土着に回帰するグラフィック
21世紀に入ってからグローバリズムが一気に加速し、世界が均質化していくことへの反動として、あらゆる場所で自分たちの出自や固有の文化を再確認する動きが起こっている。人々は最適化された「同じもの」に利便性の恩恵を受けるが、どこかで「にのままで良いのだろうか?」という漠然とした、しかし明日にはすぐに忘れてしまう薄水の危機感を募らせつつ、コミュニティデザインや地域アートなどの単語に注目している。ネット社会の整備によって、私たちは場所性を問わない生き方を可能にしたが、 かえってその土地への帰属性やそこから見つめ直す自己が問われるようになった。
このことは日本のデザイン史においても同様で、戦前から現代に至るまで、時代ごとの社会状況に向き合いながら、デザイナーや作家は「私たちは何者か、その土地固有の文化とは何か」。つまり「土着性」を起点とした思考を半ば余儀なくされ、近代化に対する素朴な疑問を「わたしたちが見るべき未来の可能性」として提示してきた軌跡がある。岡本太郎(1911-1996)は「土着性」について、日本人が本来的に持っている資質は、平坦な弥生文化(=近代化)ではなく、原初的な縄文文化(根源化)にあると指摘した。 昨今の問題解決型デザインからはほど遠い話に聞こえるが、デザインを取り巻く状況やこれからの日本を再考する上で重要な視座である。「土着と根源」。この2軸で20世紀を駆け足で振り返ってみよう。
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