うた∽かた
神奈川県の鎌倉に住む中学2年生の少女・橘一夏は1学期の最後の日、学校の大掃除中、双子の家庭教師の藤堂誓唯と藤堂繪委から貰ったお守りのついた携帯電話を落としてしまう。下校途中にそれに気づいた一夏は夕暮れの学校へ戻るが、不思議なことに携帯は鏡の中へ入り込んでしまっていた。そこに不思議な少女・黒城舞夏が現れ、携帯を返す条件として、神精霊(ジン)の力を使い、その感想文を代わりに書くことを要求してきた。戸惑いながらも了承した一夏は、舞夏を自宅に下宿させながら、神精霊の感想文も含めての夏休みを始めた。
親友の多岐川皐月、篁蛍子、宗方未知留にも舞夏を紹介した一夏は、5人で楽しく過ごしながら、神精霊の力も使っていく。だが、その過程で人の負の面にやるせなさを抱いた一夏は神精霊の力を制御できず、人を殺しかける事態にまで発展。心身ともに追い詰められていく。
残りの神精霊が、あと1つだけになった一夏の前に、隣人の木暮沙耶が現れ、真実を語り始めた。沙耶の正体は、鏡の神精霊であり、一夏は世界の運命を決めるための試しの子に選ばれたこと。舞夏と繪委は沙耶の分身で、誓唯は一夏の先代の試しの子であったが、「世界を消すか」「自分自身を消すか」を答えられなかったこと。今度は一夏に選択が迫られるが、一夏は舞夏を介して送られてきた、皐月、蛍子、未知留を初めとした人々からの電子メールで励まされ、「どちらも選ばない」ことを選択。ルール違反として、命を奪われそうになるが、舞夏から命を与えられたことで助かり、繪委も誓唯と共有していた命を返却するのだった。2人の試しの子は解放され、元の生活に戻り、今も世界に試されていることを感じながらも生きていくのだった。