コミュニティと少数性
同質性の高い人々による互助的・互恵的な共同体(コミュニティ)が成立・持続するには、そこにある程度の少数性、マイノリティ性が必要だと思われる。それはつまり、「そこに行けば仲間がいる」という状況であり、裏を返せば「そこに行かなければ仲間がいない」という状況である。
自分と同質性の高い人が特にがんばって探さなくても身の回りにいる状況、自分と話が通じる相手を見つけるのに苦労しないような場合、コミュニティを作ったり維持したりするモチベーションは薄まるはずだ。少数性ゆえの疎外、蓄積された形式知や社会からの支援の不足が、孤立した状況からの脱却を目指す原動力になる。その結果としてコミュニティが生まれる。
逆に、すでに社会において広く存在し、価値が認められた、当たり前の属性についてのコミュニティはなかなか成り立たない。日本に「日本人コミュニティ」は存在しない。「サラリーマンコミュニティ」なんかもないだろうし、「日本人プログラマーコミュニティ」もいまや成り立たないだろう。その属性において同質の他人が簡単に見つかるからだ。