藤田卓仙氏(第2回ゲスト)
国立国際医療研究センター 国際医療協力局 グローバルヘルス政策研究センター 特任研究員
慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室 特任助教 システム医療研究開発センター メディカルAIセンター
名古屋大学大学院 経済学研究科 学術研究員 医学部附属病院 メディカルITセンター 招へい教員
理化学研究所 医薬プロセス最適化プラットフォーム推進グループ 客員研究員、
厚生労働省 レセプト情報等の提供に関する有識者会議 構成員
医療政策学、医事法学、医療経済学、医療情報学の観点から、学際的な研究を行なう。健康医療情報のプラットフォーム化と情報の利活用、大学医学部における産学官連携、地域包括ケアシステム・在宅医療における法政策、医療事故と専門職の責任、ヘルスケアにおける広告表示規制、医療等個人情報保護法制、医学領域における知的財産権などを研究テーマとしている。
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ゲノムデータを含む医療データの現場と未来の展望について自由に話す。
関わっている(主だった)研究
医療トレーサビリティの確保
高齢者の安全で自律的な経済活動を見守る社会的ネットワーク
高齢者の詐欺被害を防ぐしなやかな地域連携モデル
精神科での遠隔医療プロジェクト
精神科での機械学習を使った診断システム開発
パーソナルライフレポジトリー(PLR)による情報の分散管理
移民・難民のためのwellbeingプラットフォーム
医療や健康をテーマに様々な活動している
医療データの現場
19世紀から臨床的な経験を医療情報誌で世界的に共有していた。
50年、60年代から医療データの電子化が進む。
90年代から、Evidence Based Medicine(EBM)やヒトゲノムプロジェクトが始まった
2000年代から地域での医療情報連携や公的データベースの整備や次世代シーケンサーが進んでいった
2010年代にこれらの情報に加えて電子カルテ情報、オミックス情報の活用が進んでおり、また、現在第3次AIブームにある
医療データを中心としたリーガル・デザイン
医療情報
どのようなデータが使えるか
医療経済
データからどのようなことが言えるか
医療政策
どのような政策をとるべきか
医事法
どのような法律が必要か
医療情報と「医療データ」
誰が、どこに、どのような形で医療データをもっているか?
そしてそこに誰がアクセスできるか?
医療経済と「医療データ」
どういうデータを使った分析をするか?
分析手法は?
結果から何が言えるか?
医療政策と「医療データ」
政策のための根拠としてのデータ
データに関する政策
医事法と「医療データ」
医療に関する法律と、データに関する法律
個人情報としての医療データの取扱
医療データはどのように使われるか(研究)
日常診療を通じたデータ取得
研究計画立案
倫理審査・承認
原則本人同意に基づいて、研究に必要なデータ取得
介入を伴う場合は研究登録をした上で介入を行う
データ分析:統計解析
論文化・診療ガイドライン化を通じた研究成果の発表
個人情報保護法との関連
医療データは要配慮個人情報(オプトアウトでの取得・提供ができない)
ゲノムデータは個人識別符号かつ要配慮個人情報
トレーサビリティの確保(提供の記録等)
海外とのデータやり取りに際して同意が必要
認知症等同意能力が十分じゃない場合の対応
医療目的の場合は、「黙示の同意」や「本人に代わって」、「本人と一体」での提供により大きな障害はない
研究に際しては、「ミラクル解釈」によりオプトアウト等は可能。同意困難の基準に課題がある
個人情報保護法制2000個問題
ややこしい「匿名化」、「提供元基準」との関連
次世代医療基盤法による「丁寧なオプトアウト」
ここまでやるなら、同意を取るほうが良いのでは?
医療情報について、どこまで匿名化できるのか?
未来の展望
次世代保健医療システム
本人を中心にデータを集め、つなげていくPeOPLe(Person-centered Open Platform for wellbeing)というプラットフォーム
今後必要な法整備
本人を中心としたルール整備
医療等IDの整備
個人単位での障害に渡る医療データ取扱
マイナンバーの利用は医師会が反対している
個人単位での被保険者番号が導入される予定
本人が同意し、コントロールする仕組み
本人同意としてどのようなレベル・形式のものが求められるのか?
臨床や研究、次世代医療基盤法との間で差がある
同意の形骸化の問題
Dynamic Consentやアーキテクチャによるプライバシー保護
判断能力が十分にない場合の扱いをどうするのか?
同意以外での個人情報流通への本人の関与
Personal Data Store(PDS)や情報銀行等の仕組み
EU一般データ規則(GDPR)におけるデータポータビリティ権、消去権、プロファイリング等への異議申し立て権
データに関する権利(財産性)
誰かにコントロールさせる、ための考え方
産学官のニーズへの対応
安全な2次利用に向けたルール整備
学術研究目的→倫理委員会の仕組み、臨床研究法
安全性の担保のために設置
倫理委員会が日本は特に多い。質もピンからキリ。
学術研究とそれ以外の切り分け
ゲノム情報の取扱:遺伝差別禁止等、本人以外への影響→家族からの同意も必要
海外とのデータ流通
官民のデータベースの利活用推進
個別のデータベースの利活用の推進
複数データベースを合わせた分析の仕組み
準公的なデータベースの利活用の推進
先端的なICT技術への対応
AI等を前提とした、データの標準化、質の担保
データクレンジングも必要
現場の負担とならないデータ収集の仕組み(IoTの活用)
AI、遠隔医療、ブロックチェーン等の位置づけ
医事法全体の見直しが必要
患者本人を中心とした、医療情報、医療経済、医療政策、医事法のサイクルを回していく
患者本人へのフィードバックも行っていく