文法:言う・思う系動詞の目的語がとる格
言ったり思ったりする内容は一般に tsad 節によって示されるが、その場合 tsad がとる格には以下のようなパターンがある。
「言う」系
能格 -∅
単に述べるというときに使う。
絶対格 -bix
〈声高に〉〈主張するように〉といったニュアンスがある。
発言内容に関連することに対して影響を及ぼそうとしていることから、-bix である。
接格 -op
そのことに〈言及する / 話題を向ける〉というニュアンスがある。
能格が接辞の省略された絶対格と区別がつかなくなるのを避けるために、しばしば能格の代わりに用いられる。
「思う」系
能格 -∅
単にそのこと"を"思う(〈事象Aが事実であると思う〉のではなく、〈事象Aを思い浮かべる〉)というときに使う。
絶対格 -bix
そうである"と"思う(〈事象Aが事実であると思う〉ということ)というときに使う意。
この場合の絶対格接辞は大抵省略されない。
関連:目的語に言語名をとる場合
「(言語)で話す」(内容に焦点を置いている、あるいは言語にあまり焦点を置いていない)ときは、言語名は於格 -uъe をとる。
「(言語)を話す」(言語に焦点を置いている)ときは、言語名は(活格的)能格 -∅ をとる。
(あらゆるパロールが多かれ少なかれラングに影響する可能性を持っているとはいえ、一般的感覚として)言語は影響を受けないので活格的能格となる。