アーレントの3つの活動
人間の(それはアーレントの言う「人間」の)、
vita activa 活動的生活 (↔︎ 観照的生活)を支える activities (活動力)は
以下の3つに分類されるとした。
labor, work, action
古代ギリシア語のポノス、ポイエーシス、プラクシスにちなむ
ponos, poiesis, prāxis
labor
Arbeiten
日本語訳
労働
出生(natality)と、可死性(mortality)
リズムがある。動物としての円環的(circular)生命。
パンやオムレツといった消費物をつくる
work
Herstellen
日本語訳
制作
『人間の条件』(志水訳)では「仕事」だが、Herstellenは仕事を意味する言葉ではないらしい
その場所を represent すること
世界性(worldliness)
工作物(artifact)は、永続性(permanence)と耐久性(durability)によって特徴づけられる
生と死の円環的(circular)な時間から離脱して、永遠性(eternity)を獲得する
詩やテーブルといった耐久財をつくる
ドイツでは通常、労働も仕事もArbeitenと呼ばれる(らしい)
action
Handeln
日本語訳
活動
行為
plurality(多数性, 複数性)
ただ単に複数存在している状態ではない
複数性がある事態とは:独自性 × 差異性 × 平等性
独自の個性を持った人々が、(独自性)
各自の個性という違いがあるにも関わらず、(差異性)
同じ人間として対等であることを保ちながら、(平等性)
他の多くの人々と共存できる事態。
なんらかを「始めること」が、action。
ホストすることもそう。
ただし、actionのためには、工作物が必要。
「間」のないactionは全体主義となる。
だから世界性を構成する工作物として、ボードゲームを制作している。terang.icon
『黙談 -Silentalk-』や『雅々(がが)』はその一つ。
(...)「公的(パブリック)」という用語は、世界そのものを意味している。なぜなら、世界とは、私たちすべての者に共通するものであり、私たちが私的に所有している場所とは異なるからである。しかし、ここでいう世界とは地球とか自然のことではない。地球とか自然は、人びとがその中を動き、有機的生命の一般的条件となっている限定的な空間にすぎない。むしろ、ここでいう世界は、人間の工作物や人間の手が作った製作物に結びついており、さらに、この人工的な世界に共生している人びとの間で進行する事象に結びついている。世界の中に共生するというのは、本質的には、ちょうど、テーブルがその周りに坐っている人びとの真中(ビトウイーン)に位置しているように、事物の世界がそれを共有している人びとの真中にあるということを意味する。つまり、世界は、すべての介在者(イン・ビトウイーン)と同じように、人びとを結びつけると同時に人びとを分離させている。
『人間の条件』(志水訳) pp.78f.