進化計算
システムを生物のように進化させ、目的とする仕様や性能を実現しようとする計算技法。例えば、システムの構造や設計データを生物の遺伝子(染色体)と解釈し、(1)それを解読して生物個体に相当するシステムを発生させ、(2)それらの生物を与えられた基準で評価する。(3)評価の高い生物を生き残らせ、個体間で染色体を交差させ、さらに突然変異させ、次の世代の染色体とする。この手順(遺伝的アルゴリズムという)を繰り返すことで、複雑なシステムを設計し、最適化することができる。 (星野力 筑波大学名誉教授 / 2007年)
参考:進化計算とは-コトバンク
進化論的手法は、生物の進化のメカニズムをまねてデータ構造を変形、合成、選択する手法です。この方法により、最適化問題の解法や有益な構造の生成を目指します。
例えば、飛行機の設計を考えてみましょう。飛行機などのもの作りで大切なのは必ずしも新奇な物を作ることではありません。独創的な天才肌の職人は確かに必要ではありますが、多くの場合奇抜なデザインは成功しません。それよりも重要なのは、過去の設計物のマイナーチェンジ、合成、そして取捨選択です。これはまさにWright兄弟らの飛行機の設計に用いられていた原理です。上で述べた過程は、生物の(遺伝子の)突然変異、交差、及び選択淘汰と同じです。
つまり、人間は知らず知らずのうちに生物の進化の考えを導入し、最適な人工物の設計に用いていたのです。
参考:進化型計算手法とは 伊庭研究室