短歌を詠む
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君が手を添えて教えてくれたのを割るたび思い出す生卵
物理なら教えようかと言う君に少し傾く心のベクトル
あなたへの手紙に嘘が一つだけ「忘れてくれて構わないです」
手作りのスイーツよりも映り込むあなたの長い指に釘付け
その他
その他のお題
言葉
人間は言葉がないと伝わらない頭ばかりが大きいせいだ
言葉だけで死んでしまう生き物はきっと地球で一番弱い
小説の登場人物が詠んだという設定の歌
風ぬるく頬を撫でれば思い出す繰り返し来る桃の季節を
夏風に叫んだ声は掻き消えて蝉の死骸に僕を重ねる
手触りをあなたの肌と重ねつつページを捲る白紙のノート
温もりの残るあなたのマグカップ親指でなぞる唇の跡
次は指よりもあなたの唇を残してほしいカップのふちに
コーヒーを啜るあなたの唇が僕の唇の跡と重なる
紅色の唇開き頬染めてあなたの熱に僕は蕩ける
あなたに貪り尽くされたい僕は寂しく熟れたただの桃です
種も皮も残すことなく味わおうあなたという名の熟れた桃を
完熟の桃の甘さをもう一度教えてほしい月曜の朝
桃喰みて初めて知った真実の愛よりほかは何もいらない
浜辺
水底の丸いガラスになれたならあなたに拾ってもらえるのに
厄年
何もかも君のせいだと言われてる厄年くんはきっと泣いてる
炎
望んでた炎のような生き方をできないままに燃えカスになる
湯船
ぬるま湯に浸かってうつらうつらして天国に行きかけてる私
特急
特急券がいるくらいの遠い場所じゃないと二人きりになれない
しずく
幾千の月の雫が零れ落ち冬の夜空が満たされていく
単語で短歌
ヨーグルト
フローズンヨーグルト初体験で「このアイス酸っぱい腐ってる」
元カレ
指輪など買ってくれない人だったそれで良かったと今は思う
駐車場
駐車場バックで停める手の仕草だいたいカッコよさ2割増
弁当
白米と冷食と母の愛情で勝利の弁当方程式
アイス
ポトリ落ち溶けたアイスに群がったアリを見下ろす巨人の私
シュレッダー
シュレッダーにかけた君の思い出をツギハギできる日はまだ来ない
財布
君がくれたハンドバッグに合わせた小さな財布だけが残った
たんこぶ
あちこちにぶつけたんこぶ作ってさ僕ら大人になっていくんだ
磁石
お互いのこと知り過ぎて同極になってしまったあなたと私
折り鶴
メルカリで売買される折り鶴に祈りの意味があるのだろうか
Tシャツ
この夏はハーフパンツとTシャツが正装になる海岸通り
スペイン
初めての揚げたてチュロスの包み紙捨てられないの君がいたから
ドイツ
ドイツ館ホットドッグの記憶だけ隣に君がいたはずなのに