アキハバラ電脳組
あらすじ
テレビシリーズ
2010年、主人公である花小金井ひばりは小学校を卒業、晴れて中学1年生となる。ひばりは夢の中の王子様に恋をする心惹かれる明るく元気な少女であり巷で流行りの電脳ペットパタPiに夢中であったが、進学した秋葉原第三中学はパタPi持ち込み禁止であると知り入学早々にして幼馴染である桜上水すずめに慰められるほど落ち込んでしまう。そんなひばりは中学校の入学式の帰り、夢の中の王子様に出逢いパタPiをもらう。ひばりはデンスケと名付け学校に連れていくが、謎の巨乳美女ブラッドファルコンに襲撃されたことでデンスケは白い翼を持つディーヴァ「アフロディーテ」を召喚、ひばりはまだ全貌が見えぬ敵との戦いに巻き込まれていく。
パタPiを巡る戦いの中でひばりは東十条つぐみ・泉岳寺かもめという大切な友人と出会う。当初は敵として現れた大鳥居つばめとも数々の衝突を経て心を通わせる仲となり、5人はアキハバラ電脳組として絆を深めていく。ブラッドファルコンだけでなく新たな謎の巨乳美女であるデスクロウ、ダークピジョンも参戦し襲撃はますます激しいものとなっていく。更にひばりが憧れていた王子も黒い王子として登場、ひばりとの数々の邂逅の中で意味ありげな台詞を残し去っていく。数多くの襲撃を受けつつも憧れていた王子と出逢えたことでひばりの心は満たされていたが、真実はひばりの心を追い詰めていくほど残酷ものであり次第にアキハバラ電脳組の心を砕いていくことになる。
憧れの王子だと思っていた黒の王子である竜ヶ崎鷹士はひばりが憧れていた王子と容姿が瓜二つの別人であり、鷹士がそのことを告げられたひばりは大いに動揺してしまう。更に鷹士自身もひばりが憧れた本当の白い王子であるクレイン・バーンシュレイクの劣化クローンに過ぎず、養父である竜ヶ崎鷲羽やシゴーニュをはじめ周囲から愛情を得られないことに苦しみを感じていた。そしてその鷹士が息子として愛してほしいと願っていた鷲羽やシゴーニュもまた見捨てられた存在であり、彼らが同志と信じていたクレインが自分たちを裏切って宇宙へ旅立ったことを恨み数百年の時間をかけてクレインを地球に呼び戻すためだけに秋葉原を作り上げるなどの妄執に囚われるほど追い詰められていた。全ての元凶とも言えるクレインに至っては天才であるが故に人間に絶望し、純粋な感情を持った少女以外には興味がもてなくなってしまっているという救いのない存在になり果てていた。
クレインが地球に再び降りてくる時が近づいたことで最終決戦も近づいてくるが、その頃には敵味方入り乱れ互いに何のために戦っているのか疑問に感じる者が出るほどの惨状となっており、物語当初の頃のように余裕をもった台詞回しをできる者がいなくなってしまうほど誰もが精神的に追い詰められていた。戦いも秋葉原、日本、世界全てが影響を受けるほどの戦場が広がっていき、アキハバラ電脳組の5人は事情を知らない人々がもつ心無い悪意というものを知ってしまう。
やがて鷹士は鷲羽とシゴーニュによって見捨てられ、そのシゴーニュは鷲羽によって見捨てられる。鷲羽もクレインによって見捨てられ、クレインは自分自身と純粋な心の少女以外には興味がないという本性を明らかにする。それぞれの妄執に囚われていたとはいえ、自分が求めるもののために命を懸けて戦ってきた敵が消えていったことはアキハバラ電脳組の心に深い傷跡を残していく。ひばりに至っては自分が憧れていたクレインは王子でもなんでもなく、一人で勝手に世の中に絶望して純粋な心の少女にしか興味をもてなくなったわがままな少年に過ぎなかったと知ってしまい一時は立ち直れないほど落ち込んでしまう。
最終的にひばりに拒絶されたクレインは世界の行く末を何百年か何千年か見守ると言い残し宇宙に戻っていった。戦いは終わり秋葉原には平和な日々が戻った。
劇場版
王子様の一件が過ぎ去ってから4か月後。ひばりたちは中学2年の1学期を終え、夏休みの準備に余念がなかった。そうした中で地球で再びプリムム・モビーレが確認され、アキハバラを中心とした地域に異変が発生し始めていた。度重なる断層発生や停電により都市機能は麻痺、日常生活を送ることさえ困難になってしまう。治安回復の責任を問われた警察は責任を逃れるため、4か月にひばりたちがクレインと共に宇宙へ旅立たなかったことが原因と主張、因縁をつけられたひばりたちは全ての責任を押し付けられてしまう。
心無い警察のやり方に傷つきつつも、自分たちの住む街が困っているのを見過ごせないひばりたちは宇宙へ出てプリムム・モビーレに到着。就寝中のクレインがホラー映画を見せられていたことで悪夢にうなされていることを知る。地球の異変はクレインの願いを具現化するプリムム・モビーレのメインコンピュータがクレインの悪夢を読み取ったことが原因であり、アキハバラ電脳組の活躍によりメインコンピューターは破壊されプリムム・モビーレの暴走はとまった。地球を救ったひばりたちは秋葉原へと帰還する。 公開時のキャッチコピーは“日常が崩壊する”だった。