リレーショナル・アートの実践を参照としたストリートピアノの活用について ー「不可視の関係性」の可聴化を目指して一
きっかけ:
「参加型アート」における共同作業、共同制作を考えるにあたり、作家に集められ、指示された状況からの共同制作ではない、他者の能動的な共同制作による偶然性の伴う制作形式あるのではないか?
→試し書き行為からみる共同制作
→そのようなことが音楽的に起こり得るとして場としてストリートピアノに着目
ストリートピアノについてのリサーチ:
現在日本には、700台以上のピアノが設置されている。
実際に設置されているストリートピアノでは、
・ピアノ本体へのペイント
・プロアマ問わず、技巧的な演奏をネット上で配信する などの取り組みは頻繁に行われている
→ 公共空間といった場所性や音そのものやその状況に関してはあまり注目されない
先行作品:
「Play Me, I'm Yours 」
ピアノ, サイズ可変, 2008年~
ストリートピアノを用いたルーク・ジェラムによるアートプロジェクト。2008年から約55都市で1700台以上のピアノが「Play Me, I'm Yours 」の指示と共に設置されている。
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あなたはここにいる、誰かもここにいた (2024)
自動演奏ピアノ , スピーカー (2ch) , Max8 , ZeroTier , Live Multi Studio
作品概要:
本作は、「不可視の関係性」をストリートピアノを通し、可聴化するための取り組みである。 設置されているグランドピアノは、現在地付近の建物に設置されたもう一つのストリートピ アノと同期している。そのピアノが演奏された時、この場に設置してあるピアノも同じよう に演奏される。また、演奏された同時刻に、その演奏は再度再生されるため、場のシンボル としての役割も果たす。それと並行し、過去にこの二つのピアノによってなされた演奏が、 鑑賞者の演奏という介入によって再度、「他者」に届けられる。この「他者」は、生活圏が近 いにも関わらず、名前や出生をはじめとした素性を知ることがないような「他者」である。 そのような「他者」を結ぶのは、同じ施設を使うといった、場所を共有する、ただそれだけ の「不可視の関係性」である。本作を通じて、このような身近に存在する「他者」を今一度感じ、 その存在を捉え直すきっかけになることを願う。
https://youtu.be/33EjwdPRR4I