人間は価値によって生かされているのではない
何ができるようになった、まだ何ができない。AIについて語るとき常にそこには「能力」の話題がつきまとう。より多くの、より高度な能力を持つAIが優れたAIであり、そうでなければ劣った役立たずとなる。
そんな「能力」の権化と人間が「能力」で張り合うのは簡単な戦いではないと思うが、その勝敗にかかわらず、人間の生存は「能力」の有無、多寡、価値によって裏付けられているのではないというのは忘れてはいけない。劣っているとみなされ経済的価値がないと判断されれば捨てられる人工物とは違う。資本主義社会の中で労働力として自己を商品化しすぎると、自分の基本的な権利が自身の道具的価値に裏付けられているのだと錯覚しかねない。
人間は価値によって生かされているのではない。