音楽記号と表象指示
「アンダンテ (ゆっくり歩くような速さで)」はそのシニフィエ自体がシニフィアンになっている
この二段階的に位置するシニフィエは通常持ちうる多義性・コンテクストへの依存とも共通している
また、𝑓という表示はいつの時代にあっても「強く」を意味してはいるが、今日さまざまなな時代の音楽を演奏するさいの𝑓は、必ずしも同じ𝑓ではない。(中略)またある作曲家の一つの曲のなかにおいても、その曲想に応じて𝑓はさまざまに変貌する。ずっしりと想い𝑓、たたきつけるような鋭い𝑓、あまい音色の𝑓、乾いた刺激的な𝑓、うつろな感じの𝑓、さまざまである。
音楽の基礎(芥川也寸) 38頁
cresc. の表示は、ただたんに音の強さを増すばかりでなく、その音楽的内容をも表明するものであり、演奏者にその総体を要求している記号と理解すべきである。
同39頁
これは日本語話者が"アンダンテ"をそのままAndanteを単語として意味理解できないから起きることで、イタリア語話者ならそうはならない
逆に楽譜上の記号をそのまま理解できるのはこういう平文の演奏指示や
これみたいなオノマトペ