Missing
https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51nk-Cd7rSL.jpg
概要
不条理さとリアルさに満ちた、ライトノベルの枠に収まらない本格的現代ホラーファンタジー小説。日常感知できない「怪異」の恐ろしさを描く。最初から最後まで『現代ファンタジー』と称されているが、ホラー度もかなり高い。泉鏡花的な幻想・怪奇趣味と日本的な「死の美学」が上手くマッチしており、文章は文学的表現が多々見受けられる。1,2,5,8巻以外は「完結編」とあわせるなどする『続き物』。近藤武巳から見た空目恭一の物語であるとされている(13巻より)が、様々な人物の視点から物語が進んでいく。題材の殆どは民俗学及びオカルトの一部から採られている。 作中にはスプラッタな描写も多く、登場人物の多数が死んでしまうか、精神を病んでしまうか、狂うか、復帰不可能な大怪我を負うか、行方不明となってしまう。
ストーリー
本編
房総半島に位置する聖創学院大附属高校を舞台とし、文芸部に所属する高校2年生の男女5人と“神隠し”の少女をメインとして物語は展開する。ふとしたキッカケで次々に起こる怪現象や事件に学校は次第に蝕まれ、幾つもの“物語”が交錯して、そして段々と学校そのものが『異常』になっていく――。その中心に立つ“魔女”の“望み”とは何なのか?
1巻 神隠しの物語
物語は“感染”する――。その少女に関わる者は全てが“異界”へ消え失せるという怪異なる都市伝説。恋愛否定主義者の“魔王陛下”こと空目恭一の『彼女』と称される少女。その少女が突如現れたのをきっかけに、空目が姿を消してしまった……。残された文芸部の面々は、空目を取り戻す事が出来るのか? この話は、現代の“神隠し”の物語。
2巻 呪いの物語
木戸野亜紀のもとに1枚のファックスが届いた。ただの悪戯チェーンFAXに思われたそれは、実はとんでもない代物だった。次々に襲い掛かる凄惨な現象。空目率いる文芸部の面々は、亜紀を救うことが出来るのか?
3巻 首くくりの物語
図書館の本にまつわる三つの約束事。それを破ると恐るべき異変が起こる。日下部稜子が借りた本の中に、覚えの無い一冊の本が混じっていた。それをきっかけに、『三人兄弟』と『首吊り』に関わる怪異が連鎖して起こり始める。
4巻 首くくりの物語・完結編
異端の作家・大迫栄一郎の残した忌まわしい本『奈良梨取考』。首をくくって死んだ稜子の姉、歩由実の兄、そして… 空目率いる文芸部の面々は、一人の“魔道師”の陰謀から稜子を守れるのか?
5巻 目隠しの物語
稜子に誘われて、“そうじさま”と呼ばれる怪しげな儀式に参加した近藤武巳。儀式の間に起こった現象、そして主催者の月子が自殺したのを機に、彼らの周りに異変が起こり始める。時折視界をよぎる『目隠しをした少年』の影は、武巳にどんな影響をもたらすのか。そして残った“感染者”の運命は……
6巻 合わせ鏡の物語
聖創学院大付属高校に訪れた文化祭の季節。美術部の展覧会場に設置された特別展に飾られた、一人の美術部員の“悪夢”を描いた連作。その絵は、空目達文芸部の面々に充分衝撃をもたらすものだった。文化祭の喧騒にまぎれて、また新たなる怪異が始まる。
7巻 合わせ鏡の物語・完結編
異変の元凶と目されていた八純啓を襲った異常事態。怪異はまだ終わっていなかった。『合わせ鏡』が次々に引き起こす現象に、空目達はどう対応するのか。
8巻 生贄の物語
聖創学院大付属高校の女子寮シャワー室から少女が一人消えた。再び始まる『物語』。生贄と、“宮司”。一方、空目はある決意を固めた。それは……。
9巻 座敷童の物語
聖創学院大付属高校に“魔女”が帰還した。大勢の、“使徒”を連れて……。それと同時に突如流行り始めた奇妙な“オマジナイ”の正体とは?
10巻 続・座敷童の物語
聖創学院にどんどん蔓延する『自分の欠けたものを補ってくれる儀式』。その怪異に影響される一人の少女、そしてその結末とは。
11巻 座敷童の物語・完結編
亀裂が修復できなくなり、ついに分裂してしまった文芸部。しかしそんな中、自分の欠けたものを補ってくれるオマジナイ“どうじさま”に隠された真の目的が判明する。
12巻 神降ろしの物語
聖創学院を蝕む多すぎる数の怪談。しかし、『携帯電話が死人の声を受信する』という噂が急速に広がると同時に、その数は減っていき……。それは果たして何を意味しているのか、最後の『物語』が動き始める。最後に待ち受けるものとは。
13巻 神降ろしの物語・完結編(最終巻)
招き寄せられる“ともだち”。その呼び寄せの儀式、『神降ろし』――。儀式の進行を止められない、分裂状態の文芸部の面々。“神隠し”の少女。願望を果たそうとする“魔道師”。ただ嗤う“魔人”と、儀式の主催者“魔女”。しかして、最後の『物語』の結末は。
番外編 「夜魔」
電撃hpや電撃hpSPECIALにて掲載された作品。ハードカバーで単行本化。登場人物は神野と中学生時代の詠子、そしてそれぞれの話の迷い子達。hpとhpSPESIALに掲載されたのは『夜魔 罪科釣人奇憚』、『夜魔 薄刃奇譚』、『夜魔 魂蟲奇譚』の3つ。単行本には上記の他に『繕異奇譚』、『魄線奇譚』、『現魔女奇譚』の3つが加わっている。
『罪科釣人奇譚』(とがつりびときたん)
「目潰し魔」といわれている連続殺人鬼、阿坂洋介。彼は鏡の中に棲んでいる異形の『魚』が見え、珍しい『魚』が棲む人間の瞳を“釣り場”として使用していた。ある夏の日の朝、いつものように“釣り”をしていた時、散歩をしていた中学生の十叶詠子に出会う。彼女の瞳で“釣り”をしようとした時、“彼”が現れた……。
『繕異奇譚』(つくろいきたん)
実家からぬいぐるみを持ち帰った翌日、三条歩は『白い手』の悪夢を見た。時間がたつにつれ、徐々に悪化していく悪夢。その原因がぬいぐるみにある事に歩が気づいた時、悪夢が現実になり始めた……。
『魂蟲奇譚』(こんちゅうきたん)
樋渡直樹には「蟲」が視えた。「蟲」が人の魂だと気づいていた直樹は、中二の終わりに肺炎をこじらせる。激痛のあまり死を覚悟した直後、直樹は自分の体の中から「蟲」が這い出そうとするのを感じる。「蟲」への恐怖から一命を取り留めた直樹だったが、その後、だんだんと「蟲」を視る力が強くなっていき……。
『薄刃奇譚』(はくじんきたん)
中学生だった十叶詠子のクラスメイト、井江田孝。彼は、城山・尾久・赤木・河本の四人から酷いいじめを受けていた。四人への激しい憎悪から、自分をカッターで傷つけているうち、ついに死ぬ程の傷を自分自身でつけてしまう。だんだんと薄れゆく意識の中、それでも四人への憎悪を抱き続けていると、“彼”が現れ……。
『魄線奇譚』(はくせんきたん)
詩乃と歌乃は、八年前に幼馴染みであった「祐くん」を交通事故で失ってしまう。「祐くん」が二人の目の前でトラックに轢かれ、無惨な死体となってしまったあの事件は、いつしか二人の間で禁忌の話題となっていた。ある日、二人は「祐くん」が死んだ交差点で十叶詠子に出会い……。
『現魔女奇譚』(ゆめまじょきたん)
十叶詠子は、毎朝飼い犬のヨハンと散歩をしていた。さまざまな「モノ」達に出会いながら散歩を続けていると、神社で神野陰之に出会い……。