理系のための投資入門(2021.12)
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== 導入 ==
基本的な考え方①:買うときには明確な理由を持ち、失敗したら損してでもすぐに売れ
→ これを実践するためには、目標値を決めておく必要がある
いくらまで上がったら売るのか・いくらまで下がったら損切をするのか
損切ルールを決めて売ることがとても重要
== 株式投資 ==
基本的な考え方:「価値のある会社の株を、すごく割安で買う」
銘柄選びの5つのポイント
1. 業績がいい
2. 借金が少ない
3. 営業キャッシュフローが多い
4. PER(株価収益率:株価÷1株益)が低い
5. チャートの形のいい
上昇傾向の場合は、多少株価が下がったときに、どっと買いが入って結局高値を更新する(=押し目買い)
下降傾向に入ると、想像以上に下降が続くことがある
→ そのため、下降傾向の株は、理由なく持っていてはいけない
絶好の買いのタイミングは、横ばいから抜け出して上昇トレンドに入ったタイミング
↓
上記を踏まえた四季報でのチェック項目
売上や各種利益は伸びているか? (→上記1. に相当)
株主持株比率は50%以上になっているか(→上記に2. に相当)
有利子負債は多すぎないか(理想はゼロ)(→上記に2. に相当)
※ 成長企業では借金するパターンもあるので、収益が順調なら問題なしと判断することもある
営業CFがマイナスではないか(→上記に3. に相当)
PERが低いか(→上記に4. に相当)
収益が安定している企業だと、15倍が基準ライン。これより低ければお買い得と言える
利益成長率別の標準的なPER(この半分ぐらいだったらお得)
0%→15倍
10%→20倍
20%→25倍...
売のポイント:トレイリングストップ戦略 ※損切りの進化系
トレイル(trail):引きずる
ストップ:損してでも売る
→ 株価が上昇した場合に、「"上昇後の高値"からある基準(例えば5万円)下落したら売却する」とすることでで利益を確実に確保するやり方
4307はどうか?(実践編)
売上/利益(最終益):○
2018:471,488 / 55,145
2019:501,243 / 50,931
2020:528,873 / 69,276
2021:550,490 / 68,120
→ 売上:のびている、利益:のび傾向
借金:△(ちょっと有利子負債が多い)
上位10位持株比率:59.5%
→ 株主持株比率:50%以上なのでm、問題なし
有利子負債:218,378
営業キャッシュフロー:○
2018:73,493
2019:56,349
2020:112,838
2021:84,594
→基本+なので問題なし
PER:×
営業利益成長率の算出
2016:58,295
2017:58,514(成長率:0.4%)
2018:65,138(成長率:11.3%)
2019:71,442(成長率:9.7%)
2020:83,178(成長率:16.4%)
→ ここ4年の成長率の平均は12.5%
→ PERは、6.25+15 = 21.25が目安
→ 来年は20%ぐらい成長すると考えると、25ぐらいが目安
PER推移
2020.03:20.92
2021.03:30.08
2022.03:43.72(予測値)
→ どちらにせよちょっと高すぎる
チャート:○
周足・月足・月足5年いずれも上昇傾向
トレイルストップ
12/19時点の投資額:1,976,000円
損切率:10%
現在株価:4,940円
損切を決意する金額:4,446円
== FX ==
決算書を読まなくていい分、初心者にはとっつきやすい
相場観(ex. 1ドル=120円はドルが高い、1ドル=80円はドルが安いといった感じ)を持つことが大事
特徴
1-2万円から取引ができる
希望すれば自己資金の何倍もの金額を取引ができる(レバレッジ)
取引コストが従来の外貨預金より格段に安い
もらえる金利は従来の外貨預金より高い
ネット利用により24時間いつでも手軽に取引ができる
取り扱い通貨が多彩
→ レバレッジを使わないなら、取引コストが安く金利が高い外貨預金と捉えられる
取引コスト
従来の外貨預金の場合
円→ドルの取引コスト:1%
ドル→円の取引コスト:1%
FXの場合
片道:0.02%、往復:0.04%程度
レバレッジは危険か?
損失が何%になったら損切りするというルールを決める(損していい許容範囲を決める)
スワップポイント
円を打って、ドルを買う → ドルの金利 - 円の金利が日割計算で毎日もらえる
円の金利はほとんどゼロなので、円を打って外貨を買えば、外貨の金利分がまるっとスワップポイントになる
一般的には外貨預金よりも高い水準になっていることが多い
通貨が動く要因
金利
各国の中央銀行の金融政策の影響を大きく受ける
中央銀行の金利が上がったら、その国の通貨が値上りしやすくなると考える
景気
チャート
チャートの形からトレンド(上昇・下降・横ばい)を見る
値動きを明確に捉える3つの方法
トレンドライン:下記のように考える人が多いため、一度形成されたら機能し続ける
上昇トレンドの場合は、安値を結んだ線
線に着いたら買う、線から離れたら売る
→ 割り込んだら一気に売る!
下降トレンドの場合は、高値を結んだ線
線に着いたらうり、線から離れたら買う
突破したら一気に買う
移動平均線
よく使われるのは、5日・25日・75日・13週・26週(※後者二つは大きなトレンドを捉えるのに適している
チャートポイント
過去の安値/高値など意識しやすいポイント
例:ドルの大きな流れをつかむ
見るもの
①ドル円相場
②米国FFレート(米国の政策金利)
③非農業部門雇用者数の推移
米国の景気指数として最も注目されているものの一つ
ドルが上昇(高くなっている)している(①)とき:②が高くなっている&③が上げ調子
目途としている線まで落ちたところで買ったけど、それを突き抜けて下がり始めたら?
→ 根拠としていることが崩れたら売る
FXで外国株投資の感覚も養える
株価が10%上昇しても、通貨が20%下落したら、かえって損をしてしまう
== 不動産投資 ==
特徴:リスクの種類が決まっているのでかなり精密にシミュレーションできる
基本的な考え方①:「平均的な利回りより高い利回りになっている物件を選ぶ」
一般的な値
新築物件:3~5%
中古物件:5~7%
やっておくこと:「まず、表面利回りを計算するクセをつける」
表面利回り = 家賃収入(年額) ÷ 物件価格
→ 家賃が一定なら物件価格が安いほど利回りは高くなる
家賃収入は、近隣の物件を見て家賃相場を算出
例えば、4800万円の中野区のえびな邸の場合
下限:4800万円×3%=144万円/年 = 12万円/月
上限:4800万円×5%=240万円/年 = 20万円/月
基本的な考え方②:「ランニングコスト・税金など全ての支出を考えて、それでも最後に現金収入が残る物件にする」
「物件情報で打ち出される利回りの6-7割が実質利回りと考える」
管理費・修繕費・固定資産税とかのランニングコストがかかる
実質利回りの計算方法
実質利回り = 実質家賃収入 ÷ 実質投資額
実質的な家賃収入 = 家賃収入 - ランニングコスト
実質投資額 = 物件価格 + 諸経費
「税金のことも加味したキャッシュフローがものすごく大事」
不動産所得は、事業所得や給与所得と合算して総合課税されるため、所得が高い人は税率がすごく高くなる
不動産を買ってから何年かしてからドカッと税金が上がってしまうこともある
収支計算で大きなポイントを握るもの
1. 融資条件(借入金額・借入金利・返済年数)
返済年数は長く設定できるほど有利(←毎年の返済額が少なくなってキャッシュフローが増すから)
元利均等返済の場合、経費として計上できる金額が少なくなる
2. 減価償却費
= 建物の価値(建物取得費) / 法定耐用年数
法定耐用年数(新築)
SRC・RC:47年
金属造(肉厚4mm以上):34年
金属造(肉厚3-4mm):27年
金属造(肉厚3mm以下):19年
木造:22年
法定耐用年数(中古)
経過年数 × 20% + (法定耐用年数(新築)- 経過年数)
ex.木造新築のえびな邸の場合
減価償却費 = 建物価値(1,700万円)÷ 法定耐用年数(22年) = 77.27万円 / 年
3. 税率 → 理解できるようになってから出ないと物件は購入してはいけない!
課税所得 = 給与所得 + 年間家賃収入 - 減価償却費(そのうちなくなる) - 支払利息 - ランニングコスト
ex. えびなの場合
2020年の給与所得 : 827.7万円
課税所得が72.3万円まで23%の税率で済むが、それ以上だと33%になる
想定家賃収入:7万円
管理費+修繕費:1.25万円/月
物件価格:1,380万円 + 120万円 = 1,500万円
返済30年、借入1,500万円、金利3% → 毎月の返済:71,612円
4. 利回り
実質収入÷(物件価格+諸経費)
例①の場合
実質家賃収入:69万円-固定資産税/年→65万円/年と仮置き
物件価格+諸経費:1,500万円
実質利回り:4.33%
基本的な考え方③:「古い物件はリフォームによるバリューアップ+物件価格の値切り」で実質利回りを上げる
築年が古いままだと、借主が見つからず空室になるリスクや賃料を一段と下げなければいけない可能性
リフォームより家賃が上昇するが、経費もかかるので、利回りが下がることがある
→ 空室や家賃低下のリスクと天秤して、大きく下がらなければ(基準はある?)リフォームも選択肢に入る
リフォームで経費がかさむ分は物件価格を値切ることで、利回りを上げられないか検討する
基本的な考え方④:「年間家賃収入と利回りから物件価格を計算する」
物件価格 = 家賃収入(年額) ÷ 利回り
→ 売却価格を考えるときに有効?
えびな邸の場合
家賃:240万円/年 ÷ 5% の利回りだとすると、4,800万円で売れる
基本的な考え方⑤:「キャッシュフロー」を算出する
キャッシュフローの計算式
キャッシュフロー
= 税引き後利益 + 減価償却費 -元本返済額
税引き後利益
= 年間家賃収入 - ランニングコスト - 減価償却費(毎年劣化して価値が下がる分)- 支払利息 - 税金
キャッシュフローのカギを握るポイント
融資条件
基本的な考え方⑥:「20-30年単位の収益シミュレーション」をする