大衆に迎合した表現がいかにリアリティーを失うのか
宇川 ECDさんは「MASS 対 CORE」という曲で、大衆に迎合した表現がいかにリアリティーを失うのかを、1995年に言及していますよね。セルアウトという言葉が一般にまで降り始めたのもこの時期です。マスメディアは読んで字のごとく、受け手が大衆で、売り上げ至上主義です。つまりマスに関わるプロジェクトは、人気を製造せねばならない。人気の正体というのは、結局は「人の気」であり、移ろいやすいものです。それが集まる場所が栄えているように見えますが、この場所は消費と表裏一体なので、製造した人気で「人の気」を集め続けるには、膨大なコストがかかる。なので、表現にとって人気の集合だけにとらわれるのは大問題なのです。