00107 - クッキングと料理の違いとは?
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クッキング(cooking)と料理は違うと言うと驚かれる方が多い。しかしながら、西洋料理や中国料理と日本料理との違いは、まさに言葉の持つ本来の語源に起源があるのである。Cookの語源は、印欧祖語まで遡りると、"pekw"になり、この単語は熱により変わる、時間が経って熟するという意味を持つ。同様に中国語の料理とは、「烹飪」と書き、煮ることを示している。 たとえば、サンドイッチを作ったと書く場合には、"I cooked sandwich."は間違いであり、"I made sandwich."が正解である。加熱する場合にはcookを、加熱しない場合にはmakeを使う。但し、スープはmakeも使うが。
これに対して、料理は、ことわり(理)をはか(料)るのである。魯山人も、言及しているように、言葉通りに料理は合理的でなければならず、「ものを合理的に処理する」ことが料理であり、政治を料理するなどの使い方は出来るが、決して、I cook politicsとは言えないのである。 英国滞在時に、家の近くにFat Duckという三つ星レストランがあったが、シェフのヘストンは、日本料理に特別の敬意を表わしていた。すなわち、料理は合理的に処理することが一番重要であると理解し、分子ガストロミーを打ち立てた。すなわち、物理・化学的に料理を解明するというものである。旨味が、Umamiになったこと自体が必然なのである。もうすぐ閉店してしまうデンマークのNomaの閉店後は、シェフ達が研究所を立ち上げることを聞いている。 シェフ達は料理の美味しさの追求のために分子レベルでの材料の検討を始めているが、我々は食べ物が、どのように体内に取り入れられて組織を作っているのか、また、材料組成の違いにより、どのように機能するのかの研究を始めている。すなわち、新しい形での医食同源こそが、これから必要となるのである。