第1回パネルディスカッション
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菅さんの設定する制約と、アウトプットの関係はどのようになっているか
アイデアを考えるときに、制約をとっかかりにしている
ポイントは制約は不変ではないので、どんどん変えていい。
ただし、表に現れていないので、制約は表現ではない。
法的な場面でも、規制的ルールと、公正的ルールの考え方がある。
踏み台としての制約は、クリエイターが創造的な活動をするときに有効なもの
導線としての制約は、受け手を、作り手がコントロールするときに有効なもの
良い制約か、悪い制約か、の区別のようなものは?
区別というより「しちゃだめ」という言い方をしていない。「これをしていいよ」という言い方をしている。
クリエイター / デザイナーは、ハードルが高い方が燃えるという人種が多い。
厳密にそれを遵守しなければならない、というものが創作の場にはないので、そういう言い方にしている。
ルールを外れる場合
急に許されると、モチベーションが下がる
デザイナーの権限乱用・支配性を注意しなければならないが、それを抑制する装置はありうるのか。
自覚的にはなった方が良いと思っている
デザイナーは人間の認知をコントロールできるという、最大の武器を持っている
ただ、何をもってそれが可能か、ということは明確ではない。
作り方に制約を与えることで、それを抑制することはむずかしい。
自分の作るものが、社会にどのような影響を与えるのか
むしろ倫理感が大切。それを教育制度に組み込んでいくことがとても大切。
デザイナーの資格制度(弁護士のような)はありうるのか?
必要かもしれない。
法律は強力な制約。ロボット法でも最初にとても批判された。これまで業界で自分たちでルールを作ってきたのに、法学者が入ってくると煩わしくなるからやめてくれと言われた。菅さんにとって、そういうルールにどういうイメージがあるか?
自主規制が多い。映像だと、いわゆるポケモン規制がある。そのような自主規制によって、意図していた映像を修正するということが現場ではよくある。
何を優先するか、というのが大切。
エッジの立った表現をしたいのか、情報を伝えたいのか、という基準で考えている。
社会のなかできちんと機能するための映像を作っている
良い制約をデザインするには、人間の心理に踏み込む必要があるが、実例はあるか?
デザインはどこまでできるのか?
想定外のことは許さないというところまで考え抜いている
あえて余白を残す、ということは考えていない
ロボット分野に法学者として入ったときに叩かれたが、どのようにコミュニケーションしていったのか?
法学者は法規制をしようとして入ってきているという誤解があった。ロボット分野を助けるために入ってきているということを粘り強く伝えていった。
(たとえば不透明な部分や外国の制度との違いを明らかにしたい、それを愚直に伝えていった)
正直、規制をしようという強い意志をもって入っていく人などいないのではないか。
法学者の側のコミュニケーション不足もあったのではないか?
言語や志向が法学に限定されているがゆえのコミュニケーションの難しさはある。
翻訳者のような人材が必要。
奴隷/動物とロボットの違いについての議論はすでになされているか?
ペットとの違いは議論されている。ペットは一回性(死んだら終わり)だが、AIは学習結果を残せる。AIBOからAIBOへデータを引き継げる。それによる取扱いの違い。
そうするとロボットはさらに謙抑的になるべきか?→だからこそ頭も良くなる。
ニュージーランドの法制度。補償した上で求償するという制度?
求償もない。重過失などの場合に懲罰的損害賠償があるだけ。
あるべき制度設計を体系化できないか? バイオでもゲノムでもAIでも、こういう順番で議論していけば制度の形がみえてくるというフレームワークがあればいいのだが。ロボット法でもそういうイメージはあるか?
こういうと元も子もないが、事件が起こって判例ができれば、とは思う。規約も準備するが、最終的には事件が起きて裁判にならないとわからない。
準備の仕方はいろいろある。海外の制度を参考にするとか、「何か使えそうだな」と思って見てみるのが大事。
ルール設計の法制度を考えるときに、「身体生命の安全」が一番大切だが、規制的なルールを最重要視して設計してから、イノベーション促進などの観点から調整するが、そのあたりの考えは?
きっかけとして、不法行為に関する事件があるが、不法行為ありきで規制が生まれることはない
規制が入り込むことで、投資などを呼び込むことがある。
問題が生まれて、枠組みが出来上がるが、そこからさらにイノベーションは起こるのか?
水野)そういう可能性はあるかもしれない。
赤坂)逆にイノベーションが起こるのでは?
法律家はデザイナーになりうるか?
なりうる
もし質問あれば下に記載お願いします!halu9.icon
Eテレの仕事をするときに、NHK的な表現にしなきゃーみたいな心の規制はかからないんでしょうか?あるとすると、さすがにそれは良くない規制になりそうな。takujihashizume.icon
かからない。視聴者のことを考えて表現をつくっている
プロダクトの設計が予定しないが、使っていくうちにユーザー側から生まれる「お作法」のようなものがありますが(Twitterの「FF外から失礼します」、自動車の運転の「名古屋走り」など)、ロボットの世界も、法規制とは別に、「お作法」のようなものが醸成されて交通整理が行われていくという可能性はないでしょうか?そういった議論はロボット法においてなされていますか?
民間的な伝承レベルなのか、自主規制のレベルなのかにもよる
ロボットの世界は、産業用ロボットの開発者がリードして自主規制を作ってきた。
ユーザーとなると、どうなのでしょう。
ラジコンヘリとドローンの世界が参考になるかもしれません!halu9.icon
どうやって写真などの課題の制約を作ったのか。デザインならではの制約の作り方はあるか。(一般に)法は過去の参照が多く、未来からのバックキャストではない/対象療法的で、ときに多く複雑になる(複雑なルールは創造性を蝕む)/バイアスがかかる。過去の参照ではなく、どう制約を作り得るか。
高速で試していく。
集団ごとに試して、比較してみる。
常に実験しながらやっていくことが重要。
(イベント後のコメント)参加者で様々に意見や感想を持った人もいると思うし、事後にここを覗いて色々考える人もいるのでは。折角Scrapboxを使っているので、参加者が事後にも自由に書けるスペースを作ってもいいのではと思いました。
たしかにそうですね!コメントありがとうございます。halu9.icon
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