その語がどのような事態を切り取っているか
喜びや辛さをともにすることから始まり、感情や見方を共有することの喜びを必要としたことによって、人間は動物の境遇を超えた、と考えられています。そして、この必要とされたコミュニケーションの幅が語彙となって定着したわけです。ですから、「実用性」の境界は曖昧です。個人によっても、文化によっても、また、事柄によってもさまざまです。しかし、その境界があることは明らかで、その違いは、表現に工夫が必要がどうか、ということにあります。ときには、分かったつもりになっている単語の惰性に逆らって、その語がどのような事態を切り取っているかを分析してみることも必要になります。