福島良典
https://logmi.jp/tech/articles/326097
実は今、解決していない問題として、スケールする時に起こる、阿吽の呼吸の罠があります。僕らはプロダクトをリリースしてまだ1年も経っていないので、プロダクトマーケットフィットという言い方はあれかもしれませんが、初期から見ているメンバーと、今入ってきたメンバーには、ドメイン知識の差がすごくあります。
僕たちは驕っていたんです。こういう状況があることはなんとなく知りつつも「僕たちはほかの会社と違って、今のやり方でもスケールできる」「僕たちはほかの会社と違って○○なんだ」と。特別だという驕りが阿吽の呼吸を生み、それが新しいメンバーのオンボードの制約となってスケールしなくなります。
初期は少数精鋭で、みんなでドメイン知識を学び、開発もすごく密結合にやっていくがゆえに出る早さがあると思うんです。プロダクトを立ち上げる時は、必ずこっちに振るべきだと。一方で、「これはもうスケールさせなきゃ」と思ったら、いち早くそのやり方を捨てなければいけないことを僕は知っていたはずですが、「今回は特別だし、優秀なメンバーを集めているし、できるんじゃねえか」という謎の驕りがあったんです。
かつて、情報を記録するということを疎かにしたこともありましたが、今回はそういうことはしていません。開発中のログも全部溜めているし、スプリントでどういう議論をして、どういうベロシティが出たかも全部記録しているし、商談やカスタマーサクセスの動画も全部記録していて、情報は十分にある。こんなに優秀な人を採用して、情報を透明にしてアクセスしやすくして、さらに各人が自律分散に決められるようなKPIの設定もしている。「俺たちはいけるだろう。簡単にオンボードできるし、どんどんスケールさせられるだろう」と思いましたが、そんなことはないんです。
それは阿吽の呼吸で動いていることと変わらないので、結局駄目でした。今はセオリーに従って、例えばオンボード期間を半年置くとか、あえて、非エンジニアリング的な経理や請求書に関わる業務の知識をキャッチアップする時間を作るとか、そういう当たり前を当たり前にやることを徹底しています。
これで阿吽の呼吸の罠からは抜け出せるのではないかと思っていますが、なぜか人間は回数を重ねるごとに、自分たちは特別だという驕りを忘れられなくなります。「こんなにきちんとやっているんだからいけそうじゃん」という考えにはまってしまっていたということです。
採用
一つはまずリアリティを持って声を掛けることです。実際LayerXでも入社してくれた方の100倍くらいの人に声を掛けています。これは本当に大事だと思っています。皆さん意外と声を掛けません。石黒さんが辞めたときに、真面目にオファーした会社が何社あったでしょうか。多分、引く手あまただったと思いますが、彼がその気になるような超真剣なオファーをパンと出した会社は何社あったでしょうか。リアリティーを持って、その人の気持ちになって、これだったらLayerXに入るほうが面白そうだなと思えるほどのオファーを超真剣に考えて出しているかというと、ほとんどの経営者はそれができていないと個人的には思います。
【本メンター #1】 圧倒的な技術革新の中でインターン生が起こす行動とは
福島:とても重要な観点として、巨大なサービスができるときに3つの条件があって、
1つ目がこういう技術的な変化でインターフェイスが大きく変化するとき。
2つ目がとりあえずスタートの入り口に立つ。だから別にSalesforceがやるから自分がやっても無駄じゃんとかっていう考えを捨てる。
3つ目が巨人の怠慢。
https://twitter.com/fukkyy/status/1726481058827497897
1on1で聞かれた「当たり前のレベルの上げ方」について。自分が意識しているのは2つで
- 「言葉のレベルを上げる」。これは思考の当たり前のレベルを上げる。
- 「可視化を徹底する」。これは実行の当たり前のレベルを上げる。
言葉のレベルとは、言葉の細かさ。思考の当たり前のレベルが高い組織は、言葉の定義が細かく、具体的でフォーカスが取れている。筋肉を鍛えますではなく、上腕二頭筋を鍛えますと返ってくる組織の方が当たり前のレベルが高い。具体的には?なぜ?根拠は?もっと絞るとすると?みたいな質問を繰り返すことで思考のレベルを上げることができる。
可視化とは文字通り可視化。昔会社でダイエットレースというのをやったことがあるが、体重を可視化するだけで、皆そこにコミットし体重が下がるという現象が起こる。可視化されると、自分の当たり前レベルが低いととても恥ずかしい思いをするからである。
意思決定の強度
意思決定の強度と僕は呼んでいるのだけど、自分の社会人人生の中では必ずその時々の模範になるような意思決定の強度を持ってる人と働いてきたことがプラスになってる。強度が高い人は本当に広く深く考え抜いていて、浅い考えで臨むとボコボコにされる。それを標準にして、毎回物事を考えてる
スタートラインに立たなければ、勝負すらできない (The Starting line / スタートライン)
next zenly市場でいうと、whooの勝因はこれかもしれない。12月の半ばにリリースしたwhooと比較して、Locketは12月末に開発開始。タイムスパンがやけに短かったため、
12月半にプロダクトを出せてること
1月半にある程度バグなくコア機能が揃ってること
2/3に一定のアーリーアダプターが使ってること
が必要条件だったのかもしれない。通常の市場であれば1年乗り遅れたようなものなんだと思う。みんなが気づいてることをやっても遅いし、相対的に市場が自分が狙っている課題に対してどの程度の進捗を埋めてるかを意識しなければいけない
next zenly war