ファイブスター物語
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永野護のファイブスター物語。記念すべき第一巻。ラキシスとソープの物語。
ストーリー
クラウン大銀河に存在する4つの恒星系(イースター、ウェスタ、サザンド、ノウズ)と長大軌道を持つスタント遊星により構成されるジョーカー太陽星団が、この物語『ファイブスター物語』の主な舞台である。星団には極めて発達しつつも緩やかに衰退を始めている人類文明が存在している。
かつてはダイバー(魔導師)パワーを持つハイブレンと強力な遺伝操作で作られた純血の騎士(シバレース)たちの力で全星団を支配したファロスディー・カナーン超帝國の統治下にあったが、超帝國9代皇帝炎の女皇帝(ナ・イ・ン)がモナーク・セイクリッドという世界の真理を求めて星団を去った。強大な女皇帝が去ったことにより超帝國は分裂する。最も遅く誕生した超帝國のシバレースネッド・スバースは太陽王国で眠りについていたがカラミティー星の重産業都市国家スパチュラのヨー・タイインが超帝國再建のため追放された暴君ディー・カッツェー皇帝と手を組もうとしていた。スバースはタイインの圧政から力なき民を守り、超帝國復活を阻止しようと孤軍奮闘していたが、パートナーのバーシャを喪い、タイインのハイブレンに抗うことが出来ず軍門に屈する。だが、スタント遊星と共に帰還したナ・イ・ンがスパチュラを一夜で滅ぼし、スバースは命を救われ後世に血を遺すようドウターチップと共にレディオス・フォーカスライト(天照家の始祖)に預けられる。また新たな時代に相応しい名としてナッカンドラ・スバースの名を授かる。後世、復活を遂げたスバースの遺伝子がファティマたちの素となり、スバースの子孫としてデューク・ビザンチン、デイモス・ハイアラキ、慧茄・ダイ・グ・フィルモア、マドラ・モイライといった名だたる剣聖たちとソープの親友として物語を彩るボード・ビュラードが現れる。
分裂し混迷を極めるジョーカーにおいて国家間紛争の切り札が、人型の巨大ロボット(旧設定ではモーターヘッド(MH)、新設定ではゴティックメード(GTM))である。超帝国の純血の騎士たちが用いたMM(マシン・メサイア)から派生したこの兵器は騎士の遺伝子を受け継ぐことで超人的な戦闘能力を持ち、MHを操ることができるヘッドライナーたち(人々には「騎士」と呼ばれる)であり、騎士の戦術をサポートする人造生命体で生体演算装置が「ファティマ 」注 1」である。 そのジョーカー星団史において、人類を遥かに凌駕する存在が登場する。ダイバーズ・パラ・ギルド(魔導師協会)の長にしてグリース王国を支配する天照家の6女当主アマテラスのミコトが処女生殖により世継ぎとなる男子を産み落とす。その子こそが本作の主人公アマテラスのミカド(天照帝。幼名であり異名がレディオス・ソープ)である。成長した彼は星団随一の美貌と頭脳、財力と長寿を誇り数々の神技を持つ「光の神」としてジョーカーに君臨。やがてデルタ・ベルンを中心に支配域を広め、連合国家AKD(アマテラス・キングダムス・ディメンス)を形成し、その象徴としてフロートテンプル(空中宮殿)を造営する。だが、アマテラスは生まれつき感情がなく、すべては母ミコトの教えを忠実に模倣したに過ぎなかった。ミコトと最初の妻メルクール・リトラーの死後もアマテラスは彼女たちを幽霊として現世に繋ぎ止め、彼女たちを頼る不完全な神であった。
やがてソープは一人の科学者と知り合う。その人物こそは数々の高名な学者を輩出したバランス一族の裔にして星団一の頭脳と謳われるファティママイト(新設定ガーランド)のクローム・バランシェだった。バランシェは「不可解の象徴」たるアマテラスを終生の研究対象と認め、ソープもまたバランシェを無二の親友と思うようになる。バランシェはGTMをコントロールするために産み出されては殺されていくファティマたちに無限の可能性を求め、独立後に最初に手がけた娘クーンを皮切りに革新的なファティマたちを世に送り出す。ソープはバランシェの娘たちが成長していく様を見届け、可憐で純情な彼女たちを戦争の道具にしない、いずれはファティマなしで稼働するGTMを作ることを心に誓う。だが、バランシェの44番目の娘ラキシスはソープの孤独を想い、永劫の刻を生きるアマテラスの伴侶たるべく自ら過酷な運命を背負うことを父に望む。バランシェはアマテラスを研究する過程で得た全ての知識をラキシスに注ぎ込んだ。こうしてYY(ダブルイプシロン)と呼ばれるもう一つの超常生命体がジョーカーに誕生する。
アドラー星バストーニュで開かれるお披露目を前に、運命の三姉妹と呼ばれる三人のファティマが相次いで成人する。長姉アトロポスは父と父が自らに課した運命を呪って姿を消し、ラキシスと末の妹、クローソーがお披露目に出ることになり、バランシェは秘密を抱えた二人の娘をソープに託す。そんな中、ソープはボード・ヴュラードという脳天気な騎士と知り合う。彼の正体はトラン連邦の大統領ミッション・ルースだった。ソープがバストーニュに到着するや、クローソーもまた逃亡し、バランシェの親友モラード・カーバイトを頼ろうとする。ところが、道に迷い襲われそうになったところをジュノーの大国コーラス王朝の現当主コーラス3世(コーラス23世)に助けられる。3世の後裔でいずれ星団史に登場するコーラス6世(コーラス26世)を真のマスターと想うクローソーは3世の庇護に入ることを望むが、その際ソープに彼女の姉ラキシスがソープを変わらずに想い続け、待ち続けていると知らせる。ラキシスのお披露目に際して迷い悩んだ末にソープはラキシスをパートナーとすることを選び、彼女が望んだ黄金のMHナイトオブゴールド(KOG、新設定GTMマグナパレス)で追跡者を排除する。こうして星団史に名だたる「最強バカップル」アマテラスとラキシスのコンビが結成されるた。だが、ソープはラキシスの持つ超常の力についてはなにも理解しておらず、また正式な伴侶と認めたわけではなかった。
アマテラスは「来たるべき日」に備え、剣聖デイモス・ハイアラキの協力でアマテラス個人に忠誠を誓うミラージュ騎士団を創設し、自身の手でミラージュマシンを作り上げていく。アイシャ・コーダンテ、F・U・ログナーといったAKD王族関係者から星団中のお尋ね者、凶状持ちの王族までソープは人脈と情報を駆使してありとあらゆる人材を集める。その真の狙いは戦争根絶のための星団統一にあった。
一方、バランシェはKOGに乗れば誰も太刀打ち不可能なアマテラスとラキシスのコンビに対する抑止力としてクローソーを星団最強のファティマとして作り上げていた。クローソーはそんな過酷な運命を拒否していたが、コーラスが隣国ハグータとの戦火に見舞われ、3世のパートナーウリクルが死に、3世が作り上げようとしていたジュノーン(新設定GTMSR4ジ・エンドレス)の開発が頓挫した後にソープの手でレイト・ジュノーンとして生まれ変わり、3世がフィルモアの騎士ラルゴ・ケンタウリに殺害されたことで、力の片鱗を発揮。主不在の状況で、ラルゴ・ケンタウリが操る星団屈強のMHサイレン及び、ブルーノ・カンツィアン達が操る、サイレンベースのブーレイを撃破する。だが、クローソーはコーラス6世を待つため眠りについた。
舞台はかわって星団において唯一国家の存在が許されずドラゴン(新設定セントリー)の支配する領域であるカステポーにおいて物語が展開する。クバルカン法皇国の枢機卿ミューズ・ヴァン・レイバックはパートナーの静と共にカステポーに降り立つ。ミューズは知人のボードから聞き知った酒場を探し求めるうち、女たらしの放蕩貴族ヒューア・フォン・ヒッター子爵と知り合う。ヒッターの正体は星団を股に掛ける剣聖ダグラス・カイエンその人だった。カイエンはパートナーのアウクソーを事故で死なせ、バランシェの弟子プリズム・コークスに蘇生の僅かな望みを託す。そんなときツァイハイの鉱山で用心棒をしている女騎士ATと遭遇し、不覚をとる。やがてカイエンの追っ手が鉱山に現れ窮地に陥る。ATの正体が行方不明のアトロポスと知ったカイエンは彼女と共にシュペルター(新設定GTMデムザンバラ)で追っ手を打ち払う。ATが保護していた少女ミースを預かったカイエンは人々の前から姿を消す彼女を見送った。巷では「壊し屋」と呼ばれる謎のGTMが猛威を振るい多くの騎士、ファティマをその手にかけていた。同じ頃、カステポーを訪れていたアイシャはミューズと偶然知り合い、彼と一夜を共にする。カイエンとミューズは「壊し屋」を追ううちサンダードラゴン(新設定セントリーブラウ・ブリッツ)と遭遇する。非道に憤る雷のブリッツに対し、静は自分たちが事態を解決すると約束。一方、アイシャは女忍者巴に正体を知られ、パートナーのアレクトーを人質に取られてしまう。アイシャは「壊し屋」ことメヨーヨ朝廷の新型MHアシュラ・テンプル(新設定GTMホウライ)に挑むが不調により敗北。アイシャの窮地を知ったミューズは機密兵器破烈の人形注 2を用いて「壊し屋」を葬るが、破烈の人形のデータを取られてしまう。そのとき、雷のブリッツが出現し、空中戦艦を一撃のもとに葬った。アイシャは雷のブリッツからアマテラスへの伝言を授かる。ミューズは機密兵器の無断使用による処分を覚悟するが、アマテラスやカイエンの尽力により不問に付される。また蘇生したアウクソーを再びパートナーとしたカイエンはミースをバランシェに預ける。バランシェの養女となった彼女はやがてファティマガーランドミース・シルバー・バランシェとして星団史にその名を刻むことになる。 アマテラスはセントリーの伝言を受け取り、単身カステポーへと赴く。消滅を迎えるLEDドラゴン(セントリーライブ・コントローラー)の最期に立ち会うためだった。だが、アマテラスはセントリーの持つ「命の水」を求める小国シーブルの老ダイバーディ・バローの雇った傭兵アーレン・ブラフォードに殺害される。本来、死なないはずのアマテラスだが蘇生が上手く機能しない。このためアマテラスの力を失ったフロートテンプルでは大混乱が生じ、天照家元王族のサリオン率いるミラージュ騎士団の左翼大隊が王朝動乱を決行し、ラキシス殺害を企てる。右翼大隊の主要メンバーが不在のミラージュはルン、ハインドを中心に抵抗するが劣勢に立たされる。左翼大隊最強の騎士シャフトとミラージュダイバーでも屈指の実力を持つズームがラキシスに迫る。だが、ラキシスは様々な技を駆使して二人を圧倒。また、老臣ダグエラン・ルスが自らの一存でカイエンを呼び寄せていたため事態はおおむね収束する。同じ頃、アイシャのもとにも彼女のカステポーでの敗戦に憤るティン・バイアが迫っていた。アイシャは激闘の末にどうにかティンを倒し、アマテラスの所在を聞き出す。アマテラスの危機を悟ったラキシスはアマテラスの建造した巨大MHヤクト・ミラージュ(新設定GTM天照家J型駆逐戦闘兵器リョクタイ)を起動し、シャフトを派遣。またルンもカイエンから預かったデムザンバラと共にカステポーに向かう。その頃、アマテラスはセントリーの幼生と遭遇し、命の水の力で蘇生していた。幼生にすえぞうと名付けたアマテラスはライブ・コントローラーの最期の言葉を聞く。無力なアマテラスはシーブル兵に襲われていたところをアトロポスに助けられる。やがて追っ手としてブラフォードが二人と一匹に迫る。アトロポスはオージェ・アルスキュルで一人ブラフォードに立ち向かう。ブラフォードのパートナー京はオージェの力と相手がアトロポスだと理解した上で極限の戦いを展開しオージェを倒す。だが、その代償として彼女の精神は崩壊に向かっていた。一時的に追跡を逃れたアマテラスたちだったがシーブル軍の探索は続いていた。ようやくAKD軍がカステポーに到着して軍を展開し、シーブル軍との交戦が始まる。不慣れな新兵が多く、非常招集により本来の実力からほど遠いAKD軍は苦戦。AKDの正規騎士団ゴーズもバローの雇った傭兵騎士団パイドパイパーに圧倒される。その劣勢にまずアイシャのテロル・ミラージュ(新設定ハウファ・ブリンガー)が加勢、続いてルンのデムザンバラ、最後にシャフトのリョクタイが参戦し、形勢は一気に逆転する。ブラフォードは京の不調でリョクタイに呆気なく敗北し、激怒したバローから解雇される。失意のブラフォードはアマテラスと遭遇し、説得を受けアマテラスに剣を捧げミラージュ騎士となる。命の水を守るよう命じられたブラフォードだがすんでのところで命の水はバローの手に落ちる。だが、バローは何者かに消滅させられ、復活を遂げたその人物はシャフトをその手に掛けていずこかへと消える。こうして命の水を巡る攻防は幕を閉じるがそれは新たな物語の幕開けに過ぎなかった。アトロポスはアマテラスからA-T・ライムの騎士籍を与えられ、すえぞうと共に放浪生活を送ることになる。
星団には重大な危機が迫りつつあった。多くの人類が居住し、フィルモア帝国やクバルカン法皇国が支配するカラミティ星には消滅の危機が訪れようとしていた。また、もう一つの超帝國の遺産であり、ハイブレンの末裔という純血のダイバーボスヤス・フォートはダイバーズ・パラ・ギルド盟主の座を巡りミコトと少年時代のソープに戦いを挑むがソープの「次元回廊」で完敗を喫する。だがボスヤスはダイバーたちの精神の片隅に生きながらえ、じっと機会を伺っていた。「命の水」を巡る争いの果てにボスヤスは復活を遂げ、ボスヤスを追跡するAKDは多数の犠牲者を出す。そんな暗闘に不覚にも足を踏み入れてしまったハスハの騎士ヤーボ・ビートもまたカイエンとの間に誕生した二人の幼子を残して殺害される。カイエンはその事への自戒から長き放浪の人生に終止符を打ちハスハAP騎士団長に就任。また若く才ある騎士を見出すため数々の手合いを受け、天位を与えてゆく。ダイ・グとノルガン・ジークボゥ、ナイアス・ブリュンヒルデ、ジャコー・クォン・ハッシュ注 3、クリスティン・Vとママドア・ユーゾッタ。カイエンの負わせた疵を“教え”として体に刻んだ若き騎士たちは魔導大戦に様々な形で参戦していくことになる。 ボスヤスはソロのダイバーたちをまとめボォス星にバッハトマ魔法帝国を築き上げる。前黒騎士ロードス公をその手にかけ、エストに選ばれた黒騎士デコーズ・ワイズメル、AKDのパ・ラ・ギルドと敵対するユーコン財団の会長ビューティー・ペールを同志に迎えたボスヤスは挑発と威力偵察のためフロートテンプルを襲撃。星団会議出席のため不在のアマテラスにかわりサリオンが指揮を執り、ラキシスはスペクターの力で隠される。アマテラスの分身(エイリアス)メル・リンスの参戦とオービットやログナーといったミラージュ騎士の犠牲でどうにかボスヤスを退ける。この事件を契機に戸籍を剥奪されていたサリオンは斑鳩皇子として天照家の皇位継承者に復帰し、戦死し再生に入ったログナーにかわりミラージュ騎士団の司令となる。ボスヤスはアマテラスが表立って動かないことを確認するや各国を扇動して枢軸軍を形勢、超帝国から様々な伝統を受け継ぐアトール聖導王朝を内在させるボォス星の大国ハスハ連合王国を侵略。カイエンと聖導王朝の女帝(現設定詩女)ムグミカ・ラオ・コレット(ムグミカ・アトール)を殺害。カイエンとヤーボの子である次代の詩女マグダルは二人の危機を察知してボスヤスに挑むが返り討ちで脳に損傷を負う。だが、カイエンとムグミカの「血の召喚」(マジェスティック・スタンド)に応じたナ・イ・ンが出現して首都ベイジを炎に焼き、ボスヤスは左腕を焼かれるも難を逃れる。こうして衝撃的な出来事から始まった魔導大戦は、戦災のどさくさで各地を支配下に置き、いずれ避難地として自国民を定住させようという思惑を抱くフィルモア、クバルカンといった大国や領土拡大を狙う様々な国家、分裂して独立の構えを見せるハスハ各領の思惑を孕み、戦火を拡大させてゆく。フィルモア皇帝ダイ・グ・フィルモア・5世は自らの過酷な選択に苦悩しつつ、凶状持ちのハイランダークリスティン・Vを従えて聖宮ラーンに入り現詩女フンフトの協力を取り付ける。
その一方、コーラスの王族メロディ家の元王女アルル・フォルテシモが剣聖ハリコンの用いたコーラスの旗機エンゲージSR1(新設定GTMハイレオンSR1)を持ち出し、流浪の末にハスハの傭兵になっていた。それに激怒した3世の娘セイレイは個人的動機でアルルの命を狙う。セイレイの暴走に歯止めをかけるため、コーラスはボードの実の妹でハイアラキの最後の弟子であるマロリー・ハイアラキを送り込む。こうして後に暴風三王女と称されるコーラスの三王女がハスハに介すこととなる。
AKD勢もハスハの混乱に黙っていられなかった。フロートテンプル襲撃での遺恨を忘れられぬミラージュの騎士ランドアンド・スパコーンは単身ハスハに入り、昏睡状態のマグダルと彼女を護る騎士ヘアード・グローバーを保護する。ランドはヘアードの覚悟を目の当たりにし、ミラージュを退団してハスハの騎士になることを望むようになるが、全て見透かすアマテラスから「休暇」を貰い正式に参戦。また、「カステポーの黒き女神」バーシャに鍛えられたヨーン・バインツェルは黒騎士デコースのパートナーとなった彼女(エスト)を取り戻すためデコースを倒そうとしてアイシャの力を借り、ミラージュの騎士となる。そのヨーンを心配してアイシャの妹で天照家の皇女ワスチャ・コーダンテも「微力」ながら参戦する。また斑鳩に議会運営という厄介事を押しつけたソープもまたラキシスと共にハスハに入っていた。この戦いはやがてカイエンの3人の遺児たちと彼らに協力したAKD、コーラス、クバルカンの活躍により一応の収束をみる。だが、戦火はアドラー星へと飛び火してしまう。
国家再編が進むアドラーにおいてアマテラスはバスター砲を用いた情け容赦のない攻撃で制圧する。星団連合は殺戮者としてアマテラスを告訴するが、アマテラスは星団委員会を離脱。母ミコトの定めた星団法を無視するようになる。続いて魔道大戦による疲弊と混乱が著しいボォス星のほぼ全域注 4を侵略しAKDの統治下に置く。各国首脳はこれに抵抗するが民衆はAKDの安定した統治を歓迎する。5つ目の星スタント遊星の飛来に際し、北太陽系ノウズに最接近。不確定惑星「バスター」が出現していることが判明し、アマテラスはセントリー、全ミラージュ騎士団と共にスタント遊星に向かう。バスターからナインの旗艦シングが出現し、AD世紀最強のロボットMM焔星(エンシー、新設定GTMシュッツィエン)と星団暦最強のMHLEDミラージュ(新設定GTMツゥラトウストラ・アプターブリンガー)が共に戦う。カラミティ星の地殻変動が激しくなり星の崩壊が始まる。アマテラスはカラミティ星にもAKDへの編入を要請するが彼らは拒否。人類の生存と誇りを掛けて神である彼と戦う道を選ぶ。アマテラスはカラミティー星崩壊の影響から星団を守ろうと人々を避難させ、星団への影響を最低限に留めようと奮闘するがその戦いの最中ラキシスを失う。ラキシスはカラミティー星の爆発で飛ばされたマグナパレスと共に長い長い旅に出ることになる。 やがてジュノーにアマテラスに滅ぼされた国家の騎士やファティマが集まり始め、コーラス5世はジュノー星代表に祭り上げられる。ジュノーから不満分子が星団に広まっている事実を認めたアマテラスはミコトの代から続く最友好国コーラス王朝を滅ぼす決意を固め、ジュノー侵攻を開始する。だが、思いのほか苦戦。その窮地を助けるため現れたのはアトロポスだった。彼女の助力によりコーラス城は陥落して5世は戦死。その遺児6世が女官の手で逃れる。また5世からコーラスの旗機ジ・エンドレスとAFクローソーを託され、これを隠した5代目黒騎士グラード・シドミアンはMHバッシュ・ザ・ブラックナイト(新設定GTMダッカス・ザ・ブラックナイト)でエストと共に奮戦し、僅か数騎で星団を灰にしたツゥラトウストラ・アプターブリンガーを駆るミラージュ騎士カーレル・クリサリスと激闘を繰り広げる。長時間の戦いの末に遂に倒されたグラードは亡くなり、エストは新たな黒騎士を探すことをやめダッカスと共に永遠の眠りにつく。この戦いで自らの手を汚してコーラスを滅ぼし、星団統一を成し遂げて星団皇帝となったアマテラスの心痛は極限に達する。ラキシス、バランシェ、ボード、3世、アイシャといった親友や部下を喪った痛み、星団の人々の怨嗟を引き受ける心労から隠棲を決意。バランシェから託された42番目のAFでアマテラスのコピーユーパンドラ・ライムを影武者として自らは航宙宇宙船ザ・ウィルに引き籠もる。アマテラス個人に忠誠を誓うミラージュ騎士団も彼と共に表舞台から姿を消した。
アマテラスは人類を凌駕した存在でありながら星団法の戒めで数多くの悲劇を味わってきたAFに未来を託したつもりだった。だが、ユーパンドラは愚かにも人間的に振る舞い、反感を抱く人々を恐怖政治で支配しようとする。ガーランドの技が喪われてAFやGTMも次々と活動を停止し、騎士の力が枯渇するAKDはテンプル騎士を薬物や人体改造で強化し、GTMは発掘やレストアで得て、エトラムル型ファティマを用いることで戦力を維持していた。アマテラスが事実上退位し隠棲した事実を知らない星団の人々はユーパンドラ率いるAKDの支配に不満を抱き、星団統一後もAKDの支配が及ばぬカステポーを中心に反抗天照軍を形勢していく。反抗天照軍はジュノーの密林に隠されたジ・エンドレスとAFクローソーを発見するがこれを起動するにはコーラスの王子と制御システムであるAFが必要だった。やがてアマテラスに父母を殺された大学院生のラベル・ジュード、「宝石の人」レディオス・ソープに命を救われたマイスナー家の王女デイジナ・マイスナー、剣聖スバースの末裔であるウェイ・ルースが巡り会い、彼らは反抗天照軍に加わる。ラベルは謎の少女に剣を教えられて騎士となり、ラーンの詩女からAFデルタベルンを託され後ろ盾を得てコーラス軍のリーダーとなる。またAKD軍所属の「すみれ色の騎士」ロレッタ・ランダースはGTMを盗みだし寝返る。こうしてジュノーの内戦が開始し、星団に散っていた不満分子たちが続々とジュノーに集結してコーラス軍に加わる。ジュノーに続き、アドラー星バストーニュを解放したコーラス軍にミラージュ騎士アラート・エックスも「AKDを滅ぼせ」というアマテラスの勅命を受けて参加する。アドラー、ボォスを解放したコーラス軍はAKDの本星デルタ・ベルンの内戦に突入する。この戦いにおいてラベルとクローソーの駆るジ・エンドレスとユーパンドラ、アトロポスの駆るマグナパレスは相討ちとなる。ウェイとロレッタはフロートテンプルに潜入していたがテンプル騎士に囲まれたところをミラージュ騎士ウピゾナに助けられ、ウピゾナも戦死覚悟で戦おうとした所をログナーに助けられる。ソープ♀としてちゃっかり顔を出したアマテラスの案内でウェイたちが脱出後、アラートの放ったバスターランチャーによりAKDの象徴フロートテンプルは崩壊。またアトロポスとの約束を果たしたライブの閃光により惑星デルタ・ベルンは二人の女神をも巻き込んで消滅する。アマテラスはザ・ウィルにて星団を去り、星団を解放した人々はボォス、ジュノー、アドラーの3つの星に散って国家を再建または新たに産み出していく。だが、デルタ・ベルンの戦いで星団に残されていたGTM、ファティマは大半が失われた。残されたファティマもかつてのエストのように人知れず姿を消していく。モナークセイクリッドは沈黙し、星団暦は記録を止める。
その後も続く人類の歩みをアトロポス、クローソーはライブとともに見守り続ける。星団暦換算で18000年、人類がなおも生存するジュノーではルールの騎士モンド・ホータスがバナロッテ・ナフマーニャと共に醜悪な怪物“ファティマ”を操るブラパに戦いを挑んでいた。二人の窮地を救ったのは再び幼生となっていた「すえぞう」だった。
人類にジョーカー星団の未来を託したアマテラスはラキシスを探す長き旅に出る。ラキシスはマグナパレスと共に様々な世界、様々な時代を巡る旅を続ける。
この物語は、数千年の歴史の中でジョーカー太陽星団において繰り広げられる、騎士・ファティマ・戦闘兵器(MH→GTM)を中心とした文明と人々の営みの因果と帰結を描く壮大な叙事詩である。その終わりは緑の星フォーチュンにおける最後の戦いの後にアマテラスとラキシスが再会。花の詩女ラーンが託した種が蒔かれ、二人の娘として第85代天照家女帝カレンが「出現」し、ムグミカの預言どおりカイゼリンとタワーはフォーチュンに残って人々を見守り続け、カレンはマグナパレスと共にタイカ宇宙に旅立つことで幕を閉じる。アマテラスは全能神天照大神となってジョーカー(スペクター)を産み出し、ファーンドームの星王マキシやシルヴィス、ARCと共にクラウン大銀河と人の営みを見守り続けることになる。
モナーク・セイクレッドの解析が終わりその実態が判明したあたりでクラウン大銀河の歴史が「何者か」により旧設定から新設定に突如として改変されたことがアトロポスとすえぞうのやりとりや楊貴の様子から示唆される。