第2回パネルディスカッション
パネルディスカッション
水野
患者本人の声って政策に反映されにくいが、そのような声を拾うために医療政策ではどのような取り組みがされてきたのか?業界団体といったものは存在していたのか?
矢作
いろんな患者団体は存在しているが、分散されている(疾患毎にグルーピングされている)
全体的な団体は存在していない。
丁寧なオプトアウト
次世代医療基盤法は、自民党が「患者の声が不在じゃないか」という理由で一度止めそうになった。
「丁寧なオプトアウト」という言葉で説得することができた。
患者の声とかではなく、倫理観や正義感のある人の意見が出るかどうかが大事。国の委員会などでは弱い立場の人の声が出ていない。
藤田
患者団体の協議会を作って、政策に反映されるようにシンクタンク(日本医療政策機構)では活動していた。
有識者会議の中には、一般に患者の代表が呼ばれるが、患者団体の代表などが呼ばれることが多い。
水野
データポータビリティは、医療分野ではうまく利用できそうか?
藤田
エストニアなどではデータポータビリティに否定的な面もあるが、医療情報も含めて国家的に情報をコントロールし、本人に一定の権限を与えるという運用を行っている。
日本では医療分野のデータポータビリティに関しては全然議論されていない。
水野
個人的には利活用を阻害するような点もあるのでは?
水野
医事法全般で臨床と研究の定義はどうなっているのか?統一的に解釈するとか、うまく法的な区別をつくることができれば、違う絵が見えるのでは?
藤田
法的な定義は難しい。
症例研究は、臨床と関係しているが、これは研究ではなく臨床の位置づけ。法的なものではなく、ガイドラインレベルで規定がされている。
臨床研究法は、境界領域として「臨床研究」「特定臨床研究」を定義しているが、臨床と研究の定義の区別はない。
矢作
歴史的な背景は見逃せない
臨床は、医師の自治権として重要。
これがなくなると、救える命が救えなくなる
小児の薬の70%くらいは、目的外使用をしている
法律は、後手後手になっているので、うまく整合性は取れているが、グレーゾーンはどうしても存在している。
医師からすると白だが、法律家からすると黒になっていたりする
水野
曖昧だからこそ、使いやすいこともあるかもしれないが、曖昧だからこそ使いにくいということもある。
矢作
日本の契約書では、「〜〜の限りではない」という文言があるが、米国ではありえない。
医療は性善説でできている(パターナリズム)が、それを見直す時期に来ていると感じている
水野
デフォルトの同意取得の設定がポイントになるのでは?
矢作
同意というのが難しい。
医師の尊重というのがポイント。
自分の意志というのはどういうものなのか?
どう最後を迎えるのかを考えることも、日本では大事。でも医療者が話すのは憚れる。
自分の状態に合わせて、自動的に同意の制御を技術的に行えるようになっている。これを様々なフォーマットに適用させることもしている
どの範囲の、どこまでをアグリーしたかでしかない。
一番尊重しているのは開業医。