非線形システム特論 シラバス
授業学用・目的
非線形システムは現象が面白い。身の回りにみられる興味深い様々な現象には系の非線形性が大きな影響を与えているが、学部の講義で「非線形系」を取り扱うことはほとんどなかった。本講義を通じて、線形と非線形の違い、学部で学んだ線形代数学や解析学がどのように活かされるのか、また非線形系に内在する豊富な現象に関する理解を深める。また、非線形系は手で解けず取り扱いが抽象的になりやすいため、具体的な電気回路を用いた実験および計算を行うことで理解深化を促す。
学修到達目標
非線形現象とは何かを説明できること。
区分線形で記述される低次元の常微分方程式をリターンマップにより離散系へと変換できること。
解析的手法を用い、現象の定量的・定性的性質が説明できること。
授業方法
「大福帳」を使用することで授業毎に質問を受け付ける。
質問事項に関してはその全てを次回授業内において解説する。
成績評価方法・基準
中間試験: 30%
期末試験: 70%
教科書
随時配布する。
参考書
川上博著: 非線形現象
質問者への対応
授業中に質問の時間を設ける(受講者同士の問題意識の共有が重要と考える)が、研究室でも随時質問を受け付ける。時間を予約して来室して下さい。
授業計画
01回 非線形力学系とは
非線形力学系について理解する。
02回 離散力学系 (1)
固定点およびその安定性について理解し、それらを計算できる。
03回 離散力学系 (2)
周期点およびその安定性について理解し、それらを計算できる。
04回 離散力学系 (3)
周期倍分岐およびサドルノード分岐について理解し、固定点に関する分岐点を計算できる。
05回 離散力学系 (4)
大域的分岐について理解する。
06回 カオス
カオスの数学的意味付けについて理解する。
07回 区分線形系のリターンマップ導出法 (1)
低次元区分非線形系にみられる固定点のリターンマップ導出法を理解し、固定点に関するリターンマップを計算できる。
08回 区分線形系のリターンマップ導出法 (2)
低次元区分非線形系にみられる周期点のリターンマップ導出法を理解する。
09回 区分線形回路を例に (1)
回路の振る舞いについて理解し、回路方程式を導出できる。
10回 区分線形回路を例に (2)
回路方程式を解き、リターンマップを計算できる。
11回 区分線形回路を例に (3)
次週以降の回路実験を行うため、Arduinoの使用法を理解する。
12回 区分線形回路を例に (4)
Arduinoおよび回路素子を用いた実回路を作成できる。
13回 区分線形回路を例に (5)
Arduinoをプログラミングし、回路に含まれるスイッチングを制御できる。
14回 区分線形回路を例に (6)
実回路の振る舞いを理解し、ワンパラメータ分岐図を作成できる。
15回 区分線形回路を例に (7)
区分線形回路にみられる固定点の分岐点を計算できる。
履修者へのコメント
高度で専門的な知識を得るためには、授業時間外の自主学習が肝要。
事前事後学習
本講義では予習・復習に対して十分な時間を割く必要がある。