じっくり読書会第7期『シラバス論』
テーマ本:『シラバス論』
本書の中心に据えられるのは大学の授業計画、シラバスです。シラバスを通して教育について語っている本ですので学びの欠かせない現代人にとっては身近なテーマといえるでしょう。
本文では専門用語を欄外で巧みに補足しつつ、コミュニケーション力/意欲評価/キャリア教育/ハイパー・メリトクラシー/主体性/機能主義など、職場で採用や育成、マネジメントに携わる方にとっても気になるキーワードが満載です。
出版社による紹介文に「エンサイクロペディア(百科辞典)」とあるように、索引も驚くほど充実しており、紙媒体でのハイパーテキストは読む順序の自由を形成するため、大人向けにも本書は開かれています。
さて、そもそもファシリテーターは、成人に対して教育的効果や社会適応を期待する役割の呼称として用いられたことに発祥があります。介入する場の前後に、多少はあれ何らか変化を期待する点で——ファシリテーターが例えば会議進行者や司会の機能であっても——、教育哲学や学習理論と隣り合わせといえます。本書の教育観は明快ですので、わたしたちが教育とどのように向き合うのか同時に探っていくことにもなるでしょう。ぜひこの機会にじっくり読んでみませんか。