スランプを超えた先に成長がある
昔読んだSFCの増井先生の連載でとても面白い研究が紹介されていたのを強烈に覚えています。 https://gyazo.com/d636c223227b04f0bf9ab6a14352d13a
東京工業大学名誉教授の木村泉先生が、「みそさざい」という難しい折り紙を折ったときに、どのように上達していくか定量的に計測した研究をされたそうです。なんと長い時間をかけて15万回も折ったそうです。気が遠くなりますね。
研究結果をざっくりまとめると、練習量と上達には「べき乗測」の関係にあるんだそうです。
べき乗測とは、もし2倍の状態に上達するのに100回の練習が必要なら、4倍(2の2乗)になるには100回x100回で1万回、8倍(2の3乗)になるには100回x100回x100回の100万回の練習が必要ということです。言い換えると上達すればするほど、さらに上達することはどんどん難しくなっていくということです。
このことから、人間国宝やオリンピック選手など高いレベルになるとほんとわずかな違いを出すために何倍もの練習をしているのだと推測できます。
確かに、マラソンを世界記録レベルの2時間5分で走る選手と、20位ぐらいの2時間15分で走る選手では、たった時速1.5kmの差でしかありません。
私も箱根駅伝を見に行ったことがあるんですが、肉眼だと誰が速いのか全然わからないんですよね。体感では20位ぐらいの選手が一番速く感じました。ほんとにちょっとの差で争ってるんだなと感じたことを覚えています。
でも、そのちょっとした差を出すためには、膨大な練習の量や質の差ががあるんだと思うとスポーツを別の目で見えて面白いと思いました。
一方で逆に考えてみると、何事も初めは上達が早いということです。人生の時間は有限なので、一定のレベルに達したら他のことにも手を出してみるのも1つの方法なのかもしれません。全部中途半端になるのはまずいですが、1つでもそれで食っていけるレベルに達していれば、他のいろいろな経験やスキルは生き始めます。
また上達する前には、試行錯誤によるスランプに陥って一時的に結果が悪くなる時期が読み取れるそうです。
スランプの正体は、さらにうまくなろうと試行錯誤が失敗することにあるそうです。スランプに陥ると結果が出なくなって落ち込んで止めてしまったりことって多いと思います。
でも上達するためにはその試行錯誤によるスランプ期間は必要で、その間は結果が出ないのは当然と分かっていれば、心が折れずに成長し続けられるんじゃないでしょうか。