Leje式 赤ぞね映像制作
Lejeのキャンパス 最後の講義です
前置き
RED ZONE作者であるLejeは、「音声は楽しいけど映像は辛い」という界隈の風潮に逆行して映像ばかり作ってきた。
一体なぜだろうか。(ウミガメのスープ)
僕が5年間RED ZONE作者Lejeとして活動して、見えてきたことを雑に記します。
書くことは基本ぞね界隈宛てです それ以外の人は読んでも何言ってるか分からないかも
※古い部分は2022年くらいに執筆しています 直せるところは直していますが、当時の環境や感覚のままの文章もあリます
本編
なぜRED ZONE界隈に来たのか
Lejeのココがスゴい!
https://gyazo.com/51a91a770df9728c28fa9c770f94b7ea
少なくないクリエイターがそうであるように、おおもとは自己顕示欲を満たすためにLejeをやっていました
対象がRED ZONE界隈だったのはほとんど偶然だと思う
RED ZONEの音MADが好きだったから
なんで画像にしたの?
The音感チェッカーの結果が記事サムネになるのが嫌だったから
これも嫌だが?
理想
いつの間にか界隈に新しい映像表現の風を吹かせることが行動理念になってた
音MADが好きだから、より多くの作者によりよい音MADを作って欲しい
界隈規模で移り変わっていく流行が好きだったし、新しい表現がどんどん浸透して欲しい
そのこともあり、映像表現に関してはずっと界隈最先端でありたい気持ちがあった
個人的にはそこそこ仕事できたと思っています
今はもう僕より技術力が高いと感じる人がどんどん増えてきていますが、新しい表現で遊ぶことにおいては最後まで最先端でい続けたい一心でした
なんで映像の方だけ?
視聴者だった頃から映像作品としてしか音MADを見てなかった節がある
僕が視聴者だった頃のRED ZONE MADは音声作風似たりよったりだったし
合作でも映像の癖で作者特定してた
音MADの本分は音声だという意見は今なら理解できますが……
やっぱ映像で音MAD見てることの方が多い
といっても、もう少し耳がよければ音声においても同様だったかもしれない
自己顕示欲の捌け口がひとつ増えるから
でもThe音感チェッカー両方Cを舐めないでいただきたい
https://gyazo.com/71341e807b537526a404980ed3e8b36e
和音の耳コピとかマジでできない 全通りの音階を試しても結局正解が分からない
調がずれていても全然気付かない サナトリ村のBGMの違和感が未だに分からない
単純に音声に関しては理解不能な部分が多い
美しい音を奏でるには倍音か旋律のどちらかが必須な筈なのに、それらに関する理論は誰も理解していないのに、何故かみんな上手くできる
そういった理論の勉強とかも触れたことはありますが、もう半ば諦めてます
身体論
映像を作るときに考えていること
この章から技術共有のようなものです
基礎技術
ゐ合作の審査基準表における「基礎技術」と同義のものとします
Lejeは基礎技術で満点を取ろうとはあんまり考えてないことが多いです
多すぎない情報量でバランス良く魅せることを心掛けています
基礎技術より、構成や細部へのこだわりに時間をかけたい
作業量で人を圧倒したい気分のときはここに本気出すこともあるんですが、何十時間もかけて結局まとまらずに全部作り直すことが大半
テキストアニメーションやモーショングラフィックスがごく普通に見られるようになり、多彩なモーション付加の技術は当然のものになりつつあります
1回真似してみるだけで比較的すぐに身に付きやすい手軽めな技術なので、やるだけやってみて
極めればどこまでも奥が深いのは他の技術と同様
立体に関しても、Blender等3DCGソフトの導入は以前よりだいぶ一般的になりましたね
Lejeは追いつけてないからわからん
基礎技術は、ツールを導入して触ってみるだけですぐに表現の幅が広がります
最初は難しいかもしれないので、丁寧に教えてくれる人を探しましょう
技術2
ゐ合作の審査基準表における「技術2」と同義のものとします
僕の映像技術の8割はこっち
デザイン楽しすぎ!!!!!
イージングがバチッと決まった時うれしすぎ!!!!!
カラグレ入れるだけでテンションアゲアゲすぎ!!!!!!!!!!!
必須アイテムは高度なツールとこだわることです
合成カラグレやイージングスクリプトに物足りなくなったらスタート地点です
自分のこだわりを信じて試行錯誤すれば、すぐに応えてくれるのが高度なツール
カラグレにおいては、拡張色調補正やトーンカーブなどが代表的なツールです
仕様をある程度理解してから触った方が良いでしょう
イージングは、マルチベジエ軌道さえあればだいたいなんでもできます
イージングスクリプトで止まってる人は、ベジエ軌道+減衰振動くらいから始めても良いです
基本効果やグループ制御を積み重ねれば、ややこしい動きにも簡単に対応できます
デザインは用いるツールに関わらず、必須アイテムに知識が加わります
色も形もフォントもレイアウトも、それぞれがそれぞれの「伝えられること」を持っています
伝わってくることがチグハグなデザインは避けたい
つまり、知識としてデザインの要素それぞれの「伝えられること」を理解していること/感じ取れることが前提になります
最後は経験が物を言います
長くやってると自然と自分なりのスタイルができてきます
信じて貫いても良いし、新しいスタイルを探しても良いです
構成
僕の構成の思い付き方は時によって様々です
1: 最初にやりたいことをいくつか決めて、構成にまとめる
2: 何も決めてない状態でひたすらオブジェクトを置き、偶然構成としてまとまったオブジェクト郡を採用する
3: 構成が天から降りてくる魔法
など
1は、やってみたい表現やパクりたい表現から広げていきます
様々な分野の作品を観察していると思い付きやすい
リスペクト作品を作るときもこれで、その枠組みから広げていってオリジナルの要素を考えます
2は、多様な技術を元から持っていれば大変有効です
雑なプロジェクトをまとまった構成に仕上げるのは、最初からまとまった構成を思い付くよりかは簡単
3は、恒常的にインプットをしていれば意外と使えます
音声を無限ループしながら目をつむり、映像の夢を見る
僕は1のアプローチから映像を作ることが多いですが、最初に思い付くことは割となんでもいいです
まんま画面構成でも、配色でも、トランジションでも、雰囲気でも
3のようにして思い付いた一部構成から広げていくのも良いです
特に長編を作るときには2を何回も繰り返すことが多いです
数撃ちゃ当たる
めちゃくちゃ無為に時間が費やされます
3桁時間とかかかるのはこの所為
最終的に決まった構成どおり編集する時間だけなら大抵50時間くらいには収まると思う
構成に関してよく考えることは、音MADの映像であるという前提を崩さないこと
何をどう表現しようと自由は自由ですが、音MADの映像としてのクオリティは商業映像のクオリティと一直線ではないことは意識したい
人によって考え方の違う曖昧な前提なので、各々の考え方で良いと思います
ダメなのは何も考えないこと
音MADの映像は、基本的には音声と素材がどちらも常に前提にあります 考えてみれば珍しいことです
多くの動画編集では、音声はバックグラウンドとして、動画を味付けするために後から足されます
対してMVやBGAなどでは、基本的には音楽のみを前提として表現でき、素材は映像のために選ばれます
音MADと同じ特徴を持つのはAMV/MADあたりでしょうか
音声の印象と素材の印象を同時に再現するために、繰り出せる表現は限られています
そのため、一般的な商業映像の表現を考えなしに音MADに持ってくると失敗します
いっぱい失敗した
大変な途中下車シリーズは少し例外的ですね
やりたい映像表現にあわせて素材を撮影できる
途中下車の映像は、他の音MAD分野とはほとんど独立した進化を遂げている印象がありましたが、そういう理由もある?
とはいえその路線、鉄道会社、鉄道そのものが前提にあたるので、蚊帳の外とは言えないでしょう
簡単な話だと反転映像って大事じゃん?
音声と素材を同時に表現できる、最も基礎的で重要な表現です
音MAD特有の表現なので、これを目立たせておけば簡単に音MAD然とした映像になります
反転のみを素材や音ハメのメイン要素にする場合、反転を目立たなくしては絶対ダメです
当然、反転が全てじゃないですし、いろいろな表現があります
素材に関連するものを目立たせたり、何かしらで音ハメしたり、音声や素材に最低限の気遣いをすることが大切
ところで、反転にとりあえず動きをつける文化がありますが
反転の動きにも音作りや映像の雰囲気との相性があるので、よく考えましょう
優しい音作りなのに勢いよく動いてたら不自然 的なこと
こういったことを当たり前のように思い出しながら作れば、MMDを使おうがElement 3Dを使おうが、素晴らしい音MAD映像ができると僕は考えています
リスペクト
リスペクトは構成を考えることの放棄に非ず
思考停止して作品の個性をぶん投げてしまうのは悲しい
映像などのビジュアル創作は、同じ作り方をしたら同じものが出来上がるものです
「同じような作品を量産して何が楽しいの?」といったテンプレ界隈批判にも頷くしかなくなる
構成を丸パクリして再現性で勝負したい場合以外は、素材に応じつつ自分のやりたい表現を見つけて、作品に自分なりの個性を持たせたい
これはただの思想なのであんまり重く受け止めないで下さい 人による気もする
僕は個性を殺すくらいならリスペクト元の構成を多少無視していいと思っています
インプット
映像やグラフィックなどを観察することです
僕はX(旧Twitter)を主として、VimeoやYouTubeで適当に映像を流したり
「リファレンス」と呼ばれるもの
人にインプットを勧める時は「Lejeのいいね欄を見ろ」と言っていたほど
映像の調子が出ない時は決まってインプットをサボっていた時だったほど、字面以上に重要な工程
「オリジナリティとは何か?バレない盗作である。」(ウィリアム・ラルフ・イング)
インプットとは、バレない盗作の一プロセスです
パクる元をたくさん知っておくことです
ただ眺めるのではなく、僕は表現に注目して見ます
「この表現いいなぁ」
「こう表現することで~~な効果が出ているんだなぁ」
「作者は~~な印象を与えたくてこういう表現を用いたんだなぁ」
ある印象や効果を与えたいときにどういう表現のしかたがあるのかを見知っておくことで、着想までの近道ができます
時間をかけて得たオリジナルな着想も、大概はどこかで見たものを思い出しただけ
らしいですよ?なら近道したって変わらない
技術共有・アドバイス
このようにScrapboxに解説記事を書いたり、Xで気分的に技術共有をしたり、
マンツーマンの解説やPFの譲渡も人一倍積極的にしていたつもりです
理由は理想に書いた通りのこと
要は、自分の知識を使ってみんなに良い音MADを作ってもらいたい
作品や表現を丸パクリされても、それで技術を身につけてくれたり、良作が生まれるなら全然構わなかった
むしろ「僕がいなかったらこの作品は生まれなかった」と勝手に自負して喜んでた
それでも流石にPFの横流しなどは禁止しています
あくまで閲覧用として扱ってとも書いていました
どこまで渡っていくのか分からんのは少し怖い
とりあえず書いておけば後で問題が起こっても対処しやすいので、書き得
アドバイスをする側の気持ち
人にアドバイスや解説を乞うときに留意してほしいこと
Lejeが受ける質問は、具体例となる作品について「ここの表現はどうやったらできますか?」というものが多かったです
分からないことは分からない
自分の作品の表現についてだったら完璧に解説できますが、人様の作品の場合そうはいきません
特定のスクリプトなどを使えば簡単にできる表現ならまだしも、具体的な設定値なんて知りようがありません
僕は頑張って再現しつつ解説していましたが、とても時間と手間がかかります
それでも制作者本人より正確なことは言えませんから、本人に質問しにいくのが理想です
本人以外に聞くなという訳ではないのですが、少なくとも具体的な設定値を聞くのはやめましょう
「〜〜はどうすれば上手くなりますか?」といった質問も受けることがあります
人それぞれ違ったやり方があるので、自分なりのやり方をとりあえずで回答します
色んな人に聞いてみて、自分にあったやり方を参考にすると良いかもしれません
それなら「どうやって勉強しましたか?」といった聞き方の方が良いのかも
あとは一般的な質問のマナーを守ると良いですね ここでは語らないでおきます
僕もよくわからんし
優しい人や変わった理想の持ち主はすぐに回答をくれますが、そうでない人もいます
人にアドバイスしている余裕がない人もいます
アドバイス依頼が殺到しすぎて、回答が雑になったり対応が冷たくなってしまう人もいます
許して労ってあげて
そういうときは他を当たりましょう アドバイスする側としてもそれが最善だと思います
PFの譲渡についても少し
PFは戴きに伺うものではないです
制作者が自主的に配布したり、ふとしたときにくれたりするもの
貰えないかと頼むのは、一定以上の関わりがある人に限定しましょう
Lejeは名前知っててよっぽど悪い印象なかったら歓迎するよ
唐突に貰いに伺うと、優しい人や断れない人は渡してくれますが、あまり良い印象は持たれないと思います
そもそも、人様のPFを貰って参考にすること自体を邪道とする人もいます
冗談でも自慢したりひけらかしたりは控えた方が良い
まとめ
A. Lejeは、新たな映像表現を界隈に広めることを目標としていたので、映像ばかりを作り、それによって得た技術を界隈に共有することを楽しんでいたから。
RED ZONE界隈、引いては音MAD界隈にLejeはどれくらい影響できたでしょうか
自惚れか
RED ZONE界隈の映像作者の卵たちが元気に育っていくのを、外からこっそり見守るのがこれからの理想です