今やControlをAの左に配置するキーボードは他にもありますし、CapsLockになっていても、DIPスイッチやアプリから簡単に切り替えられる製品も多いです。OS側からも入れ替えられますし。
HHKBでなくても、このControlの合理性を体感できるようになってきました。他の製品は記号の部分は標準的ですし、HHKBより格段に挑戦しやすいと思います。
ある設計思想を忠実に体現した製品は、結果的に、大きく尖ったクセのある製品になったとしても、ファンが根強く付くものです。私もその一員で、このキーボードは非常に気に入っているので、これからも末永く残っていてほしいなぁと思っています。
最後に私の完全に個人的な要望、というか「こうだったらなぁ」を書き連ねておきます
英語配列のスペースバー小さくして両隣にFn的なキー欲しい
QMKのLT()のように、単押しと長押しの挙動を変えられたら嬉しい
HHKB Professional用のキーマップソフトだと、単押しの挙動しか制御できません。
これってHHKB Studioだとできたりするんですかね?
とはいえ、これらがなくてもHHKBは既にHHKBとして完成していますし、これらの要望の行き先は自作キーボードになるかと。
ちなみにこの記事はHHKB英語配列で書きました。
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