社会問題の変遷/社会政策論の変遷
日本における社会政策論の変遷
第二次世界大戦前後(1930〜60年代)
▷日本の社会政策の起源:
社会政策は、もともと19世紀後半のドイツで、ビスマルクが国内の〝社会問題(そのほとんどが労働者に関わる問題)〟対策のために用意したのがSozialpolitikであった。考え方の背景には、K.Marxの思想や社会主義の考え方があった。
Marxが『資本論』第1巻を刊行したのが1867年、『資本論』全3巻の日本語訳は1920-24年に完成している。
同時期にはMax Weber(1864-1920)がいて、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(1905)や『経済と社会』(1920年代)が出版されていた。
日本では、1897(明治30)年に「社会政策学会」が結成され、工場法(1911年)をはじめとする、労働者の労働条件規制や医療保険給付の実施といった社会政策が導入されることになった。
日本の社会政策学は、MarxとWeberという二大巨頭を理論的背景に持ちながら展開されることになった。
社会政策は、利潤率の維持を目的とする「総資本」の論理に従うものであり、その論理に従って生産力を発展させるために必要とされる社会の諸条件の合理化や改善を図る施策と定義する。
第二次世界大戦が終わるまでは、国家総動員という考え方が支配的であり、現在の労働三権が認められていなかった。大河内の理論は、そのなかで「社会政策」を定義するために考え出された定義と言える。
▷1950年代〜:〝戦後民主化〟の時代
WWII前から1970年代まで影響力を持つことになった大河内の理論に対抗する理論として示される。
東京大学社会科学研究所「社会政策から労働問題へ」
戦後の経済復興と労働三権の併存を可能とする研究へのシフトが発生する。
労働者の生活水準の向上を視野に入れた賃金政策や労働者の人権保護や雇用保障を目的とする労働組合運動を理論的にサポートする研究が進められる。
戦後復興期(1950〜60年代)
優先された経済復興
日本型雇用システム→成年男子の正社員+専業兼業主婦のカップリング社会(制限的な完全雇用と雇用保障)
社会保障制度の拡充→福祉国家(安上がり福祉国家)
高度経済成長の終焉期(1970〜80年代)
会社による雇用保障+家族による福祉保障
社会政策が注目する日本の現代的論点
相互自助体制の再構築 cf. 自助・互助・共助・公助
社会政策のグローバル化
人口減少社会
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