Braveが分散型Webをブラウズする「IPFS」サポートを発表
TL;DR
BraveがIPFSのネイティブサポートを発表
分散性や接続の安定性が特徴のIPFSをサポートすることによってアクセス性を含めたUX向上が期待される
プライバシー問題や法律などに影響を与える可能性もあるが、今後のインターネットのあるべき未来への大きな一歩とも言える
本文
cipepser.icon あんまり調べてないんですが、chromeやfirefoxでも導入予定あるんですかね。W3Cとかで議論されているんだろうか。
cipepser.icon おおお
Braveは、IPFSを統合的にサポートした初のWebブラウザであり、2016年に登場されたBraveの月間アクティブユーザー数は、2020年11月に2000万人を突破し、現在は約2400万人となっている。関係者によると今回のリリースでもっと多くのユーザーの参入が期待されるという。 IPFSのサポートすることによってWeb体験がどう変わるか説明する前に、IPFS の仕組みとHTTP/HTTPSとの違いを簡単に説明する。まず、既存の一般的なブラウザからWebにアクセスするにはHTTPまたはHTTPS経由でアクセスする。ブラウザにURLを入力し、HTTPもしくはHTTPSを用いて基本的にはどこか特定のサーバ(中央集権型サーバ)が管理するデータファイルにアクセスする。サーバーへの物理的な距離は、使用される帯域幅とページのロードにかかる時間に影響する。つまり、取得したいデータがユーザーと離れていればいるほどデータを取得するのに時間がかかってしまう。
cipepser.icon 帯域幅にも影響あり?
一方、IPFSは、URLとサーバーの代わりにウェブサイトのデータをネットワークに分散させる。データはipfs://で始まるURIでアクセスが可能になる。IPFSはP2Pのプロトコルであり、BitTorrentやブロックチェーンに似ているとも言える。「ノード」と呼ばれる各コンピュータやモバイルデバイスは、ウェブサイトのデータの一部を一時的に保存する。つまり、IPFS を介してウェブサイトにアクセスすると、ネットワーク上の他の近くのノードからデータを取得する事になる。もしローカルノードとして動作したくない場合は、「パブリックゲートウェイ」を介して IPFS コンテンツにアクセスすることも可能だ。
しかし、IPFSは長所と短所もはっきりしている。まず、長所としてIPFSの分散型ホスティングの最も直接的な効果は、ウェブページのロードにかかる時間を短縮することである。リモートサーバではなくローカルノードからデータにアクセスするため、ロード時間や帯域幅の要件が低下し、ファイル転送やストリーミングの速度が格段に速くなることが期待される。IPFSが普及すれば、中央集権型サーバの必要性が完全に減少するか、あるいは排除される可能性が高くなるであろう。サーバがオフラインになっても、そのデータはネットワーク全体に分散されるため、ウェブサイトがすべてのユーザのためにクラッシュすることはなくなる。
cipepser.icon CDNとの棲み分け気になる
分散型ホスティングはまた、政府やウェブホスト会社などのトップダウンの検閲をより困難にする。IPFSのMolly Mackinlay氏は「Braveを使うことによってWikipediaが禁止されているタイ、10万以上のWebサイトがブロックされているトルコ、COVID-19の重要な情報にアクセスできない中国など、制限を受けているコンテンツを世界中のWebユーザーが閲覧できる」と述べている。これは長所でもあるが、同時に短所にもなる。これは難しい問題だ。上述した通り言論の自由が保護されていない国で権威主義的なコンテンツ法を崩せば、重要な情報を見つけるのがはるかに簡単になるかもしれない(例えば検閲が厳しい国のユーザも、IPFSをサポートするBraveを使って国家のFWを迂回し、政治的理由で自国内ではブロックされる可能性があるコンテンツにアクセスできるようになる)。しかし、それはまた、問題のあるウェブサイトを削除するのがさらに難しくなることを意味する。人身売買、児童虐待、テロリスト活動のような真の危険は、問題のあるウェブサイトやコンテンツをホスティングしている中央集権的なサーバーがないため、見つけ出して排除するのが難しくなる。
また、BraveのIPFSネットワークのローカルノードとして動作しているか、単にIPFSコンテンツをロードしているかに関わらず、プライバシーに関する懸念がある。自分がノードである場合、ネットワークはユーザーに一意のIDを与える。このIDはハッシュ化されているが、他のユーザーからは閲覧可能で、他のユーザーが何をホストしてアクセスしているかを確認するために使用することができる。他のユーザーが現在ホストしている IPFS データにアクセスしている場合、あなたのデバイスと個人ネットワークのリソースも使用される。
技術面を含むいろんな面でまだ課題は多く、改善の余地も多いのが現実である。だが、今回のBraveのIPFSサポートは、インターネット民主主義の観点を含めて今後のインターネットのあるべき未来への大きな一歩であるとも言えるであろう。