転売、それは苦しい【anon interview#2】
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転売、それは苦しい【anon interview#2】|anon press
おもろい
直送すぎるありえない情報量
A:青山さんが前に言ってた村上隆のやつってなんだっけ?
青山:村上隆が京セラ美術館で個展をやってたんだけど、その初日に美術館を取り囲むような並びができたわけ。というのも、入場者特典で村上隆のトレカの限定版が先着5万人に配られることになってて、これが転売界隈で注目されてたらしいのね。もともとこのトレカのシリーズはふるさと納税の返礼品としてスタートしてて、それにもプレミアがついてたからね。しかも美術館側に転売対策スキームがなかったせいか、いろいろトラブルも起きたらしいんだよね。前日の深夜から並びができてたんだけど、午前3時とかに急に先頭に半グレ集団が「別に俺たち並んでないんでw」とか言いながらたむろし始めて転売ヤーと小競り合いになって警察呼ばれたり。あと一度入場した転売ヤーがすぐに出て、まだ列に並んでる仲間のところに合流するっていうのを繰り返して列がループしたり。
まあどこまでが意図的かは置いておいて、この騒ぎも含めて村上隆のパフォーマンスなんだろうけど。だって会場の中にはそのトレカの原画とされる平面作品が展示されてるし、キャプションを読むとそもそもトレカによるふるさと納税返礼企画は、この展覧会の制作費を稼ぐための企画の一環だったとか書かれているわけ。そしてトレカ1セットの枚数は「人間の煩悩の数に因んで108枚」だというところまでくると、露悪的だよね。でもそれ以上に、市場としては一旦落ち着きつつある転売が、現代美術のモチーフとして立ち上がってるっていうところは面白いと思う。
俺すごい好きなコンバースのモデルがあって、定期的にリリースされるんだけど、これにも転売ヤーが湧くのね。でも定価が27,500円とかで高いし定期的に出るから、結局5,000円も抜けないのよ。メルカリとかだったら手数料込みで赤字にしかならない。そんなことは前回の相場をチェックすればわかるんだけど、在庫は数分でどこも完売して続々転売されてる。そういうのを見てるとやっぱ転売ってその行為自体のギャンブル的興奮に駆動されている部分が思ってる以上に大きいんだと思うんだよね。
A:末端の個人プレイヤーが相場に翻弄されるのは仕方ないけど、買取屋も踊らされてんのは面白いよね。お前ら相場作る側じゃないのかっていう。思った以上にギリギリなんだよね。
青山:ヴィンテージと言えば、ヴィンテージのGoogleアカウントが転売に使われてるみたいな話もあったよね。
B:あったな〜。リキャプチャが出ないようにするためのね。転売対策でリキャプチャが実装されはじめた頃、リキャプチャの確認が1クリックで済む場合と何度も必要になる場合があって、これにGoogleアカウントの信頼スコアが関係してたわけ。信頼スコアが高ければ1回で済むんだけど、この信頼スコアの高いアカウントっていうのが2000〜2010年代はじめごろまでに作られたアクティブなアカウントで、これが転売ヤーの間で売り買いされてた。あとはグーグルアカウントを育てて信頼スコアを上げるBotもあって、自動でいろんなサイトを検索したりして使ってる感を出してくれた。俺もその当時は50〜60個くらいグーグルアカウント持ってて、使い過ぎた結果、逆に信頼スコア減ったりしてたね。アカウント育てるにしても同じIPだとダメだからIPも複数持って、メールアドレスを対応させて......っていろいろやってたなあ。今はまた時代が変わってて、あの「自動車をすべて選んでください」みたいなやつを全部AIで解いてくれるBotとか、「2Captcha」や「AntiCaptcha」っていう発展途上国のワーカーに手動で解かせるサービスとかがある。
ひえ~ まんま発展途上国へのIT労働委託
GitHubあるの!?