功利主義
utilitarianism
世界全体の悪よりも、可能な限り最大の善を追求することを、正/不正や義務の唯一の原理とする立場
例えば詐欺師が非倫理的に振る舞った結果(帰結)、偶然なにかよいことが起こったように見えたとして、それは本当に「善い」なのか。
規範倫理として重要なのは帰結ではなくて、動機や意志や行為の理由かもしれない。
(なお、メタ倫理領域においては、特に古典的な功利主義は自然主義の一種でもある) 功利主義の本質は公平性
(等価性とも)
単純加算主義
1人を1人より多く数えない
庶民も王も同様に「1」と数える
批判: たとえば他人と、友人や家族を同じ「1」とすることは直観に反する。
功利主義の特徴は「幸福主義」と「総和の最大化」
「幸福」という帰結を重視するのが功利主義
(厚生主義、あるいは福利主義とも)
同じ帰結主義でも、たとえば「個人の自由」や「知識の量」を基準とする理論もある。それは帰結主義ではあっても、功利主義ではない。
快楽 hedonism
苦痛に対しての快楽のバランス最大化
ベンサムは快楽を、強さ、持続性、確実性などの視点で計算
ミルは、快楽には質の違いがあると考えた(特に精神的快楽を重視)
欲望 desire theories
実際に欲しいものが手に入る
欲求の充足 satisfaction
批判:
無知や誤解による欲求(飲みたいと思ったその液体は毒だった)
低級あるいは悪意のある欲望をどのように扱うか(who.iconを虐めたいという欲求など)
客観的なリスト objective list theories
「よい」とされる諸々の要素を獲得することが「幸福」と考える
単に快楽や満足ではないことも通常はリストに含まれる
健康、富、名誉、愛、よい人間関係などなど
happinessとしての幸福(感)
もう1つは長期的な心理的意味
ここには、「快楽」「人生への満足」「感情状態」などが挙げられる
総和の最大化を目指すのが功利主義
たまに「功利主義」という字面から、自分の利益を第一に優先する主義かのような誤解を聞くが、そうではない。
社会全体の幸福の総計(行為が全体の幸福に対して与える影響)の最大化を目指すのが功利主義。
上記、功利主義の本質で書いた「公平性」とここで接続
総和の最大化にあたっていくつかのバージョンがある
「いつ」その最大化のタイミングを適用するのか?
目の前の個別の行為ごとに計算する: 行為功利主義 act utilitarianism
個別の行為ではなく全員がそのルールに従ったら、その結果その社会の幸福が最大になるかを計算する: 規則功利主義 rule utilitarianism 批判: 例外的な状況にも規則を当てはめてしまったり、ルールを詳細にすると結局行為功利主義となる。
「量」をどのように算出するか?
$ 幸福の総計=1人あたりの幸福 \times 人数: 総量功利主義 total utilitarianism
批判: 格差を認める
$ 幸福の総計=社会全体の幸福の平均値: 平均功利主義 average utilitarianism
批判: 平均値を下げるから「新たに幸福な人が生まれること」を否定する、あるいは平均値を下げる人を排除しかねない プラスを増やすのでなくてマイナスを減らす
幸福を増やすのではなく、苦痛の最小化を優先する: 消極的功利主義 negative utilitarianism
批判: すべての生命が消滅すれば苦痛の総和はゼロ(最小)になり、それを最善とすることになる
ロールズがこの功利主義を大きく批判、あるいは弱点の克服を目指した。 (それまでもさまざまな批判が功利主義に向けられたが。)
善 the good に対する、正 the right の優先