事情を知らない転校生がグイグイくる
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『事情を知らない転校生がグイグイくる』を読み始めたのだが、現実としてどうやっても救われないいじめが起きているとしても、お話の中だけではたとえ嘘であっても、価値の転倒が起きて、渦中のひとが救われるということがあってもいいのになといったことを考えていた。 ちょっとだけ読んだのだが、『中二病でも恋がしたい!』のフィクショナルなレベルでの恋愛と似てるなと思って、下の記事を読み返したくなった。 クラスメイトから西村さんへ迫害の意図をもって発せられたメッセージが、転校生の中二病な高田くんの解釈を経て、別の意味に書き換えられて西村さんに届けられると、恋愛的な意味で受け取られるという勘違い要素が面白い。メディア論的な作品だな。
意図されたことと全く違った意味で受け手が解釈することを通じてコミュニケーションが成立することがありうるというのは、よくよく考えてみると恐ろしいことにも思えた。たまたま歯車が合って良い方に傾いていたならば問題ないのだが、最悪な形で転がるということは現実でもありそう。
この記事での人類学者のように、西村さんは自分が置かれている状況について観察して、どういうゲームが行われているかを理解したうえで、高田くんを巻き込まないようにしているのだが、高田くんは別のゲームと解釈して上書きしてしまうのが面白い。メタメッセージの誤読。
死神だとか悪魔だとかいった悪口を言うとき、メタメッセージでは、いじめの意図をもっていて、でも高田くんは中二病なのでメタメッセージを無視して、素直に直接的に(穿った解釈でなくて文字通りの意味で)解釈することができるという部分が面白い。
気になるのは、西村さんは高田くんのメッセージを、直接的に文字通り受け取っているのか、それとも高田くんの意図する中二病の意味として(それを理解して)受け取っているのか(両方なのか)という部分。