近代以前の貧困者救済策
近代以前の貧困状況
世界史レベルでみて,近代以前にも貧困者は存在していた。
統治者や社会が貧困者の生活を支える(救済する)制度や慣習は,近代以前にも世界各地に存在していた。
外形上は近代以降の社会政策と類似の制度も少なくない。
古代における貧困者の救済
統治者・権力者による恩恵的な救済
限定的な救済にすぎない
継続性と権利性は保障されていない
中世における貧困者の救済
宗教団体や地縁・血縁の互助
教会による病院や貧困施設の設置
職業など仲間同士(同業者同士)の互助関係の形成
共済的な役割
イギリス友愛会→後の労働組合の源流
後のドイツ社会保険の源流
兄弟会
障害者など労働不能な貧困者が対象
友子制度/奉賀帳 一宿一飯
近代以前の貧困観
中世ヨーロッパ
〈救済に値する貧者〉と〈怠惰な救済に値しない貧者〉の区別が厳格
囲い込み運動(エンクロージャー)で農地を失った農民が浮浪者化→都市部に集中 貧困が犯罪と見なされる。
より一層厳しい取り締まり対象となる。
プロテスタンティズム(カルヴィニズム)では,貧困を怠惰による罪と見なす。
初期近代
失業者の発生: 労働能力があるにもかかわらず,景気変動で失業し,貧者になるものが発生(急増)
はじめの頃は,怠惰が原因で,取り締まりの対象として扱われていた。
次第に怠惰とは一線を画する失業の概念が浸透し,社会問題視されることになる。