【数学】教材作成のポイント
このページでは、オンライン授業用の教材を作成をするための工夫をご紹介します。
教材作成の一番のポイントは動きを意識することです。
オンライン授業では、生徒は端末を見続ける必要があり、教員側の指導も単調になりやすくなってしまうため、どうしても生徒の集中力は落ちてしまいます。
そのため、出来るだけ動きを取り入れ、生徒の視覚や聴覚に訴えかけるような教材を工夫しましょう。
目次
①どんな場面でどんな教材を用意すればいいか?
オンデマンド型
同時双方向型
ロイロとビデオ会議アプリの併用型
②オンラインでシンキングツールを使うには?
③他のアプリやソフトとの有効な組み合わせは?
④オンライン授業後、生徒にオフでどんな工夫をさせられるか?
⑤評価のための教材(ルーブリック等)は?
⑥通常授業に活用するためのノウハウ、まとめ
①どんな場面でどんな教材を用意すれば良いか?
生徒側の受信環境も異なっている場合はそのことにも留意しながら教材を作成しましょう。
・オンデマンド型
ここではロイロノートのみを使用して授業動画を配信する場合の教材作成方法をいくつかご提案します。
(1)ロイロノートの録音機能を使用して解説音声を吹き込む
黒板や手書きのノートを写真に撮る、PowerPointやKeynoteでスライドを作成する、などの方法で板書のカードを作成し、解説音声を吹き込みます。
一度に長時間吹き込むと言い間違えてしまった時の撮り直しが大変ですので、カードをコピーし細かく録音するのがおすすめです。
https://gyazo.com/b39e6d702153ce4b0cd2d15a05289324
このカードはPower Pointで作成し、数式はStudyaidで打ち込んでいます。
メリット
・音声がつくことでプリントそのままよりも理解度が増す。
・容量が軽いため、再生における生徒側の負担が少ない。
デメリット
・音声のみの解説しかないため、生徒が自分で目で追う必要がある。
(2)プレゼンテーションソフトを使用する
プレゼンテーションソフトで作成したスライドにアニメーションと解説のナレーションをつけて動画を作成します。
https://gyazo.com/284d0e2787a397e333d9f7179f93704e
これはPowerPointを使用して作成したスライドで、数式はStudyaidを使用しています。
https://youtu.be/UndTci5Fd9k
こちらでPowerPointを用いた顔出し無しの動画作成方法が詳しく説明されています。
その他にもYouTubeには生徒の目を引くような面白いアニメーションの作成方法が多数呈示されています。
メリット
・通常授業の板書に近いものが作成出来る。
・アニメーションを増やすと生徒に視覚的に訴えることが出来る。
・文字のみの動画であるため,動画の品質を落としても画質への影響は少なく、容量を軽く出来る。
デメリット
・教材作成に時間を要する。
(3)画面録画機能を使用する
iPadやwindowsに搭載されている画面録画機能を使い、音声で説明しながらペンで書き込むことで解説動画を作成することが出来ます。
https://gyazo.com/53aa4088bc5eea23a2697e17fbf8960b
メリット
・書きながら説明することで教員側も説明しやすく、生徒も目で追いやすい。
デメリット
・容量が重くなってしまうため、ロイロノートのみで送ると時間がかかってしまう。
(4)カメラを使用して黒板を撮影する
iPadのカメラやデジタルカメラを使用して、教室で授業している様子や、ノートに書きながら説明する様子を、動画撮影します。
短い動画であればロイロノートで直接撮影することも可能です。
アプリ「Lecta」を使うと先生の動きをとらえ、黒板をしっかり解像度を残しながら、その他の部分で容量を抑えます。
撮った動画をロイロで配信したり、YouTubeにアップして配信したりします。
【オンデマンド型でも同時双方向型に近いことが出来る!】
1時間分の授業動画を細切れにして用意し、生徒には初めの動画の配信開始時刻を知らせ、そこから時間ごとに順にカードを配信することでほぼ同時刻に生徒が同じ授業を聞く、ということが可能になります。
https://gyazo.com/65f45d149203fa2a660d00378dceaf8fhttps://gyazo.com/5df8b5291f72853003d1db10fd1c7fb3
・同時双方向型
ビデオ会議アプリの使用
通常の授業と同様にホワイトボードや黒板を用いてリアルタイムの授業を行うことが出来ます。
生徒側の端末のサイズも考慮しながら板書の大きさを調節しましょう。
QRコードを見せて、そこからアンケートやMentimeterを配信、回収する方法もあります。
・ロイロノートとビデオ会議アプリの併用
生徒の顔を見ての授業に適しているビデオ会議アプリと、課題の配信や提出物の比較に適しているロイロノートを併用する方法もあります。
画面共有機能を使用して解説を行った後、ロイロノートで練習問題をやまとめノートを提出させます。
この場合、ビデオ会議用の端末とロイロノート用の端末2つを用意する必要があります。
※iPadのスプリットビューやPCの二重窓を用いれば端末1台も可能です。
(1)出席確認
ビデオ会議アプリの懸念事項の1つは、生徒側が音声は聞こえるが映像が見えないなどのトラブルが生じかねないということです。
そこで出席確認と端末状況のチェックを兼ねる1つの方法として、授業の初めにマークの名前を提出させる方法をご紹介します。
画面共有でマークを出してそのマークを提出箱に出してもらいます。(右側は生徒が実際にマークを送った提出箱です)
https://gyazo.com/384e25b55a07f52f4b8e28c317f4a5fdhttps://gyazo.com/d4370960793b94ca96504115b9239640
(2)授業の展開
画面共有機能を用いて、ロイロノートで作成したカードを表示し、生徒はその画面を見ながら授業を聞きます。
授業はロイロのカードにペンで書き込みながら進めることも出来ますが、
ここではロイロスクラッチという方法をご紹介します。
教科書の写真を塗りつぶしたカードを作成し、口頭で説明しながら削っていきます。
https://gyazo.com/4594a3d7f580385f80b5c9d185806318 https://gyazo.com/43667b940cb4e08acf538e00c5f54d58
https://youtu.be/IX-zIES_cU8
生徒が目で追えるため、授業の流れを掴みやすくなります。
加えて、教科書の先を読まれてしまって授業が進めにくくなることを解消出来ます。
また、消して進める授業なので、一度作成したカードを何度も使うことが出来ます。
そして何よりも、教材準備が簡単です。
PDFや教科書を写真に撮ってロイロに入れたら、塗りつぶすだけで準備完了という手軽さもあります。
②オンラインでシンキングツールを使うには?
ベン図やフローチャートなどのシンキングツールを用いることで、生徒の理解を深めることが出来ます。
https://gyazo.com/4b78db58808c286ebe9d535421723907https://gyazo.com/479db51ca954b487ed88e7b5cd70d908
プロット図を用いて生徒に授業の流れを説明したり、ベン図を用いて図形の分類を生徒に行わせることできます。
https://gyazo.com/a5075dcdc6fd5e8897467939125b68a4 https://gyazo.com/a083bc6ac8f5d4a7bd6525dfdce6c3a9
③他のアプリやソフトとの有効的な組合せは?
図形の性質や軌跡などは、頭の中でイメージしにくい生徒も少なくない単元です。
視覚的に捉えることが出来る他のソフトとロイロノートを併用することで効果的な理解に繋げることが出来ます。
Keynote
プレゼンテーションソフトの1つ。スプリットビューでロイロノートとKeynoteを開き、Keynoteで作成した幾何学模様をドラッグするだけで簡単にロイロノートに取り込むことが出来ます(ただし、iPad限定です)。
https://gyazo.com/898c9d12a94ce108d89753ba59ca9888
GeoGebra
関数グラフ、平面幾何、空間図形などが扱えて、無料で使えるオンライン数学ツールです。
iOSのロイロノートでwebカードを開く(虫眼鏡🔍をタップする)と、8項目の中にあります。
https://gyazo.com/8d5fce97b0d32c5682b5acd200c7fd0c
アプリもあります。こちらからダウンロード出来ます。(iOS,Android,Mac,windows対応) 例) 「四角形の各辺の中点を結んでできた図形にはどのような性質があるか」を考えるために,
個人がGeogebraで任意の四角形を描き中点を結んだものをロイロノートの提出箱にいれて、解答共有し、全ての場合で平行四辺形となることを確かめる。
GRAPES
関数によるグラフや軌跡をマウスによる簡単な操作で描くことが出来ます。
教員が関数の値を変化させ軌跡を見せたり、生徒自身に操作させたりすることも出来ます。
アプリはこちらからダウンロード出来ます。(Web,iOS対応) ④オンライン授業後、生徒にオフでどんな工夫をさせられるか?
生徒の理解を深めるためには通常授業と同様、適切な復習が必要です。復習方法をいくつかご紹介します。
問題を解いて提出
授業動画に対応する問題を解き、写真に撮って提出箱へ提出してもらう。
提出箱を共有して互いの回答を確認し合うこともできます。
https://gyazo.com/3986778a599bb6eeb67858d3da2b7d93
学習したことカードの作成、まとめシート
その日の授業でとったノートの写真や、学んだことのまとめを書かせて理解度を確認する。教員側でフォーマットを呈示すると良い。
(写真内の黄色のカードが学習したことカード)
https://gyazo.com/7508d65d0fc582c22e7c910674cbebd9
PDCAチャート
授業の最初にこの時間をどうやって取り組むのかを計画させる(PLAN)。
授業の終わりに計画通りにできたか(DO)、自己評価(CHECK)、次回への改善点(ACTION)を書かさせて提出させます。
https://gyazo.com/b363223dacdef4ecee180b642d9320c0https://gyazo.com/37f71430166ed588c9b2053935ab8a30
質問対応
生徒個人から質問を受けた際、細かなステップに分けて解説を行います。
解説を徐々に増やしていくことで、生徒が自分の理解に合わせて解説を読み進めることが出来ます。
https://gyazo.com/02f22294bd5b2a3c20ebccee90e73960
⑤評価のための教材(ルーブリック等)は?
ロイロノートの小テスト機能
iOS版ロイロノートの小テスト機能を用いて、生徒の理解度確認を簡単に行うことが出来ます。
テストは単一選択、複数選択、自由記述のいずれかを選んで作成できます。
https://gyazo.com/2784598a8aaad434294b8f2a82b48802https://gyazo.com/da04127a88443b4a39b76c6671c51c05
iOS端末での設定
「設定」→「 ロイロノート」→「Experimental Features」→「テストカードを使用する」をオンでこの機能を利用することが出来ます。
また、結果をcsvで書き出すこともできます。
ルーブリック
自分が当てはまると思うところに丸をつけて提出させます。
https://gyazo.com/9867b85a8df7a359cb1a789adb075eee
⑥通常授業に活用するためのノウハウ、まとめ
授業準備の様子を6分程度にまとめてみました。
https://youtu.be/47twV6yUC3A
例えば、ビデオ会議ツール等の録画機能を使って自分の授業を客観的に生徒の立場から見ることは有効な手段だと思います。
最後に、、、
オンライン授業のコツは教えたいことに焦点をどれだけ絞れるかです。
いかにムダをそぎ落としてエッセンスを伝え、生徒の成長につなげるか。
ここに深く向き合うことが、必然的に授業を磨くことになるでしょう。
この「深み」がきっと通常の授業にも生きてくると思います。
ピンチな世の中の状況ではありますが、これを読んで下さる方々にとって少しでも授業を磨くチャンスとなることを祈っております。