哲学(中村大介)
金曜日1限(8:50-10:20)開講の本授業では、「科学哲学」を扱います。
そもそも哲学とは、科学哲学とは?
「哲学」とは、色々な学問(数学、物理学、工学、文学、・・・)が暗黙の前提として問おうとしないことを、
敢えて問い返そうというめんどくさい高い志をもった学問です。「存在とはそもそも何か」、「何かを
『知っている』とはどういうことか」などといった問題がこの学問の好物です(前者の問いは存在論、後者の問いは
認識論などと言われます)。
→科学哲学とは、科学における存在論や認識論(クォークやブロックホールが存在するとはどのようなことか、
科学の知識は日常の知識とどう違うのか、あるいは違わないのか・・・などといった問題)を、個別科学の特性・
方法論と共に取り扱う分野です。
この授業では個別科学のうち、特に「物理学」を中心に扱います。
科学哲学を学ぶとどんないいことがあるの?
(1)科学とは、物理学とは何か、そしてこうした学問の創造性とは何か、というそれ自身非常に面白い問題を
考えることできます。
(2)科学の営みを一歩引いた視点から見る態度を身に付けることができる、というのがもう一つのメリット
です。日頃その中にすっぽり入り込んでいる科学を対象化することで、批判的な視点が獲得できるよう、受講者の
皆さんを導ければ・・・と思っています。
本授業では、特にトマス・クーンの提唱した「パラダイム」に関する議論が大きなポイントとなります。
彼は、科学の大きな枠組みの変化(たとえばニュートン力学から相対性理論へ)にはどちらの枠組みがより
正しいかを測る共通の尺度はない、と主張しました。これはつまり、「科学とは天才の創造による進化などではない」、
ということです。この一見スキャンダラスな問いを真剣に考えてみましょう。
【遠隔授業の方針について】
今のところ、zoom等のビデオ会議アプリを使う予定はありません。授業開始時刻にテキストを配布し、それを
読んでもらいながら、私とやりとりをし(チャットを使います)、20分くらいたったらミニ課題を提出してもらいます。
このサイクルを3・4回繰り返して、一つの授業とする予定です。
家などでリラックスして授業を受けられますが、集中力をもって臨んでもらうことで、対面授業と同等程度の学習効果を
あげることを狙っています。やり方については受講者のみなさんと相談の上、必要に応じて積極的に変えていく予定です。