『ソラリス』
スタニスワフ・レム
訳 沼野充義
ぼくたちは、ぼくたち人間は、ごく平凡な存在、つまり宇宙の雑草のようなものであって、自分たちがどこにでも見られる雑草であることを、つまり自分たちが平凡であることを誇りにしているんだ。そして、どんなものでもその平凡な器の中に入れられると考えてきた。そんな図式を持って人間は喜び勇んで彼方へと旅立っていったんだ。いざ、別世界へ!でも、それでは別世界というのはいったい何だろう?征服するか、征服されるか。人間たちの不幸な頭脳には、それ以外のことはなかった。