スタートアップにおける組織問題への対応について
スタートアップにおける組織問題への対応について。
スタートアップとは即ち、事業を成長させていくということである。それがスタートアップの定義ですらある。
それは同時に、組織に変化が求められるということを意味する。
人間は恐ろしいまでに変化に弱い生き物で、そこには様々な問題が生まれる。負の感情も沢山生まれる。
そこでそうした問題が増えることを恐れて、事業の成長や組織の変化を止めてしまうことはスタートアップとしての終わりを意味する。(ただ、スタートアップとしての終わりは企業としての終わりではない)
大切なことはそうした問題にどう対処していくか、だ。
組織というのは、例えば財務や法務などと比べると誰しもが論じやすいテーマである。
「ウチの会社って最近採用のレベル下がっているよね?」
「ウチの経営ってトップダウンすぎるよね?」
「ウチの給料って低いよね?」
などなど、専門的な知識がなくとも誰しもが論じれるのが組織なので、会社の中に沢山の評論家が生まれやすいテーマである。
(一方で「ウチの会社ってROE低いよね?」「ウチの会社ってドラッグアロング条項厳しいよね?」などとはほとんど誰も語らない)
だからこそ、組織の問題に対する正しい向き合い方を全員で育んでいく必要があると思う。
最初に大切なことは事実と推測を切り分けることだ。
採用のレベルが下がっているというのは、具体的に誰のどんな能力が低いことを指しているのか?
トップダウンというのは、具体的にどの意思決定のどのプロセスのことを指しているのか?
給料が低いというのは、具体的にどの会社と比べていくらくらいの金額の差があることを指しているのか?
推測ではなく事実に目を向けて語っていくことが大切だ。
ややもすると問題自体が実際は発生していない「空想のストーリー」だったりすることも多い。
次に必要なのは、問題と課題の切り分けだ。
問題とは「現在発生している不具合」であり、課題とは「理想の実現のために解決すべき問題」だ。
その事象は問題ではあるが、課題ではない、ということも沢山ある。
変化の多いスタートアップには常にあらゆるところで問題が発生する。
組織の問題解決能力には限りがあるので、あらゆる問題に対応することはできない。
リソースが限られているスタートアップなら尚更だ。
そこで大切なのは、問題解決の前の課題設定だ。
数多ある問題の中から、自分たちが目指している未来に辿り着くために、本当に解決しなければいけない問題を絞り込むことこそが重要だ。
採用のミスマッチが生じているという問題だが、限られた情報の中で採用の可否を判断しなければいけない以上、ミスマッチをゼロにすることはできず、一定のミスマッチはむしろ飲み込んで走ることが正解かもしれない。
経営のトップダウンという問題も、組織に所属するメンバーの能力や経験のバランスを考えた時には、むしろトップダウンで物事を進めることが正解かもしれない。
等級におけるクラスアップが一定期間ないメンバーがいて、給料も上がっていないが、それはメンバーの長期的なキャリアを考えれば、今苦労して自分に向き合うことが正解かもしれない。
というか、そもそも今は組織ではなく事業の問題に向き合う方が大事で、組織の問題解決に時間をかけすぎることこそが問題ということすらある。
スタートアップが組織の課題を解決し、事業を成長させていくために、その前段階で「事実と推測を切り分ける」「問題と課題を切り分ける」といった組織問題に向き合う姿勢を、全メンバーで共有していくことはとても大事だと思う。
※文中に出てくる組織問題の例は特にナレッジワークで起きていることではないです。多分(笑)最近、ナレッジワークに「スタートアップ3周目」みたいな経験豊富なメンバーが2人ジョインして、上記のような「事実と推測の切り分け」「問題と課題の切り分け」を冷静にしていく姿を見て、改めて感じたことを投稿してみました。