数理論理学(鹿島亮)5
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自然演繹の完全性を証明する章
極大無矛盾集合を用いた証明をする
定理5.1.1 完全性定理
閉論理式の任意の集合Γ(有限集合でも無限集合でも良い)
任意の閉論理式φ
Γ ⊨ φ ならば Γ ⊢ φ
特にΓが空集合の場合は「φが恒真ならば仮定なしにφを導出することができる」になる
注釈
Γ ⊨ φ ⇔ Γ ⊢ φ
のことを完全性定理という場合もある
Γが有限集合の場合を完全性定理といい、Γが無限集合である場合も含める強い主張のことを強完全性定理ということもある
定義5.1.2 (矛盾・無矛盾) inconsistent
Γは任意の論理式の集合(有限集合でも無限集合でも良い)
Γ ⊢ ⊥であることを「Γは矛盾するという」
そうでないこと(すなわちΓ ⊬ ⊥であること)を「Γは無矛盾である」という
矛盾する集合の例
{φ∧ψ, ¬φ}
{φ, ψ, ¬(φ∧ψ)}
{∀xφ, ¬φ[t/x]}
{¬∀xφ, ¬∃x¬φ}
これ難しい……
ドモルガンの法則だと思うけれど
教科書書いてあるじゃん!
命題論理のも合わせて、証明の方法がぱっと浮かばないので、暇な時にやりたい
矛盾する導出図を書く
補題5.1.3
論理式の集合Γに関して、以下の3条件は同値である
a Γは矛盾する
b どんな論理式φについてもΓ⊢φ
c ある論理式φが存在して、Γ⊢φかつΓ⊢¬φ
証明5.1.3
a ⇒ b
自然演繹に矛盾規則があることからいえる
詳しく一応書いてみる
Γは矛盾するとはΓ⊢⊥のことであった
Γ⊢⊥とは、
Γのある有限部分集合Γ'が存在して、「解消されていない仮定の集合がΓ'で、結論が⊥の導出図が存在すること」
そのような導出図において、矛盾規則を適用することで⊥からφが導ける
b ⇒ c
明らかである
詳しく一応書いてみる
どんな論理式φについてもΓ⊢φであるから
Γ⊢φもΓ⊢¬φも導ける
c ⇒ a
¬除去規則があることからいえる
詳しく一応書いてみる
ある論理式φが存在して、Γ⊢φ
Γのある有限部分集合Γ'が存在して、「解消されていない仮定の集合がΓ'で、結論がφの導出図が存在すること」
ある論理式φが存在して、Γ⊢¬φ
Γのある有限部分集合Γ''が存在して、「解消されていない仮定の集合がΓ''で、結論が¬φの導出図が存在すること」
二つの導出図をくっつけて、¬除去規則を適用することで⊥を導くことができる
このとき Γ⊢⊥となる
Γ', Γ''はΓの有限部分集合であるので、その和集合Γ'∪Γ''もΓの有限部分集合
なので、Γ'∪Γ'はΓの有限部分集合であり、解消されていない仮定の集合がΓ'∪Γ'で、結論が¬φの導出図が存在している
よってΓは矛盾する
補題5.1.4
論理式の集合Γと任意の論理式φに対して以下が成り立つ
1 Γ∪{φ}は矛盾する ⇔ Γ⊢¬φ
2 Γ∪{¬φ}は矛盾する ⇔ Γ⊢φ
証明5.1.4
1⇒
Γ∪{φ}⊢⊥とする
⊥を導く導出図において、
解消されていない仮定にφが存在する場合
¬導入規則を適用することで、φが仮定から解消され、¬φが得られる
よってΓ⊢¬φ がいえる
解消されていない仮定にφが存在しない場合
爆発律を適用することで Γ⊢¬φ がいえる
1⇐
Γ⊢¬φとする
仮定φと、¬除去規則からΓ∪{φ}⊢⊥がいえる
2⇒
Γ∪{¬φ}⊢⊥とする
⊥を導く導出図において、
解消されていない仮定に¬φが存在する場合
背理法を適用することで、¬φが仮定から解消され、φが得られる
よってΓ⊢φ がいえる
解消されていない仮定に¬φが存在しない場合
爆発律を適用することで Γ⊢¬φ がいえる
2⇐
Γ⊢φとする
仮定¬φと、¬除去規則からΓ∪{¬φ}⊢⊥がいえる
補題5.1.5
Γは論理式の任意の集合
φは任意の論理式
Γ∪{φ}、Γ∪{¬φ}の両方が矛盾するならば、Γも矛盾する
証明5.1.5
この両方が矛盾するならば、補題5.1.4(1⇒ 2⇒)より
Γ⊢¬φ かつ Γ⊢φ
補題5.1.3より、Γは矛盾する
補題5.1.6
記号
Γは論理式の任意の集合
φは任意の論理式
x,yは任意の変数記号
主張
Γ∪{∃xφ}が無矛盾で、yがΓにも∃xφにも現れないならば、Γ∪{∃xφ, φ[y/x]}も無矛盾である
気になったこと
yがΓか∃xφにも現れるとき、Γ∪{∃xφ}が無矛盾でも、Γ∪{∃xφ, φ[y/x]}が矛盾することはあるか
例を探す
∃xφにyが現れる場合の反例
φをy≠xとする
φ[y/x]はy≠yとなるので、Γ∪{∃xφ, φ[y/x]}は矛盾する
Γにyが現れる場合の反例
y≠a ∈ Γ, φをa=xとする
φ[y/x]はa=yとなるので、Γ∪{∃xφ, φ[y/x]}は矛盾する
証明5.1.6
方針
対偶を示す
Γ∪{∃xφ, φ[y/x]}が矛盾するならば、Γ∪{∃xφ}が矛盾しているか yがΓか∃xφに現れる
証明
Γ∪{∃xφ, φ[y/x]}が矛盾すると仮定する
Γ∪{∃xφ, φ[y/x]}の有限部分集合から矛盾を導く導出図(これを𝜜とする)が存在する
yがΓにも∃xφにも現れない場合
すると以下の導出図が、Γ∪{∃xφ}の有限部分集合から⊥を導くものになっている
…
…
∃xφ ⊥ 𝜜
------------------------------ (𝜜中にφ[y/x]があれば除去)
⊥
よって、Γ∪{∃xφ}は矛盾することになる
メモ
yが∃xφに現れるなら、変数条件を満たさなくなるので∃除去ができない
yがΓに現れるなら、常にyは𝜜中のφ[y/x]を以外の解消されていない仮定の中にも現れないとはいえない
つまり、∃除去ができない場合ある
yがΓか∃xφに現れる場合
Γ∪{∃xφ, φ[y/x]}が矛盾するならば、Γ∪{∃xφ}が矛盾しているか yがΓか∃xφに現れる
が成り立つ
定理5.1.7 モデル存在定理
記号
Γは閉論理式の任意の集合
主張
Γが無矛盾ならば、Γのモデルが存在する
モデル存在定理を用いた完全性定理の証明
方針
対偶を示す
証明
Γ⊬φを仮定してΓ⊭φであることを示す
補題5.1.4(2)より、Γ∪{¬φ}は無矛盾である
モデル存在定理より、Γ∪{¬φ}のモデルMが存在する
「Γ∪{¬φ}のモデルM」はΓの要素をすべて真にして、¬φを真にする。すなわちφを偽にする
このMの存在はΓ⊭φを表している
定理5.1.7の逆は演習問題
系5.1.8 閉論理式の集合に関する二条件
「無矛盾である」「モデルを持つ」は同値である
証明
定理5.1.7と定理5.1.7の逆が成り立つことから
定義「Γの未使用変数は無限である」
Γを閉論理式の任意の集合とする
Γ中に出現しない変数記号が無限個であること
Γの未使用変数は無限である例
Γが有限集合の場合、Γの未使用変数は無限である
1つの論理式が使える変数の個数は有限個であるので、Γが有限集合の場合は変数の個数は高々有限個になる
Γの未使用変数は有限である例
変数記号は可算無限個ある
そのすべてを並べて以下のように呼ぶ
x1,x2,x3…… (5.1)
この列の最初のn個の変数記号x1,x2,x3……,xnを使って、「対象領域の要素の個数がn個以上である」という意味の閉論理式を作ることができる
それをεnとよぶ
例 ε3
∃x1∃x2∃x3((¬(x1=x2)∧¬(x1=x3))∧¬(x2=x3))
無限集合{ε1,ε2,ε3,…}の未使用変数は0個である
定理5.2.1 モデル存在定理・変数条件付き
記号
Γは閉論理式の任意の集合
主張
Γが無矛盾でΓの未使用変数は無限であるならば、Γのモデルが存在する
定理5.2.1 を用いた定理5.1.7 モデル存在定理の証明
記号
φは任意の論理式
はφ中の変数記号
φ# はφ中の変数記号xi(i=1,2,…)の出現をそれぞれx2iに書き換えた論理式
例 ε3#
∃x2∃x4∃x6((¬(x2=x4)∧¬(x2=x4))∧¬(x4=x6))
Γ# は集合Γのすべての要素に# を施した集合
流れ
定理5.1.7の文面のΓをいったんΓ# に変換して定理5.2.1を適用することで、定理5.1.7が示される
示したいこと
ア 閉論理式の集合Γが無矛盾ならば、Γ# も無矛盾である
イ Γ# の未使用変数は無限である
ウ Γ# のモデルは必ずΓのモデルにもなる
証明イ
イは明らか
Γ# の中には、列(5.1)の奇数番目の変数記号x1,x3,x5,…が出現しないため
ア・ウ 証明のためにの定理
どんな閉論理式φについても以下が成り立つ
φ ⊢ φ# かつ φ# ⊢ φ (5.3)
これの証明は演習問題
証明ア
方針
対偶を示す
Γ# が矛盾するなら、Γが矛盾する
Γ# が矛盾するとき、Γ# の有限部分集合{γ1#, γ2#,…,γn#}から⊥を導出することができる
ところで(5.3)から、γi ⊢ γi#である
よって、{γ1, γ2,…,γn}から、⊥が導出できる
証明ウ
(5.3)より γi# ⊢ γi である
したがって、健全性定理からγi#を真にするどんなストラクチャーもγiを真にする
よって、Γ# のモデルは必ずΓのモデルにもなる
定理5.2.1 を用いた定理5.1.7 モデル存在定理の証明
主張
Γが無矛盾ならば、Γのモデルが存在する
証明
Γが無矛盾と仮定する
アより、Γ#は無矛盾である
イより、Γ#の未使用変数記号は無限である
定理5.2.1 より、Γ#のモデルが存在する
ウより、Γ#のモデルはΓのモデルにもなる
証明終了
定理5.2.1 モデル存在定理・変数条件付きの証明が目標になる
モデル存在定理・変数条件付き⇒モデルの存在定理⇒完全性定理
5.3極大無矛盾集合
FとBは変数記号の任意の集合
ただし、F∩B = ∅ を満たすものとする
FとBを固定して議論を進める
定義
論理式の集合 FormulaF,B = {φ | φは論理式で、FVar(φ)⊆F, BVar(φ)⊆B}
自由出現する変数をF、束縛出現する変数をBにそれぞれ制限した論理式全体の集合
今思ったけど、論理式全体って、集合になるのかな?ik.icon
集合全体は集合にならないみたいだけど
論理式って有限の文字列だし、自然数といい感じに対応させることができて、集合になりそうな感じはする
項の集合 TermF = {t | tは項で、Var(t)⊆F}
変数をFだけに制限した項全体の集合
この定義からすぐに述べられること
∀xφ ∈ FormulaF,B かつ t ∈ TermF ならば、φ[t/x] ∈ FormulaF,B
tはφ中のxに代入可能
ことのことはFとBに共通の記号かないことからわかる
証明的なやつ
FVar(∀xφ)⊆F, BVar(∀xφ)⊆B, Var(t)⊆Fを仮定して、FVar(φ[t/x]) ⊆F かつBVar(φ[t/x]) を導く
FVar(φ[t/x]) ⊆Fを導く
FVar(φ[t/x]) = (FVar(φ)\{x})∪Var(t)
(FVar(φ)\{x})∪Var(t) ⊆ F
FVar(φ)\{x} = FVar(∀xφ) ⊆ F
Var(t)⊆F かつ FVar(φ)\{x} ⊆ Fであるから、 (FVar(φ)\{x})∪Var(t) ⊆ F
よって、FVar(φ[t/x]) ⊆ F
BVar(φ[t/x]) ⊆ Bを導く
BVar(φ)⊆B
BVar(φ) ⊆ BVar(φ)∪{x} = BVar(∀xφ) ⊆ B
BVar(φ[t/x]) = BVar(φ)
よって、BVar(φ[t/x]) ⊆ B
定義5.3.1 極大 存在証拠
ΓはFormulaF,Bに関して極大である
任意の論理式φに対して次が成り立つ
φ∈FormulaF,B ならば φ∈Γまたは¬φ∈Γ
ΓはTermFの存在証拠を持つ
任意の∃論理式∃xφに対して次が成り立つ
∃xφ∈Γ ならば あるt ∈TermFが存在してφ[t/x]∈Γ
Γ=FormulaF,Bとすれば、ΓはFormulaF,Bに対して極大だし、存在証拠を持つなぁとik.icon
矛盾していますが……
だから、KeySetF,Bが無矛盾であるという条件があるのかもしれない
定義5.3.2 KeySetF,B
ΓをFormulaF,Bの任意の部分集合とする
以下の三条件が成り立つことをΓはKeySetF,Bであるという
1 Γは無矛盾である
2 ΓはFormulaF,Bに関して極大である
3 ΓはTermFの存在証拠を持つ
1,2の条件は極大無矛盾と呼ばれる概念に相当する
補題5.3.3 KeySetF,Bの性質
記号
1~4において
φ,ψはFormulaF,Bの任意の要素
5,6において
xはBの任意の要素
φは∀xφ∈FormulaF,Bとなる任意の論理式
ΓがKeySetF,Bならば以下が成り立つ
1 φ∧ψ ∈ Γ ⇔ φ∈Γ かつ ψ∈Γ
2 φ∨ψ ∈ Γ ⇔ φ∈Γ または ψ∈Γ
3 φ→ψ ∈ Γ ⇔ φ∉Γ または ψ∈Γ
4 ¬φ ∈ Γ ⇔ φ∉Γ
5 ∀xφ ∈ Γ ⇔ TermFの任意の要素tに対してφ[t/x]∈ Γ
6 ∃xφ ∈ Γ ⇔ TermFのあるの要素tが存在してφ[t/x]∈ Γ
1⇒
φ∧ψ ∈ Γとする
背理法
φ∈Γ でないとする
ΓはKeySetF,Bであるから、FormulaF,Bに関して極大である
よって、¬φ∈Γとなる
しかし{φ∧ψ,¬φ}は矛盾する
これはΓの無矛盾性に反する
よってφ∈Γ である
同様にψ∈Γであるといえる
1 ⇐
φ∈Γ かつ ψ∈Γとする
背理法
φ∧ψ∈Γ でないとする
Γの極大性から¬(φ∧ψ)∈Γとなる
しかし{φ,ψ,¬(φ∧ψ)}は矛盾する
これはΓの無矛盾性に反する
よってφ∧ψ∈Γ である
2 ⇒
φ∨ψ ∈ Γ とする
背理法
φ∈Γ でも ψ∈Γでもないとする
Γの極大性から¬φ∈Γかつ¬ψ∈Γとなる
しかし{φ∨ψ,¬φ,¬ψ}は矛盾する
これはΓの無矛盾性に反する
よってφ∈Γまたはψ∈Γである
2 ⇐
φ∈Γ または ψ∈Γとする
φ∈Γであるとき
背理法
φ∨ψ ∈ Γでないとする
Γの極大性から¬(φ∨ψ) ∈ Γとなる
しかし{φ, ¬(φ∨ψ)}は矛盾する
これはΓの無矛盾性に反する
よってφ∨ψ ∈ Γである
ψ∈Γであるときも同様に証明する
3 ⇒
φ→ψ ∈ Γ を仮定する
(φ∉Γ または ψ∈Γ) でないとする
つまり、φ∈Γ かつψ∉Γとする
Γの極大性から¬ψ∈Γとなる
しかし{φ→ψ, φ, ¬ψ}は矛盾する
これはΓの無矛盾性に反する
よってφ→ψ ∈ Γ である
3 ⇐
φ∉Γ または ψ∈Γ を仮定する
φ∉Γ である場合
φ→ψ ∈ Γ でないとする
Γの極大性から¬(φ→ψ)∈Γ, ¬φ∈Γとなる
しかし{¬(φ→ψ), ¬φ}は矛盾する
これはΓの無矛盾性に反する
よって、φ→ψ ∈ Γ
ψ∈Γである場合
φ→ψ ∈ Γ でないとする
Γの極大性から¬(φ→ψ)∈Γとなる
しかし{ψ, ¬(φ→ψ)} は矛盾する
これはΓの無矛盾性に反する
φ→ψ ∈ Γである
4 ⇒
¬φ ∈ Γと仮定する
φ∉Γ でないとする。
つまりφ∈Γ
しかし{¬φ, φ} は矛盾する
これはΓの無矛盾性に反する
φ∉Γである
4 ⇐
φ∉Γと仮定する
¬φ ∈ Γでないとする
つまり¬φ ∉ Γ
Γの極大性から¬φ∈Γ, φ ∈ Γとなる
しかし{¬φ, φ} は矛盾する
これはΓの無矛盾性に反する
¬φ ∈ Γ
5 ⇒
∀xφ ∈ Γ と仮定して、 TermFの任意の要素tに対してφ[t/x]∈ Γを導く
∀xφ ∈ Γ と仮定したとき、ある要素tが存在してφ[t/x]∉ Γとする
Γの極大性から¬φ[t/x]∈ Γである
しかし{∀xφ, ¬φ[t/x]}は矛盾する
これはΓの無矛盾性に反する
ある要素tがφ[t/x]∉ Γではなかった
よってTermFの任意の要素tに対してφ[t/x]∈ Γ
5 ⇐
TermFの任意の要素tに対してφ[t/x]∈ Γを仮定して、∀xφ ∈ Γを導く
これの対偶を示す。∀xφ ∉ Γ ならば TermFのあるの要素tに対してφ[t/x]∉ Γ
ik.iconなんで対偶を証明するんだろ?
∀xφ ∉ Γを仮定する
Γの極大性より¬∀xφ ∈ Γ
¬∃x¬φ ∈ Γと仮定する
ここで、{∀xφ, ¬∃x¬φ}は矛盾する
これはΓの無矛盾性に反する
¬∃x¬φ ∉ Γ
よってΓの極大性により∃x¬φ ∈ Γ
ik.icon極大性とはφ ∈ FormulaF,Bならば (φ ∈ Γ または¬φ ∈ Γ)
であった。今まではφ ∈ Γが属さないから¬φ ∈ Γというパターンが多かったが、¬φ ∈ Γが属さないからφ ∈ Γということも当然言える
ik.icon あと極大性と無矛盾性のを満たすなら、φ ∈ Γ と ¬¬φ ∈ Γは同値といえそう
ΓはTermFの存在証拠を持つから、TermFのあるtが存在して¬φ [t/x]∈ Γ
φ [t/x]∈ Γを仮定してみる
ここで、{φ [t/x], ¬φ [t/x]}は矛盾しているので、Γの無矛盾性に反する
よってφ [t/x]∉ Γ
6 ⇒
∃xφ ∈ Γ ならば TermFのあるの要素tが存在してφ[t/x]∈ Γを示す
Γは存在証拠を持つため、TermFのあるの要素tが存在してφ[t/x]∈ Γ
ik.icon短すぎて不安になる証明
6 ⇐
TermFのあるの要素tが存在してφ[t/x]∈ Γ ならば ∃xφ ∈ Γを示す
これの対偶を示す(5 ⇐にならって)。∃xφ ∉ Γならば TermFの任意の要素tでφ[t/x]∉ Γ
TermFのあるの要素tでφ[t/x]∈ Γと仮定する
∃xφ ∉ Γと仮定する
∃xφ ∉ Γなので、極大性から¬∃xφ ∈ Γ
ここで、¬∀x¬φ∈ Γであると仮定してみる
{¬∃xφ, ¬∀x¬φ}は矛盾する(はず……な)ので、Γの無矛盾性に反する。
したがって、¬∀x¬φ ∉ Γ。極大性より∀x¬φ ∈ Γ
{φ[t/x], ∀x¬φ}は矛盾する(はずです)。
これはΓの無矛盾性に反する。
TermFのあるの要素tでφ[t/x]∈ Γ でなかった
つまりTermFの任意の要素tでφ[t/x]∉ Γ
5 ⇐をそのまま証明する
TermFの任意の要素tに対してφ[t/x]∈ Γを仮定して、∀xφ ∈ Γを導く
TermFの任意の要素tに対してφ[t/x]∈ Γとする
このとき、∀xφ ∉ Γと仮定する。
極大性より¬∀xφ ∈ Γ
ik.iconそっか{φ[t/x] ¬∀xφ}は別に矛盾しないのか……
¬∃x¬φ ∈ Γと仮定する
{¬∀xφ, ¬∃x¬φ}は矛盾する(はず)。
Γの無矛盾性に反するので、¬∃x¬φ ∉ Γと言える
Γの極大性より∃x¬φ ∈ Γ
ΓはTermFの存在証拠を持つから、TermFのあるtが存在して¬φ [t/x]∈ Γ
TermFの任意の要素tに対してφ[t/x]∈ Γであるから矛盾する
よって∀xφ ∉ Γではなかった
つまり∀xφ ∈ Γ
6 ⇐をそのまま証明する
TermFのあるの要素tが存在してφ[t/x]∈ Γ ならば ∃xφ ∈ Γを示す
TermFのあるの要素tが存在してφ[t/x]∈ Γ であるとする
∃xφ ∈ Γ でない、すなわち∃xφ ∉ Γと仮定する
極大性より¬∃xφ ∈ Γ
ここで¬∀x¬φ∈ Γであると仮定する
しかし{¬∃xφ, ¬∀x¬φ}は矛盾する(はず)ので、これはΓの無矛盾性に反する。
よって、¬∀x¬φ ∉ Γ
極大性より ∀x¬φ ∈ Γ
しかし{φ[t/x] ∀x¬φ}は矛盾する(はず)ので、これはΓの無矛盾性に反する。
よって、∃xφ ∈ Γ
補題5.3.4 KeySetの構成
Γが以下の3条件を満たすとき
Γ ⊂ FormulaF,B
Γは無矛盾
Fの要素でΓに現れない変数記号が無限個ある
次の2条件を満たす集合Γ+が存在する
Γ ⊆ Γ+ ⊆ FormulaF,B
Γ+はKeySetF,Bである
証明
Γをうまく膨らませていくと求めるΓ+が得られることを示す
FormulaF,Bは可算無限集合である
論理式全体は可算無限集合になるので、その部分集合であるFormulaF,Bも高々可算の集合になる
FormulaF,Bの要素を列挙する
φ1, φ2, φ3, φ4,…… (5.4)
ik.iconこれ列挙の仕方によって、得られるΓ+が変わってくる感じな気がする
FormulaF,Bを一意に列挙することは可能か?
論理式は文字列なので、辞書順でソートして列挙していけそう
a,aa,ab,ac,…az,aaa,……ってなっちゃうか
可算無限個のものだし、文字数でソートして、同じ文字数なら辞書順で列挙するとかの方がいいのかな?
a,b,c,…,z,aa,ab,…az,ba……
0→A
1→B
2→C
3→A∨B
4→A∨C
そして論理式の集合の無限列 Γ0 ⊆ Γ1 ⊆ Γ2 ⊆… を次で定義する
Γ0 = Γ
Γi+1
= Γi
if Γi∪{φi+1}が矛盾するとき
= Γi∪{φi+1}
else if Γi∪{φi+1}が無矛盾で、φiが∃論理式でないとき
= Γi∪{∃xψ, ψ[y/x]}
else if Γi∪{φi+1}が無矛盾で、φiが∃xψという形(∃論理式)あるとき
y はΓi∪{∃xψ}に出現しない変数記号をFの中から毎回新しく持ってくる
※始めにΓ0に現れないFの要素が無限個あり、各jでΓjからΓj+1を作る際には有限個の変数記号しか増えていないので、条件を満たす変数記号yが必ず存在する
このように定義された列の無限和をΓ+とする
Γ+ = ∪[i=0,∞]Γi = {φ | あるiについてφ ∈ Γi}
Γ+が題意の条件を満たすことを示す
Γ ⊆ Γ+ ⊆ FormulaF,B であること
これはΓ+の構成方法から明らか
Γ+はKeySetF,Bである
すなわち
Γ+は無矛盾である
Γ+はFormulaF,Bに関して極大である
Γ+はTermFの存在証拠を持つ
Γ+は無矛盾である
次のことが成り立つ
任意のi≥0について、Γiは無矛盾である (5.5)
証明(数学的帰納法)
Γ0は定理の前提より無矛盾である
Γkが無矛盾ならばΓk+1が無矛盾であることは、Γk+1の定義と補題5.1.6から成り立つ
Γk+1は定義から以下の3通りに分けれる
Γk+1 = Γk
Γkは無矛盾であるので、Γk+1も無矛盾である
Γk+1 = Γk∪{φk+1}
このとき、Γk∪{φk+1}は無矛盾であるので、Γk+1も無矛盾である
Γk+1 = Γk∪{∃xψ, ψ[y/x]}
Γk∪{φk+1}は無矛盾であるので、補題5.1.6よりΓk∪{∃xψ, ψ[y/x]} も無矛盾である。よってΓk+1も無矛盾である
φk+1は∃xψという形である
仮にΓ+は矛盾すると仮定する
このときΓ+ ⊢ ⊥であるから、解消されていない論理式 であるΓ+ の有限部部分集合{γ1,γ2,…γn}が存在して、それらから⊥を導く導出図が存在する
γ1,γ2,…γnはΓ+の要素なので、それぞれの論理式は適当なΓjの要素である
ik.icon 言っていることはわかるけど、jが具体的に出てこないの気になる。次に出てくるmもだけど
ik.iconγi を含む最小の集合Γj(i)みたいに定義してもいいのかな
mを十分大きくとれば、{γ1,γ2,…γn} ⊆ Γm となる
ik.icon m = maxi=1,n( j(i) ) みたいに考えれば、{γ1,γ2,…γn} ⊆ Γm を満たす最小のmが得られるかな?
するとΓm ⊢ ⊥ つまり、Γmは矛盾することになる
これは(5.5)に反する。
よって、Γ+は矛盾していない
Γ+はFormulaF,Bに関して極大である
ψをFormulaF,Bの任意の要素とする
ψと¬ψのどちらもΓ+に入っていないと仮定する
論理式列 (5.4) の中のm番目とn番目がそれぞれψ, ¬ψであるとする
ψと¬ψどちらもΓ+に入らないなら、
Γm-1∪{ψ} と Γn-1∪{¬ψ} が両方矛盾している
したがって、k = max(n,m)とすると、Γk-1∪{ψ}, Γk-1∪{¬ψ} が両方とも矛盾することになる
補題5.1.5により、Γk-1が矛盾する
これは(5.5)に反する
よって、ψと¬ψのどちらかはΓ+に入っている
Γ+はTermFの存在証拠を持つ
∃xψを任意の∃論理式とする。
∃xψ ∈ Γ+ を仮定して、Fのある要素yについてψ[y/x] ∈ Γ+ であることを示す
仮定∃xψ ∈ Γ+からあるmについて∃xψ ∈ Γm である
また ∃xψ はFormulaF,Bの要素なので、論理式列(5.4)のn番目に登場するとする
Γ+ の構成の途中で、Γn を定義する際に、Fの適当な要素yについてψ[y/x]が加わる。
なぜなら、Γn を定義する際もしψ[y/x]が加わらないならば、それはΓn-1∪{∃xψ}で矛盾していたことになる
k = max(m,n-1)とするとΓkが矛盾することになるが、これは(5.5)に反する
ik.iconここで引っ掛かっている。以下のように考えればいいのかな
k=m≥n-1のとき
Γn-1∪{∃xψ}で矛盾するので、Γn = Γn-1と定義される
しかし、仮定よりあるmについて∃xψ ∈ Γm であった
よって Γk = Γm ⊇ Γn-1∪{∃xψ} なので、 Γkは矛盾してしまう
k = n-1>m のとき
仮定よりあるmについて∃xψ ∈ Γm である
Γn-1∪{∃xψ}は矛盾するので、Γn = Γn-1と定義される
しかし、 Γn-1 ⊇ Γm ⊇ {∃xψ}なので、Γn-1 = Γn-1∪{∃xψ}
よって、Γk = Γn-1 は矛盾してしまう
よって、Γ+ の構成の途中で、Γn を定義する際に、Fの適当な要素yについてψ[y/x]が加わる。
5.4モデル存在定理
(再掲)定理5.2.1 モデル存在定理・変数条件付き
記号
Γは閉論理式の任意の集合
主張
Γが無矛盾でΓの未使用変数は無限であるならば、Γのモデルが存在する
証明
証明に使う記号
Γは閉論理式の任意の集合
BはΓ中に出現する変数記号全体の集合
Γは閉論理式なので、そこに出現する変数記号は全て束縛出現である
FはΓ中に出現しない変数記号全体
M ストラクチャー
証明の中身
F,Bに対して、補題5.3.4を適用すると、
Γ+が得られる
Γ+は Γ ⊆ Γ+ ⊆ FormulaF,B かつ Γ+はKeySetF,Bである
Γ+を使ってストラクチャーMを定義する
ストラクチャーM を定めるのに決める必要があるもの
対象領域 D
定数記号の解釈
zero,one,two, omega, unity, rt
関数記号の解釈
⊕, ⊙, ⊗,suc
= 以外の述語の解釈
⧀, P, Q, R
命題記号の真理値
対象領域 D
TermF上の2項関係 ~ を次で定義する
s ~ t ⇔ (s=t) ∈ Γ+
これは同値関係になる(演習問題)
そしてTermFの~による商集合TermF/~を対象領域Dとする
〘t〙= { s | s∈TermsF かつ t~s }
というように項tを代表元とする同値類を〘t〙と書く
D = { 〘t〙 | t∈TermsF }
同じ対象を指すものを同値関係で潰している感じかなik.icon
TermFそのものをモデルとして思いたいが、そのままだと=が困るから~で割って考える
以上の定義から、TermsFの任意の要素s,tに関して以下が成り立つ
〘s〙 = 〘t〙 ⇔ ( (s=t) ∈ Γ+) (5.7)
証明
〘s〙 = 〘t〙⇒ ( (s=t) ∈ Γ+)
t ∈〘t〙である
2項関係 ~ の定義より t~t ⇔ (t=t) ∈ Γ+
(t=t) ∈ Γ+であることは成り立つ。よってt~tである
∀x(x=x)∈Γ+であることから、5 ⇒より(t=t)∈Γ+
∀x(x=x)∈Γ+であることは、¬∀x(x=x)∈Γ+であるとすると、Γ+が矛盾することから極大性と無矛盾性から示せる
t∈TermsF かつ t~t なので、t ∈〘t〙
仮定より〘s〙 = 〘t〙であるから、t ∈〘s〙
同値類の定義より、t∈TermsF かつ t~sよって、t~sがいえる。
t~s ⇔ (s=t) ∈ Γ+だったので、証明終了
( (s=t) ∈ Γ+) ⇒〘s〙 = 〘t〙
( (s=t) ∈ Γ+) を仮定して、u ∈〘s〙⇒ u ∈〘t〙とu ∈〘t〙⇒ u ∈〘s〙を証明する必要がある
〘s〙 = 〘t〙 は 〘s〙⊆〘t〙かつ〘t〙⊆〘s〙の略記
u ∈〘s〙⇒ u ∈〘t〙
u ∈〘s〙であるとき、 u∈TermsF かつs~u である。
よって、(s=u) ∈ Γ+となる
{(s=t), (s=u)} ∈ Γ+であるから、極大性と無矛盾性から、(t=u)∈ Γ+が示せる
よって、u ~ t である。u∈TermsFであったので、u ∈〘t〙となる
よって〘s〙⊆〘t〙
〘t〙⊆〘s〙
同様に証明可能
定数記号の解釈
two^M = 〘two〙(5.8)
three^M = 〘three〙
……
関数記号の解釈
suc^M(〘t〙) = 〘suc(t)〙
〘s〙⊗^M〘t〙= 〘s⊗t〙
〘s〙⊕^M〘t〙= 〘s⊕t〙
〘s〙⊙^M〘t〙= 〘s⊙t〙
D上の関数として矛盾なく定義されていることを示すために以下の内容を証明する必要がある
演習問題でやる
述語記号の解釈
Q^M(〘t〙)=真 ⇔ Q(t) ∈ Γ+
〘s〙⧀^M〘t〙=真 ⇔〘s⧀t〙∈ Γ+
P^M,R^M も同様.
D上の述語として矛盾なく定義されていることを示すために以下の内容を証明する必要がある
演習問題でやる
命題記号の解釈
各命題記号X(∈{A,B,C)について、
M(X) = 真 ⇔ X ∈ Γ+
以上がストラクチャーMの定義
これがΓのモデルを示すために、任意の閉論理式φについて
φ ∈ Γ+ ならば M(φ) = 真 (5.16)
が成り立つことを示す。
しかしこれをφの複雑さに関する帰納法で扱うのは難しい。
例
φが∀xψという形の場合、xに対象領域Dの任意の要素の名前〘t〙を代入したD拡大閉論理式ψ[〘t〙/x]を扱う必要がある
M(∀xψ) = 真 ⇔ (Dの任意の要素の任意の名前aに対して、M(ψ[a/x]))=真)
しかし、このような名前〘t〙などを含んだ論理式は Γ+の要素ではない。
tという項を含んだ論理式は Γ+の要素だったりはする。
Γ+はFormulaF,Bのサブセットであり、FormulaF,Bは論理式の集合のサブセットである
ここでいう、論理式はD拡大論理式ではない論理式。
名前を含んだ論理式はΓ+ の要素でないから、帰納法の仮定として使えない。
そこで(5.16)を拡張して、任意の項sと任意の論理式φに対して次の命題を帰納法で示すことにする。
記号
x1,x2,…,xnはBの任意の要素で互いに異なる変数記号
t1,t2,…,tnはTermFの任意の要素
sは任意の項
φは任意の論理式
主張
以下の条件を満たすなら、(ア)、(イ)が成り立つ
Var(s) ⊆ {x1,x2,…,xn}
ik.icon∀x1,x2,…,xn って感じでsが束縛されていたときには閉項だったような項っぽい?
FVar(φ) ⊆ {x1,x2,…,xn}
ik.icon∀x1,x2,…,xnφを扱いたいけれど、それが難しいから、束縛を外したような論理式を扱いたいのかな?
BVar(φ) ⊆ B
(ア)
M(s^♣︎) = 〘s^♡〙
(イ)
M(φ^♣︎)= 真 ⇔ (φ^♡ ∈ Γ+)
ただし
♣︎は[〘t1〙/x1][〘t2〙/x2]…[〘tn〙/xn]]
♡[t1/x1][t2/x2]…[tn/xn]]
アをsの長さに関する帰納法で証明する
イをφの複雑さに関する帰納法で証明する
目標の(5.1.6)はイの⇐の特別な場合(n=0)なので、これによって証明が完了する
アの証明
sが定数記号のとき
たとえばtwoのとき
M(two^♣︎) = M(two)
定数記号なので代入しても変わらない
= two^M
ストラクチャーの定義より
=〘two〙
Mのtwoの解釈の定義(5.8)より
=〘two^♡〙
定数記号なので代入しても変わらない
他の定数記号も同様に証明する
sが変数記号xiのとき
ik.icon(sの条件からxi以外の変数記号であることはない)
M(xi^♣︎) = M(〘ti〙)
代入した結果(♣︎の定義より)
= 〘ti〙
ストラクチャーの定義(拡大閉項の値の定義)より
tがDの要素の名前のとき、M(t)はその要素である
= 〘xi^♡〙
♡の定義より
i=0からi=nまで同様に証明可能
sが関数記号を含む項
たとえば t⊗u のとき
M((t⊗u)^♣︎) = M((t^♣︎)⊗(u^♣︎))
代入
= M(t^♣︎) ⊗^M M(u^♣︎)
ストラクチャーの定義より
= 〘t^♡〙⊗^M 〘u^♡〙
帰納法の仮定より
(t⊗u)^♣︎ よりもt^♣︎、u^♣︎は文字数が少ないので成り立つ
=〘(t^♡)⊗(u^♡)〙
関数記号⊗の解釈(5.9)より
= 〘(t⊗u)^♡〙
代入の性質?より
他の関数記号の場合も同様に証明できる
よってアが示される
イの証明
φ がt=uのとき
M((t=u)^♣︎) = 真 ⇔ M((t)^♣︎ = (u)^♣︎) = 真
代入の分配
⇔ M(t^♣︎) = M(u^♣︎)
真理値の定義(3.2.4)より
⇔〘t^♡〙=〘u^♡〙
アより
⇔ ((t^♡) = (u^♡)) ∈ Γ+
(5.7)
⇔ (t = u)^♡ ∈ Γ+
代入を括った
φ が=以外の述語記号からなる原始論理式
たとえばQ(t)のとき
M(Q(t)^♣︎) = 真 ⇔ M(Q(t^♣︎)) = 真
♣︎をtに直接代入する形にする
⇔Q^M(M(t^♣︎)) = 真
ストラクチャーの定義
⇔Q^M(〘t^♡〙) = 真
アより
⇔Q(t^♡)∈ Γ+
5.12述語記号の解釈より
⇔Q(t)^♡∈ Γ+
それ以外の場合も同様に証明できる
φ が命題記号たとえばAのとき
M(A^♣︎) = 真
⇔ M(A) = 真
代入しても変わらないため
⇔ A ∈ Γ+
5.15 命題記号の解釈より
⇔ A^♡ ∈ Γ+
代入しても変わらないため
φが⊥のとき
ストラクチャーにおける真理値定義3.2.4よりM(⊥) = 偽
一方Γ+無矛盾であることから、⊥ ∉ Γ+である
したがって、M(⊥) = 偽 ⇔ ⊥ ∉ Γ+
よって、M(⊥) = 真 ⇔ ⊥ ∈ Γ+
φが複合論理式
φがψ∧ρのとき
M((ψ∧ρ)^♣︎) = 真
⇔ M((ψ)^♣︎∧(ρ)^♣︎) = 真
代入の分配
⇔M(ψ^♣︎) = 真 かつ M(ρ^♣︎) = 真
真理値の定義
⇔ψ^♡∈Γ+ かつ ρ^♡∈Γ+
帰納法の仮定より
⇔(ψ^♡∧ρ^♡)∈Γ+
補題5.3.3(1)
⇔((ψ∧ρ)^♡)∈Γ+
φがψ∨ρのとき
M((ψ∨ρ)^♣︎) = 真
⇔ M((ψ)^♣︎∨(ρ)^♣︎) = 真
代入の分配
⇔M(ψ^♣︎) = 真 または M(ρ^♣︎) = 真
真理値の定義
⇔ψ^♡∈Γ+ または ρ^♡∈Γ+
帰納法の仮定より
⇔(ψ^♡∨ρ^♡)∈Γ+
補題5.3.3(2)
⇔((ψ∨ρ)^♡)∈Γ+
φがψ→ρのとき
M((ψ→ρ)^♣︎) = 真
⇔ M((ψ)^♣︎→(ρ)^♣︎) = 真
代入の分配
⇔M(ψ^♣︎) = 偽 または M(ρ^♣︎) = 真
真理値の定義
⇔ψ^♡∉Γ+ または ρ^♡∈Γ+
帰納法の仮定より
⇔(ψ^♡→ρ^♡)∈Γ+
補題5.3.3(3)
⇔((ψ→ρ)^♡)∈Γ+
φが¬ψのとき
M(¬ψ^♣︎) = 真
⇔M(ψ^♣︎) = 偽
真理値の定義より
⇔ψ^♡∉Γ+
帰納法の仮定より
⇔(¬ψ^♡)∈Γ+
補題5.3.3(4)
φが∀xψのとき
M(∀xψ^♣︎) = 真
⇔M((∀xψ)^♣︎-) = 真
♣︎-は♣︎からxに対する代入を取り除いたもの
⇔Dの任意の要素の名前〘t〙に対して、M(ψ^♣︎-[〘t〙/x]) = 真
真理値の定義より
⇔Dの任意の要素の名前〘t〙に対して、(ψ^♡-[t/x])∈Γ+
帰納法の仮定より
♡-は♡からxに対する代入を取り除いたもの
⇔TermFの任意の要素tに対して、(ψ^♡-[t/x])∈Γ+
対象領域の定義より、Dの要素である同値類〘t〙の要素はTermF
⇔(∀xψ^♡-)∈Γ+
補題5.3.3(5)
⇔(∀xψ^♡)∈Γ+
φが∃xψのとき
M(∃xψ^♣︎) = 真
⇔M(∃xψ^♣︎-) = 真
♣︎-は♣︎からxに対する代入を取り除いたもの
⇔Dのあるの要素の名前〘t〙に対して、M(ψ^♣︎-[〘t〙/x]) = 真
真理値の定義より
⇔Dのある要素の名前〘t〙に対して、(ψ^♡-[t/x])∈Γ+
帰納法の仮定より
♡-は♡からxに対する代入を取り除いたもの
⇔TermFのある要素tに対して、(ψ^♡-[t/x])∈Γ+
対象領域の定義より、Dの要素である同値類〘t〙の要素はTermF
⇔(∃xψ^♡-)∈Γ+
補題5.3.3(6)
⇔(∃xψ^♡)∈Γ+
完全性定理・モデル存在定理の応用の一つ
定義5.5.1 コンパクト性定理
記号
Γは閉論理式の任意の無限集合
ik.icon Γが無限集合なのは、有限集合だと自明な主張になってしまうからかな?
主張
Γのすべての有限部分集合がモデルを持つならば、Γ自身もモデルを持つ
その逆も成り立つ
証明
対偶を証明する
Γはモデルを持たない
⇔ Γは矛盾する
系5.1.8より
⇔ Γのある有限部分集合が矛盾
矛盾の定義より
Γは矛盾するとは、Γのある有限部分集合(Γ'と呼ぶ)から⊥を導くことができること同値
このとき矛盾の定義から、Γ'のある有限部分集合としてΓ'を取れば、⊥を導くことができる
よって、Γ'すなわちΓのある有限部分集合も矛盾する
⇔ Γのある有限部分集合はモデルを持たない
系5.1.8より
コンパクト性定理の文面には自然演繹における証明可能性⊢の概念は登場せず、論理式とその意味についてだけ述べている
ik.icon健全性定理と完全性定理は、証明体系ごとに証明必要って聞いたことがあるけど、コンパクト性定理は証明体系に縛られない主張をしているのかな
モデル理論など証明体系に興味のない分野でよく使われる
コンパクト性定理は論理式の表現能力や論理式によって規定されるストラクチャーの性質を分析する際の重要な道具となる
定理5.2.2 次の条件を任意のストラクチャーMに対して成り立たせるような閉論理式φは存在しない
主張
M(φ) ⇔ Mの対象領域の要素数は有限である
記号
εiは次のような論理式
M(εn) = 真 ⇔ Mの対象領域の要素数はn個以上である
証明
このようなφが存在すると仮定する
いま論理式の無限集合
{φ, ε1, ε2, ε3,…} (5.18)
を考える
この集合の全ての有限部分集合はモデルを持つ
例
{φ, ε2, ε7, ε25}のモデルとしては、対象領域の要素数が25のストラクチャーを持ってくればよい
一般にεの添え字の一番大きい数が対象領域の要素数となるストラクチャーを持ってくればいい
したがって、コンパクト性定理よりこの集合はモデルを持つ
しかしそれは不可能である
なぜなら対象領域の要素数に関する条件
「有限」、「1個以上」、「2個以上」……
「1個以上」、「2個以上」……だけならば、対象領域の要素数が無限個で満たせる
をすべて同時に満たすようなストラクチャーは存在しないからである
よって最初の仮定が間違っているので、このようなφが存在しない
M(φ) ⇔ Mの対象領域の要素数は無限であるの証明
¬φも閉論理式となる
M(¬φ) ⇔ Mの対象領域の要素数は有限である
となる
¬φは存在しない
φは存在しない
任意のストラクチャーMに対して成り立たせるような閉論理式¬φは存在しないとき、
φも存在しないといえる?
言えるみたいです。
モデルが存在するしない。の定義とかを使ったりすればいいみたい
一般に¬じゃなくて複合論理式に対して、部分論理式?にいえるかな?
ψ∧ρの少なくともどっちかψ,ρは存在しない論理式
対象領域の要素数が無限個のときにモデルを持つ論理式の集合は{ε1, ε2, ε3,…}のように考えることができる。が、対象領域の要素数が有限個のときにモデルを持つ論理式の集合を考えるのはできないらしい。
メモ。無限論理と一階述語論理の関係とかが関係しているらしい
コンパクト性定理を利用すれば逆にこういうことを表現する論理式は作れるということも、その論理式を具体的に構成せずに証明できるだろうか?
あんまりないらしい
定理5.5.3
群論への応用
飛ばします
コンパクト性定理を数理論理学以外の数学へ応用する例としては、超準解析が有名
演習問題1
https://scrapbox.io/files/68114c4f4520741c1c7a50e1.jpeg
https://scrapbox.io/files/68114c53da666a667ef6fc2a.jpeg
https://scrapbox.io/files/68114c56c46235c59f6cfd01.jpeg
演習問題2
定理5.1.7の逆を示す
主張
Γのモデルが存在すればΓは無矛盾である
記号
Γは閉論理式の任意の集合
証明
Γのモデルが存在すると
Γのすべての要素φに対してM(φ) = 真となるストラクチャーMが存在する
ここで、Γは矛盾すると仮定する
すなわち、Γのあるの有限部分集合Γ'から⊥が導ける
健全性定理(Γ' ⊢ ⊥ ならば Γ' ⊨ ⊥)より
Γ' ⊨ ⊥ がなりたつ
すべてのγ ∈ Γ' に対してM(γ) = 真 (Γ'がモデルを持つ) ならば M(⊥) = 真
ΓのモデルはΓ'のモデルであるので、Γ'のモデルが存在する
よって M(⊥) = 真
これは⊥の真理値の定義に反する
よって、Γは矛盾しない
ik.icon解答見たら、Γ' じゃなくて、Γに健全性定理使ってた
演習問題3
定理5.2.1を用いた定理5.1.7の証明中に挙げられた性質(5.3)が任意の閉論理式φについて成り立つことを証明せよ
-----------↓あんまり納得してない時の記述のメモ-----------------------------------------
主張
φ⊢φ# かつ φ#⊢φ
記号
φは任意の閉論理式
φ# はφ中の変数記号xi(i=1,2,…)の出現をそれぞれx2iに書き換えた論理式
証明
メモ
ik.iconこれ任意の論理式に対して証明しないといけないから、論理式の複雑さに関する帰納法を回す必要があるのでは?
閉論理式に対して直接、複雑さの帰納法を回すのができないので、いったん論理式全体に対して考えるっぽい?
完全性定理とかもそう
論理記号の個数に関する帰納法で閉論理式に対して頑張ることもできるらしい?
任意の論理式ψ対して、次の主張を証明をする
(ψ)♣︎ ⊢ (ψ#)♡ かつ (ψ#)♡ ⊢ (ψ)♣︎
ψが閉論理式のとき、求める5.3になる
♣︎は[x2k+1/x1][x2k+2/x2]……[x2k+k/xk]
♡は[x2k+1/x2][x2k+2/x4]……[x2k+k/x2k]
kは十分に大きく取る
(ψ)♣︎ ⊢ (ψ#)♡について、論理式の複雑さによる帰納法で証明する
ψが原子論理式の場合
ψが単独の命題記号や⊥など、変数が出現しない場合
(ψ)♣︎ は ψと変わらない
(ψ#)♡はψ#と変わらない
さらにψ#はψと変わらない
よって、
(ψ)♣︎ ⊢ (ψ#)♡
⇔ ψ ⊢ ψ
これは明らかに成り立つ
ψ中に変数x1,x2,…xnが出現する場合
kはnよりも大きい
よって、(ψ)♣︎ は (ψ#)♡ と変わらない
したがって、(ψ)♣︎ ⊢ (ψ#)♡ が成り立つ
ψが複合論理式の場合
ψが¬ρのとき
ρはψよりも複雑さが小さいので、帰納法の仮定より(ρ)♣︎ ⊢ (ρ#)♡ が成り立つ
(ψ)♣︎ = (¬ρ)♣︎ = ¬(ρ♣︎)
(ρ)♣︎ ⊢ (ρ#)♡ ならば ¬((ρ)♣︎) ⊢ ¬((ρ#)♡)
これちゃんと成り立つかな…ik.icon
よって帰納法の仮定より、(ψ)♣︎から¬((ρ#)♡) が導出できる
¬((ρ#)♡) = (¬(ρ#))♡ = ((¬ρ)#)♡ = (ψ#)♡
よって、(ψ)♣︎から(ψ#)♡が導出できる
ψがρ1∧ρ2のとき
ρ1はψよりも複雑さが小さいので、帰納法の仮定より(ρ1)♣︎ ⊢ (ρ1#)♡ が成り立つ
ρ2はψよりも複雑さが小さいので、帰納法の仮定より(ρ2)♣︎ ⊢ (ρ2#)♡ が成り立つ
(ψ)♣︎ = (ρ1∧ρ2)♣︎ = ρ1♣︎∧ρ2♣︎
(ρ1)♣︎ ⊢ (ρ1#)♡ かつ (ρ2)♣︎ ⊢ (ρ2#)♡ ならば ρ1♣︎∧ρ2♣︎ ⊢ (ρ1#)♡∧(ρ2#)♡
これちゃんと成り立つかな…ik.icon
よって帰納法の仮定より、 ρ1♣︎∧ρ2♣︎ ⊢ (ρ1#)♡∧(ρ2#)♡
(ρ1#)♡∧(ρ2#)♡ = …… = ((ρ1∧ρ2)#)♡
よって、(ψ)♣︎から(ψ#)♡が導出できる
ψがρ1∨ρ2のとき
ρ1はψよりも複雑さが小さいので、帰納法の仮定より(ρ1)♣︎ ⊢ (ρ1#)♡ が成り立つ
ρ2はψよりも複雑さが小さいので、帰納法の仮定より(ρ2)♣︎ ⊢ (ρ2#)♡ が成り立つ
(ψ)♣︎ = (ρ1∨ρ2)♣︎ = ρ1♣︎∨ρ2♣︎
(ρ1)♣︎ ⊢ (ρ1#)♡ かつ (ρ2)♣︎ ⊢ (ρ2#)♡ ならば ρ1♣︎∨ρ2♣︎ ⊢ (ρ1#)♡∨(ρ2#)♡
これちゃんと成り立つかな…ik.icon
よって帰納法の仮定より、 ρ1♣︎∨ρ2♣︎ ⊢ (ρ1#)♡∨(ρ2#)♡
(ρ1#)♡∨(ρ2#)♡ = …… = ((ρ1∨ρ2)#)♡
よって、(ψ)♣︎から(ψ#)♡が導出できる
ψがρ1→ρ2のとき
ρ1はψよりも複雑さが小さいので、帰納法の仮定より(ρ1)♣︎ ⊢ (ρ1#)♡ が成り立つ
ρ2はψよりも複雑さが小さいので、帰納法の仮定より(ρ2)♣︎ ⊢ (ρ2#)♡ が成り立つ
(ψ)♣︎ = (ρ1→ρ2)♣︎ = ρ1♣︎→ρ2♣︎
(ρ1)♣︎ ⊢ (ρ1#)♡ かつ (ρ2)♣︎ ⊢ (ρ2#)♡ ならば ρ1♣︎→ρ2♣︎ ⊢ (ρ1#)♡→(ρ2#)♡
これちゃんと成り立つかな…ik.icon
よって帰納法の仮定より、 ρ1♣︎→ρ2♣︎ ⊢ (ρ1#)♡→(ρ2#)♡
(ρ1#)♡→(ρ2#)♡ = …… = ((ρ1→ρ2)#)♡
よって、(ψ)♣︎から(ψ#)♡が導出できる
ψが∀x3ρのとき
ρはψよりも複雑さが小さいので、帰納法の仮定より(ρ)♣︎ ⊢ (ρ#)♡ が成り立つ
(∀x3ρ)♣︎ = (∀3xρ)♣︎-
(∀3xρ)♣︎- ⊢ (ρ♣︎-)[x203/x3]
∀除去
(ρ♣︎-)[x203/x3] = ρ♣︎
よって帰納法の仮定により、(ρ#)♡
(ρ#)♡ = ( (ρ#)♡-)[x203/x6]
( (ρ#)♡-)[x203/x6] ⊢ ∀x6((ρ#)♡-)
∀導入
∀導入ってできるのだろうか?x203って前提に現れているのでは?難しいik.icon
教科書のやり方
(∀x3ρ)♣︎ = (∀x3ρ)♣︎-
⇒ (ρ♣︎-)[x203/x3]
ここが少し引っかかってる?
⇒ ρ♣︎
⇒ (ρ#)♡
帰納法の仮定より
= ( (ρ#)♡-)[x203/x6]
⇒ ∀x6((ρ#)♡-)
∀導入
これがよくわかっていない……ik.icon
P(x203)
------------ ∀導入
∀x6P(x6)
= (∀x6(ρ#))♡
= ((∀x3ρ)#)♡
証明の方針
♣︎k ♥ k
任意の論理式ψに対して、あるkが存在して、以下のような書き換えができる
メモ
(∀x3ρ)♣︎ ⊢ (ρ#)♡
(∀x3ρ)♣︎ = (∀x3ρ)♣︎-
(∀x3ρ)♣︎- ⊢ (ρ♣︎-)[x203/x3]
(∀x3ρ)♣︎- ⊢ ρ♣︎
ρ♣︎ ⊢ (ρ#)♡
帰納法の仮定より
ρ♣︎ ⊢ ((ρ#)♡-)[x203/x6]
((ρ#)♡-)[x203/x6] ⊢ ∀x6((ρ#)♡-)
(∀xρ)♣︎- ⊢ (ρ#)♡
ψが∃x3ρのとき
(∃x3ρ)♣︎ = (∃x3ρ)♣︎-
⇒ (ρ♣︎-)[x203/x3]
⇒ ρ♣︎
⇒ (ρ#)♡
帰納法の仮定より
= ( (ρ#)♡-)[x203/x6]
⇒ ∀x6((ρ#)♡-)
∀導入
= (∀x6(ρ#))♡
= ((∀x3ρ)#)♡
φが原始論理式のとき
φ中にxが出現しない場合
φとφ#もφと変わらないので明らかに題意は成り立つ
例
φが単独の命題記号や⊥の場合
φ中にxが出現する場合
φがx1=x2のとき
これは閉論理式じゃないので考えなくていい
うーん。これは閉論理式じゃないけど、束縛したら閉論理式になる。
こういう感じで帰納法をまわそうとしても閉論理式が漏れなく構成できないから、ダメっぽい
φがQ(x1)のとき
φがx1⧀x2のとき
φがP(x1)のとき
φがR(x1,x2)のとき
をそれぞれ証明する
φが複合論理式のとき
任意のk変数記号k
-----------↑あんまり納得してない時の記述のメモ-----------------------------------------
任意の論理式ψ対して、次の主張を証明をする
任意のkに対して、ψに現れる変数記号の番号がすべてk以下なら、(ψ)♣︎ ⊢ (ψ#)♡ かつ (ψ#)♡ ⊢ (ψ)♣︎
ik.icon十分に大きなkを取るってことを任意のkに対して、成り立つことって捉えたけど良いだろうか……
証明の方針
ψの複雑さが0のとき、任意のkについて成り立つことを示す
次にψの複雑さについて、数学的帰納法を回す。
証明
複雑さが0のψは以下の場合に分けられる。
(t1=t2)
Q(t1)
(t1⧀t2)
P(t1)
R(t1,t2)
単独の命題記号A,B,C
t1,t2は、変数記号の番号がすべてk以下の任意の項である
例
ψがP(t1)のとき
ψ♣︎ = P(t1)♣︎ = P(t1♣︎) = P((t1#)♡) = P(t1#)♡ = (P(t1)#)♡ = (ψ#)♡
よって、(ψ)♣︎ ⊢ (ψ#)♡ かつ (ψ#)♡ ⊢ (ψ)♣︎
φが他の場合も同様
よって、任意のkに対してψの複雑さが0のとき、(ψ)♣︎ ⊢ (ψ#)♡ かつ (ψ#)♡ ⊢ (ψ)♣︎が成り立つ
kを任意に固定する
(kを十分大きく取れば、ψに任意の数変数記号が出現しても(ψ)♣︎ ⊢ (ψ#)♡ かつ (ψ#)♡ ⊢ (ψ)♣︎と言える感じかな?)
ψの複雑さが0のとき
上記で証明済み
ψの複雑さがnのとき
量化子が絡む場合のみ証明を行い、量化子が絡まない場合については省略する
ψが∀xρの形の場合
xは(5.1)の変数列に出現する
xがxiだとする
i>kのとき
「ψに現れる変数記号の番号がすべてk以下なら」という条件を満たさない
証明完了
i≤kのとき
(ψ)♣︎ ⊢ (ψ#)♡について
(ψ)♣︎
= (∀xiρ)♣︎
= ∀xi(ρ♣︎')
⇒ (ρ♣︎')[2k+i/xi]
∀除去
= ρ♣︎
⇒ (ρ#)♡
帰納法の仮定
= ((ρ#)♡')[2k+i/x2i]
⇒ ∀x2i((ρ#)♡')
∀導入
= (∀x2i((ρ#))♡
= ((∀xiρ)#)♡
= (ψ#)♡
(ψ#)♡ ⊢ (ψ)♣︎について
(ψ#)♡
= ((∀xiρ)#)♡
= (∀x2i((ρ#))♡
= ∀x2i((ρ#)♡')
⇒ ((ρ#)♡')[2k+i/x2i]
∀除去
= (ρ#)♡
⇒ ρ♣︎
帰納法の仮定
= (ρ♣︎')[2k+i/xi]
⇒ ∀xi(ρ♣︎')
∀導入
= (∀xiρ)♣︎
= (ψ)♣︎
演習問題4
既に証明済み
演習問題5
ΓがKeySetF,BでΓ⊢φでφ∈FormulaF,Bであるならば、φ∈Γとなることを示せ
証明
φ∉Γであると仮定する
Γの極大性よって、¬φ∈Γとなる
ΓがKeySetF,Bであるので、
φ∈FormulaF,BとΓの極大性により、φ∈Γまたは¬φ∈Γである
φ∈Γが成り立つとき、¬φ∈ΓであるのでΓの無矛盾性に反する
¬φ∈Γが成り立つときについて考える
ik.iconΓ⊢φであることがうまく効いてきそう
¬φ∈Γなので、仮定集合が¬φで、結論が¬φの過程と結論が重なった論理式が書ける
つまりΓ⊢¬φ
Γ⊢φかつΓ⊢¬φである
補題5.1.3より、Γ⊢φかつΓ⊢¬φ ことは、Γが矛盾することと同値である
これは、Γが無矛盾であることに反する
よってφ∈Γである
演習問題6
(5.6)~が同値関係であることを示せ
s~t の定義は s= t ∈ Γ+
証明
同値関係とは
反射律
対称律
推移律
を満たすもの
反射律
任意のsについて、(s = s) ∈ Γ+ は成り立つ
Γ+はKeySetなので、(s = s) ∉ Γ+を仮定すると
極大性により、¬(s = s)∈Γ+
¬(s = s) ⊢ ⊥ となるので、これはΓ+の無矛盾性に反する
よって(s = s) ∈ Γ+
対称律
任意のs,tについて、(s = t) ∈ Γ+ ならば(t = s) ∈ Γ+は成り立つ
(s = t) ∈ Γ+ かつ (t = s) ∉ Γ+を仮定する
極大性により、¬(t = s) ∈ Γ+
(s = t), ¬(t = s) ⊢ ⊥ となるので、これはΓ+の無矛盾性に反する
よって、(s = t) ∈ Γ+ ならば(t = s) ∈ Γ+
推移律
任意のs,t,uについて、(s = t) ∈ Γ+ かつ (t = u) ∈ Γ+ ならば (s = u) ∈ Γ+は成り立つ
(s = t) ∈ Γ+ かつ (t = u) ∈ Γ+ かつ (s = u) ∉ Γ+ と仮定する
極大性により、¬(s = u) ∈ Γ+
(s = t), (t = u), ¬(s = u) ⊢ ⊥ となるので、これはΓ+の無矛盾性に反する
よって、(s = t) ∈ Γ+ かつ (t = u) ∈ Γ+ ならば (s = u) ∈ Γ+
(5.10) t1~t2 ならば suc(t1) ~ suc(t2)
任意のt1,t2に対して、(t1=t2)∈Γ+ かつ (suc(t1) = suc(t2))∉Γ+ を仮定する
極大性により、¬ (suc(t1) = suc(t2)) ∈ Γ+
(t1=t2), ¬(suc(t1) = suc(t2)) ⊢ ⊥ なので、これはΓ+の無矛盾性に反する
任意のt1,t2に対して、(t1=t2)∈Γ+ ならば (suc(t1) = suc(t2))∈Γ+ が成り立つ
(5.11) (s1~s2 かつ t1~t2)ならば (s1⊗t1) ~ (s2⊗t2)
任意のs1,s2,t1,t2に対して、(s1=s2)∈Γ+ かつ (t1=t2)∈Γ+ かつ ((s1⊗t1)= (s2⊗t2))∉Γ+ を仮定する
極大性により、¬ ((s1⊗t1) = (s2⊗t2))∈ Γ+
(s1=s2), (t1=t2) , ¬ ((s1⊗t1) = (s2⊗t2)) ⊢ ⊥ なので、これはΓ+の無矛盾性に反する
任意のt1,t2に対して、(s1=s2)∈Γ+ かつ (t1=t2)∈Γ+ ならば ((s1⊗t1)= (s2⊗t2))∈Γ+ が成り立つ
⊕, ⊙については、(5.11)と同様に示せる
(5.13) t1~t2 ならば (Q(t1)∈Γ+ ⇔ Q(t2)∈Γ+)
任意のt1,t2に対して、(t1=t2)∈Γ+ かつ Q(t1)∈Γ+ かつ Q(t2)∉Γ+ を仮定する
極大性により、¬Q(t2)∈ Γ+
(t1=t2), Q(t1),¬Q(t2) ⊢ ⊥ なので、これはΓ+の無矛盾性に反する
任意のt1,t2に対して、(t1=t2)∈Γ+ ならば (Q(t1)∈Γ+ ⇒ Q(t2)∈Γ+) が成り立つ
任意のt1,t2に対して、(t1=t2)∈Γ+ ならば (Q(t2)∈Γ+ ⇒ Q(t1)∈Γ+) が成り立つことも同様に示せる
P,Rも同様
(5.14) (s1~s2 かつ t1~t2)ならば( (s1⧀t1)∈Γ+ ⇔ (s2⧀t2)∈Γ+ )
任意のs1,s2,t1,t2に対して、(s1=s2)∈Γ+ かつ (t1=t2)∈Γ+ かつ (s1⧀t1)∈Γ+ かつ (s2⧀t2)∉Γ+ を仮定する
極大性により、 ¬(s2⧀t2)∈ Γ+
(s1=s2), (t1=t2), (s1⧀t1), ¬(s2⧀t2) ⊢ ⊥ なので、これはΓ+の無矛盾性に反する
任意のs1,s2,t1,t2に対して、((s1=s2)∈Γ+ かつ (t1=t2)∈Γ+) ならば ((s1⧀t1)∈Γ+ ⇒ (s2⧀t2)∈Γ+) が成り立つ
任意のs1,s2,t1,t2に対して、((s1=s2)∈Γ+ かつ (t1=t2)∈Γ+) ならば ((s2⧀t2)∈Γ+ ⇒ (s1⧀t1)∈Γ+ ) が成り立つ