中村大介
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哲学・フランス語担当の中村大介です。パリ西大学というところに留学し、今ロックダウンが起きているパリに
3年住んでいました。
研究分野は大きく言うと、「フランス哲学」です。
もう少し狭く言うと、フランス哲学でも「エピステモロジー(科学認識論)」という学派を研究していて、
特にジャン・カヴァイエスという人の「数学の哲学」(数理哲学とも言います)が研究の軸です。
数学の対象(円とか無理数のルート2とか)ってペンや鉛筆を感覚できるようには認識できないし、だから
世界にある色んな物と同じようには存在していないように思える。でもそんな数学には「証明」というのがあって、
なんだか他にはないようなとっても確実な知識を与えてくれるようにも思える・・・どうです、改めて思うと数学って
不思議でしょう? そんな数学における知識とか存在とか、数学の概念って何かとか、そんなことをカヴァイエスという
人のテクストを通して考えています。
その他の趣味はミステリーを読むこと、映画鑑賞。ここ1年ほどはドライブも好きです(MT車乗り)。
前期の授業では次のようなことをやります。
1.「哲学」
科学哲学の授業です。17世紀の科学革命(ガリレオやデカルト、デカルトなどのお仕事)はどのように起こり、
また物理学の知識って他の知識とどう違うのだろう、といった問題を扱います。物理学に関する特別な知識は
要りません(物理が苦手な人でもOK)。物理学などの科学がどういう世界観の転換をもたらしたのか、科学の
創造や進展ってどういうことなのか・・・そんなことを考えたい人にオススメ。
2.「哲学特論1」
上の「哲学」の授業は科学哲学の色々なトピックを扱いますが、この授業はもう少し一人一人の哲学者の見解を
細かく味わっていきます。まずバシュラールという人の「物理学と化学の哲学」を詳細に見ます。サンタクロースの
ような見かけをしたこの優れた科学哲学者は、優れた文学研究も残しています。次にシモンドンという人の「技術哲学」を
勉強します。技術における発明とかイノベーションってそもそも何だろう、どうやれば引き起こせるのだろう・・・
といった問題を扱います!
3.「数理と哲学」
数学者の岡本卓也先生との共同授業です。今年度のテーマは「数の世界」です。小学生の頃から親しんでいる
自然数(1, 2, 3, ...)に始まり、整数、有理数、無理数・・・と数の世界は広がってきました。私は数をめぐる色々な
哲学的なテーマ(自然数を論理的に基礎付けることは可能か? 自然数論に本当に矛盾はないのか?等々)を扱います。
「ゲーデルの不完全性定理」といえば、名前を聞いたことがあるかもしれませんが、この定理についてもアウトラインを
ご紹介したいと思っています。
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