語史:語彙:前期オ゛ェジュルニョェーッ祖語の語構成(接辞仮説)
前期オ゛ェジュルニョェーッ祖語は現代語とは異なる語構成となっている。
殆どの単語は
・従属接頭辞形
・従属接尾辞形
・独立形
の3つの形に変化し、これらの組み合わせにより単語を作る。が、一部しか判明していないもの、どれかが最初から欠けている単語も数多い。
・従属接頭辞:
接頭辞形。単体では単語として使えず、従属接尾辞か独立形と組み合わせる必要がある。
・従属接尾辞:
接尾辞形。以下従属接頭辞と同じ。
・独立形:
単体でも単語として使える。一般にこれを基本型とする。
被修飾語は従属接頭辞形、修飾語は従属接尾辞形、何もつかない場合は独立形である。
この3つの形の変化パターンは多種多様であるが、代表的なものを上げる。
①補充型…接頭辞形と接尾辞形に一切の関連性がないタイプ。固有の独立型が存在せず、代わりに接頭辞形と接尾辞形を組み合わせて表現する。言い換えれば、独立形の前半を接頭辞形、後半を接尾辞形にするとも言える。
ex.)「人」 *ʕA-~ *ʕe-(接頭辞形)、*-ul(接尾辞形)、 *ʕe-ul(独立形)
②母音変化型…文字通り母音が変化するタイプ。
ex.)「方向」*kA-(接頭辞形)、 *-ko(接尾辞形)
③同型…接頭辞形、接尾辞系、独立形で変化しないタイプ。独立形が一音節の単語に多い。
ex.)「上」*bAl-(接頭辞形)、 *-bAl(接尾辞形)、※独立形はunattestedであるため、この例に該当するとは必ずしも保証されない。
④部分排除型…独立形を基準とし、接頭辞形と接尾辞形でその一部分を排除するタイプ。数詞でよく見られる。
ex.)「1」* Ak- (接頭辞形)、 * -ku(接尾辞形)、 *Aku(独立形)
⑤部分変化型…接頭辞形のみ変化するタイプ。
ex.)「水」*bVr-(接頭辞形)、* -bVriCV(接尾辞形)、*bVriCV(独立形)
⑥付加型…接頭辞形を基準とし、独立形と接尾辞形で特定の母音や子音を付加するタイプ。接頭辞形の前や後ろに付加するタイプもあるが、前と後ろに同じ母音を付けるタイプも少数ながらある。
ex.)「場所」*kəqe-(接頭辞形)、 *-ukəqeu(接尾辞形)、 *kəqelu(独立形)