良し悪しを教えてもらう
Okadada:でも結局のところ、僕はルールが大事だと思っていて、新しい音楽を聴く時に自分で探してそれを聴きまくるよりも、それを聴きまくってる人の話を聞いた方が早いと思っているんです。例えば、ガバを聴いてみようと思った時に、CDをいっぱい買ってくるよりも、ガバを聴いている人がどこで喜んでるかを見た方が早い、みたいな話で。ジャンルって言わばルールじゃないですか。ガバがどうしてその形態で成立しているのかが正理として分かれば話は早いんですけど、分からなかったら、まずはガバを聴きまくってる人に何が良いガバかを教えてもらうと良いんですよ。好きじゃないものって、良し悪しの違いが分からないから聴かないのであって、その前段階として、好きじゃなくても良し悪しを判断することはできるじゃないですか。好きになるのは、「こっちよりもこっちが良いな」みたいに良し悪しの違いが分かるようになってからだと思うんですよ。だから新しいジャンルの音楽を好きになるためには、何かしら取っ掛かりがあった方が良いと思っていて、それは要はルールなんですよ。僕はジャンルレスDJみたいに言われてますけど、ジャンルはかなり大事だと思っていて。テクノにはテクノ特有の機能があって、それが美しいと思いながらも、その機能を読み替えながらDJでかけている時もあって、僕はそういうことをするのが好きなのでやりますけど、なかなか超えていくのは難しいし、ある意味で不遜なことをやっていることも自覚しているんです。
「良し悪しは自分で判断してこそ」ではなく、他者にそれがどういうものか、何をもってして良いのかを教えてもらうことの肯定
勇気をもらえる話。