近代社会の生成
前近代社会の特徴
市民社会・資本主義・国民国家(☜この3現象が支配的な社会を近代社会という)の出現後、それ以前の社会を総括して語る概念としての〝前近代社会〟。
政治的には、土地と軍事的な奉仕を媒介とする教皇・皇帝・国王・天皇・領主・家臣の間の契約等に基づく緩やかな主従関係によって形成される分権的社会制度=封建制が支配的な社会。
生活的には、地域社会・血縁家族・職業集団といった共同体的相互扶助システムが生活を支える基盤となる社会。
共同体的相互扶助システム:人間相互の生活を保障するシステム(共同体的紐帯)
自助・互助とも言われる
商品経済システム(資本制経済システム)の生成
15世紀末の「地理上の発見」(☜「大航海時代」に飛ぶが利用に要注意)が起点
15世紀末〜18世紀中頃を資本制経済システムの生成期という(重商主義段階)
商品経済の著しい拡張
「世界」が商品経済(貨幣としての金)を通じてシステム化(単一ルール化)
「世界」という認識の拡大
イギリスが封建的社会関係の崩壊から資本制経済システムへの転換をいち早く遂げる
前近代で支配的であった自然経済(☜貨幣が交換を媒介しない)が解体する
前近代の基礎にある封建制(封建領土)が解体する
農民が土地から分離される(エンクロージャー)
人々の生活基盤が180度転換する事態となる
封建家臣団の解体→「無産貧民」の創出(のちに労働者となる)
修道院の解散→戒律に基づく生活からの自由(のちに市民として主体化する)
無産貧民たちが、生活手段をもたないことから、浮浪者として都市に流入する
浮浪者を一時、犯罪者として取り締まる(初期救貧法など)
救貧法を通じて無産貧民らが賃金労働者となる
近代社会の生成
近代社会の基盤となる商品経済システムの浸透:資本制経済の進展
→ (都市化することで)「個人」が析出される
→ 個人の析出過程を通じて、社会科学の基礎が成立する
新しくできた「近代社会」を言説的/思想的にバックアップするイデオロギーとしての「社会科学」
「個人主義の誕生」/「一般大衆の形成」:商品経済を通じた均質化
「行動の合理性」(ホモ・エコノミカス 経済人)→「経済学」
「社会の形成のためのルールの明示化」→「法学」
「ルールの明示化のための話し合いと国家権力間の調整」→「政治学」
【図】近代社会のはじまり:社会科学の生い立ち
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René Descartes(デカルト)
近代社会が立脚する考え方を明示している哲学者
〝我思う、故に我あり〟:神(キリスト)を前提にしなくても、我(わたし)は存在している。
近代的自我=個人が理論的に(哲学的に)導出されている
『方法序説』:要素還元的/数学的な思考を規範とし、最も単純な要素から出発してそれを演繹すれば最も複雑なものに到達しうると考える。
①明証的に真であると認めるもの以外は受け入れない。
②考えるべき問題を小さい部分に分ける。
③最も単純なものから初めて複雑なものに到達する。
④何も見落としていないか、全てを見直す。