哲学特論 I(中村大介)
水曜日1限(前期2[注])のこの授業では、「エピステモロジー(フランス科学認識論)
と呼ばれる哲学の系譜を扱います。
[注]5月からは始まりません!
そもそも哲学とは、エピステモロジーとは?
「哲学」とは、色々な学問(数学、物理学、工学、文学、・・・)が暗黙の前提として問おうとしないことを、
敢えて問い返そうというめんどくさい高い志をもった学問です。「存在とはそもそも何か」、「あることを
『知っている』とはどういうことか」などといった問題がこの学問の好物です(前者の問いは存在論、後者の問いは
認識論などと言われます)。
→エピステモロジー(フランス科学認識論)は、科学史を重視するところに一つの特徴があります。
科学においてどのような「認識」の変化が生じたのか、それと共に、科学において「存在」するもの(光、音、波、原子)
はどう考えられるようになったのか・・・といった問いを中心に、科学における〈創造性〉などを考えていきます。
登場する哲学者1:ガストン・バシュラール
・好々爺(こうこうや)然としたこの人は何とも「愛しやすい」テキストを書きます。物理学の話をしているのに、
突然詩の話をし始めたりします。しかし物理学や化学を、遅ればせながら真剣に学んだ人です。
(1)ニュートン力学から相対性理論への移行はどのように生じたのか、
(2)科学にはその進展を妨げている「障害」があり、その障害は実は科学の進展の本質に根ざしているのだ
・・・といった彼の議論をみます。
・また彼の文学についての業績も取り上げます。彼は詩には「イメージ」が重要な役割を果たすと述べています。
しかしそれはどのような意味でしょう???
登場する哲学者2:ジルベール・シモンドン
バシュラールは物理学と化学の哲学を展開しました。彼の影響を受けたシモンドンは「技術哲学」の人です。
まず彼の技術の「発明」に関する議論をみます。発明やイノベーションとはよく言われるけど、それはそもそも
一体どういうことなのか? 彼は一つの定義を与えてくれます!
そして彼は、「発明」には「イマジネーション(=想像力)」が大事だと述べます。しかしそもそも
イマジネーションとは何でしょうか?・・・シモンドンの議論を通して考えていきましょう!
【遠隔授業の方針について】
今のところ、zoom等のビデオ会議アプリを使う予定はありません。授業開始時刻にテキストを配布し、それを
読んでもらいながら、私とやりとりをし(チャットを使います)、20分くらいたったらミニ課題を提出してもらいます。
このサイクルを3・4回繰り返して、一つの授業とする予定です。
家などでリラックスして授業を受けられますが、集中力をもって臨んでもらうことで、対面授業と同等程度の学習効果を
あげることを狙っています。やり方については受講者のみなさんと相談の上、必要に応じて積極的に変えていく予定です。