里人のことは夏野の繁くともかれゆく君に逢はざらめやは
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#読人しらず #古今和歌集 #0704 #jtanka #恋
世の中の噂というものは、夏の野原に繁っていた草がやがて枯れていくのと同じように消えていくものです。でも、その噂のせいであなたは離れていく。そんなあなたに逢わないでいられましょうか。
「こと」は、ここでは「噂・評判」の意味。
「かれゆく」は、繁った草が「枯れゆく(かれゆく)」、さかんだった噂話が「涸れゆく(かれゆく)」、恋しいあなたが「離れゆく(かれゆく)」に掛けている。
「逢はざらめやは」は「逢は+ざら+め+やは」。「逢は」は「逢ふ」の未然形。「ざら」は打消の助動詞「ず」の未然形。「め」は意志の助動詞「む」の已然形。「やは」は反語を表す係助詞で「……だろうか、いやそうではない」の意味。「逢はざらめやは」は「逢わないつもりだということがあろうか、いやそんなことはない」の意味。
さとびとの ことはなつのの しげくとも かれゆくきみに あはざらめやは
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