The Kuramoto model: A simple paradigm for synchronization phenomena担当:若月大暉
17世紀にホイヘンスが見つけた時計の同期をはじめとしてバラバラなものがそろう「同期現象」は身の回りにあふれている。それぞれの同期現象が起きる過程は物理学・生化学的に複雑であるが、単純な原理からこのような多様な同期現象を説明したい。しかし、多体系であっても数学的に扱いやすく様々な同期現象を説明するようなモデルは存在していない。そこで蔵本由紀は振動子の位相差の正弦で相互作用をする以下のような「Kuramoto model」を提案し解析的に同期現象を説明した。
$ \frac{\partial \theta_i}{\partial t} =\omega_i +\frac{K}{N}\sum_{j}\sin{(\theta_j-\theta_i)}
ここでは同期の程度を表現するオーダーパラメーターを導入し、他の振動子からの相互作用をそのオーダーパラメーターで置き変えることを用いた。その結果、一つの平均的な振動子から力を受けているような系に帰着し解析的に同期現象を導くことができた。このように単純なモデルであるKuramoto modelは振動子の結合する範囲を最近接のみに限定したり、ホワイトノイズを系に加えるといった拡張が容易である。また、Neural networksやChemical oscillatorsといった様々な分野での応用が期待されている。