ブルー・オーシャン戦略実践入門(2020.12 - 2021.01)
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【メモ】
レッド・オーシャンを勝ち抜くための戦略
差別化戦略
コスト・リーダーシップ戦略
ライバル企業よりも低い価格で製品やサービスを提供
集中戦略
特定の顧客層などに限られた領域をターゲットに、経営資源を集中させ効率よく経営
レッド・オーシャンの落とし穴
1. 同業他社ばかりを意識して視野が狭くなっている
2. 業界内での自社のポジションに囚われすぎている = 業界内の小さな戦略グループ(※)のみで戦っている
※戦略グループ:同じ業界内で同じ特徴でグループ分けされた企業群のこと
ファッション業界を例に
高級ファッション:ルイ・ヴィトン、シャネル
ファストファッション:ユニクロ
3. ライバル企業と同じ買い手グループを狙っている
買い手グループの種類
購入者:実際に製品などを購入する人
利用者:製品を実際に利用する人(購入者と同じ場合もあれば違う場合もある
影響者:製品等の購入に影響を与える人
例:息子が母親のパソコンを購入する場合
購入者:息子、利用者:母親、影響者:父親(←購入予算を決めるなど)
4. 製品単体て勝負しようする
→ 様々な製品やサービスを組み合わせて顧客満足度を高めていくができていない企業が多い
例:Google、楽天
5. 同業他社と同じ製品特性で勝負しようとする
= 従来から業界で提供してきた製品の特性と異なる製品を開発することができない
業界の特徴は大きく二分できる
機能志向:製品のスペック(性能)が購入の決定に大きな影響を与える業界
ex.パソコン
感性志向
ex.ファッション業界
6. 目先の利益に囚われた短期的なビジネスを展開する(=目の前の競争に終始する)
ブルー・オーシャン戦略 ≠ ブランド戦略
https://gyazo.com/577d95b52c40d3f65885bd662f796e80
バリュー・イノベーション
顧客にとっての価値にフォーカスし、コストを削減した上で差別化を実現していく(価値とコストのトレードオフをなくす)
企業全体を巻き込んだ戦略の位置づけとなる
社員一人一人が顧客や自社の価値向上に意識を向けることで実現できる
莫大な費用を必要としないため、小さな企業でも実現しうる
成功例:QBハウス
ヘアカットのみにフォーカス
差別化ポイント
エアーウォッシャーシステム(シャンプー台不要で効率的)
待ち時間を知らせる信号灯システム
コスト削減ポイント
マッサージ・髭剃り・シャンプーの廃止
チケット自動販売機の導入
https://gyazo.com/7c1f694c26d9db73caf9338342c84672
ブルー・オーシャン戦略の実行プロセス
1. 業界の構造を分析する
「戦略キャンバス」と言うフレームワークを活用 → 競争要因ごとの力の入れ具合を比較
基礎用語の説明
横軸:業界各社が力を入れる競争要因
縦軸:どのくらいその競争要因を重要視しているか
価値曲線:各ポイントを結んで出来上がった線
戦略立案のコツ
各社が形が同じだと、レッド・オーシャンでの競争をしている = ブルー・オーシャンの需要大
逆に価値曲線が各社バラバラの場合はブルー・オーシャンの必要性が低い
→ 各社の形が同じところで別の形の線を引くようにする = ブルー・オーシャン戦略
ex.生命保険業界
品揃え ・・・どの会社も力を入れてフルラインナップ
価格 ・・・どの会社も同じ価格帯
ブランド ・・・テレビCMを活用したり各所のスポンサーになったり各社プロモーションに力を入れている
人的販売 ・・・どの会社も多くの人を雇って、きちんと教育している
アフターサービス ・・・各社アフターサービスも手厚くする心がけをしている
ネットの活用 ・・・人的販売を重視しているので大手各社は力を入れていない
https://gyazo.com/45b35d9aa75f81893df6d6bf11c88114
2. ターゲット顧客を明確化し、ニーズを把握する
これまでターゲットとされて来なかった非顧客を対象にする
通常のマーケティング → セグメンテーション(:市場を細かく分類していくこと)を行う
ブルー・オーシャン戦略 → セグメンテーションはしない(→脱セグメンテーション)
理由:ターゲットを絞り込むと市場規模が小さくなるので規模のリスクに晒されるため
非顧客を3つのグループに分類し、共通するニーズを探る
3つのグループの分類
https://gyazo.com/abea09d7ad3c68ccf785739bc743203c
ニーズを探る
相違点より共通点にフォーカスする
なぜ、これまで業界の製品を利用してこなかったのか
どうすれば業界の製品を利用するようになるのか
ex1. メガネ業界
第一グループは、なぜコンタクトやレーシックを施してメガネの使用を辞めたいのか?
第二グループは、なぜコンタクトやレーシックを活用してメガネを利用しないのか?
メガネがいらない第三グループに、どうすればメガネを使ってもらえるか?
https://gyazo.com/0c29b0365b3cc655630cc7269837ae88
ex2. フランス料理業界
https://gyazo.com/901575bcf09ca34c5dba8af4dcf39c95
3. プロダクトコンセプトを具体化する
市場の境界を引き直して非顧客を引きつける方法として、「8つのパス」が存在
https://gyazo.com/0ee9b4c9c6a20b37b64d1b025f6c28d4
パス①:代替産業に目を向ける
まず、自社の代替産業を知る
同じ顧客の欲求でも一つの業界だけでなく、複数の業界で満たせる可能性がある
ex. 「喉が渇いた」を満たす
コンビニエンスストア
自動販売機
ファーストフード店
顧客が自社製品ではなく代替製品を購入する理由を分析する
ex. フランス料理店に当てはめたプロダクトコンセプト:宅配型のフランス料理店
フランス料理店のメリット:料理の美味しさ
フランス料理店のデメリット:高い価格と気軽に気軽に利用できない
代替産業→中食・内食
店舗を構えない宅配型にすることで、固定費の削減も実現できる
パス②:業界内の他の戦略グループから学ぶ
各戦略グループがどの戦略下で活動しているかをポジショニングマップにする
→自社の所属する業界にどのような戦略グループが存在するかを調べる
→戦略グループを移動する理由から新たなビジネスアイデアの素になる
ex. フランス料理店に当てはめたプロダクトコンセプト:フランス料理のファストフード(ファストカジュアル)
フランス料理店の所属する戦略グループ:高級料理店
他戦略グループ:ファストフード
※ファストカジュアルはウェンディーズで成功事例あり
パス③:違う買い手のグループにフォーカスする
ライバル企業と異なる買い手グループ(利用者・購買者・影響者)にフォーカスする
そもそも、ライバル企業はどの買い手グループにフォーカスしているのか
異なる買い手グループにフォーカスすることで、アイディアが生まれないかを考える
ex. フランス料理店に当てはめたプロダクトコンセプト:高級感あふれる社員食堂
フランス料理では、「個人」に焦点を当てているが、
「企業」・「病院」などの買い手グループに焦点を当てる
パス④:補完材や補完サービスを検討する
https://gyazo.com/98e2e593a8c3a751f228bb1ef14f5646
ex. フランス料理店に当てはめたプロダクトコンセプト:ソムリエスクールや料理教室
補完サービスである「ワイン」に着目
スクールと言う文脈で、料理教室にも目を向ける
外から見える料理教室も人気なので、宣伝効果は抜群
パス⑤:機能志向と感性志向を切り替える
https://gyazo.com/48116226783603293b9ab37255d1d91b
ex. フランス料理店に当てはめたプロダクトコンセプト:健康コースの提供
機能性を重視し、1食あたり500kcal程度に抑えた料理を提供
パス⑥:他業界の成功事例と組み合わせる
ビジネスの世界では、マッシュアップと呼ばれる
ex1. アマゾン:インターネットと書店を組み合わせる
ex2. フランス料理店に当てはめたプロダクトコンセプト
フランス料理の通信販売
エンターテイメント型フランス料理店
パス⑦:将来を見通す
顧客やライバル企業と言った「ミクロ」な視点から経済などの「マクロ」環境を見通す視点に変える
将来起こりうるマクロ環境の変化は、顧客価値や自社のビジネスモデルにどのような影響を与えるか
長期的な観点にたった予測を行うには、予想する現象が3つの条件を満たす必要がある
事業に決定的な影響を与える
その現象が後戻りしない
はっきりとした軌跡を描きながら進んでいく
予測するには、「PEST分析」が有効
https://gyazo.com/97bc32d969e8cd899e664615927bf3f9
難しいのは、「将来を見通す」タイミングにある
ex. フランス料理店に当てはめたプロダクトコンセプト
将来的には高齢者がもっと増えることは自明
高齢者向けにあっさりとした和風のテイストを入れたメニューの提供
パス⑧:海外の成功事例を日本に持ち込む
開拓するポイント
海外でどのような製品やサービスが成功を収めているか
海外で成功したビジネスモデルを日本国内でも展開可能か
日本国内に海外の成功事例を持ち込むにあたって、海外の企業との提供が必要か
ex. フランス料理店に当てはめたプロダクトコンセプト:本場フランスでの人気スイーツを提供
4. ビジネスモデルの再構築
非顧客が購入を躊躇する原因を。「顧客経験ステージ」の視点から明らかにする
→購入から廃棄までプロセスを滞りなく進められるビジネスモデルにする必要がある
https://gyazo.com/0cceed19f0ede6efd3098ffb03ba1ffb
売り上げを促進するための6つの要素
https://gyazo.com/dc9ed39bd654ee7b24e7843ae3b6d407
ターゲットとする非顧客が購入にあたって不都合に感じているプロセスがないか「効用マップ」で検証
効用マップ = 6要素 × 顧客経験ステージ
パソコンを例にした検証→再構築
https://gyazo.com/f3d512f3545cc1a5e3cd6bc7e5f755c7
https://gyazo.com/2d3c0ad5f97162b4b09ca3771094d20a
5. 戦略的に価格を設定する(コスト戦略)
レッド・オーシャンにおける価格戦略
スキミング・プライシング
差別化戦略を実施している企業むけ
比較的高めの価格設定を行い、製品開発に費やしたコストを早期に回収する
ペネトレーション・プライシング
赤字覚悟のプライシングをして、大きな需要を創造
その後、大量生産によってコスト削減を行うことで、事業の黒字化を目指す
「プライス・コリドー・オブ・ザ・マス」と言うフレームワークを活用し、最適な価格を決定していく
下記の3つの顧客が密集する価格帯を見極める
視点1:形態も機能も同じ製品の価格を調査する
視点2:携帯は異なるが機能が同じ製品の価格を調査する
視点3:携帯や機能が異なるが目的が同じ製品の価格を調査・分析する
ex. 車の場合
視点1:ライバル他社の新モデルの車
視点2:バイク(速いスピードで移動すると言う同じ機能)
視点3:クルーザー(富の象徴という意味では高級車と目的は同じ)
下記の縦軸・横軸に対して、価格帯を円で表す
横軸:3つの製品ごとの分野
縦軸:価格
円の大きさ:それぞれの製品やサービスが引きつける買い手の数
→ 高級車の場合は、300-1,000万円の間でもっとも顧客が密集
https://gyazo.com/ab6d7ec21c5cc5bb3bb9662b22a5393c
価格の決め方
他社が簡単に追従できる製品の場合は下限レベルの価格設定
他社が真似できない場合は強気の上限レベルの価格設定
価格マイナス方式(※下記参照)によって価格を実現する
まず価格を決定し、そこから十分に利益を出す目標コストを決定すること
この方式では、価格を実現するための「コスト削減施策」が必須となる
コスト削減施策としては、以下があげられる
業務オペレーションの合理化
ex. ファーストリテイリング
デザイン・製造・流通・販売を自社で行う
結果として、製品の品質意地とコスト削減を同時に達成する独自の仕組みを構築
業務の提携やアウトソーシング
アップルのiPhoneは製造や販売を提携先にアウトソースしている
このような自社で工場設備を持たないメーカーをファブレスと呼ぶ
逆に痛く生産を専門に行っている企業をファウンドリーと呼ぶ
ファブレスは、アイデアやマーケティングに集中、ファウンドリーは生産に集中できる
どうしても利益が出ない時は、価格イノベーションを起こし、利益水準をアップさせる方法を考える
価格イノベーションの3つの方法
タイムシェアリング(時間貸し)
ex. コインパーキング
スライスシェア(小口化)
ex. ミニ株(単元未満株)
フリーミアムモデル
https://gyazo.com/3e9b843c1ebb075df81ebdb8f62e8b43
6. 戦略の最終チェックを行う
優れた戦略の条件に共通する3つの特徴→差別化・低コスト化マトリックス
メリハリ
高い独自性
訴求力のあるキャッチフレーズ
https://gyazo.com/df8bce573e6981641d3b8606a3ec10c7
バリューイノベーションを実現するための「4つのアクション」
取り除く
当たり前のように製品やサービスに付加されるもののうち、取り除いても顧客の利用に影響がないものはないか?
減らす
当たり前のように製品やサービスに付加されるもののうち、思い切って減らしても顧客の利用に影響がないものはないか?
増やす
業界標準とされている水準から大幅に増やす必要があるものはないか
付け加える
業界で提供されていなかったが、付け加えることで顧客にとっての価値が向上するものはないか
→これらを整理するツールとして、「アクション・マトリックス」が存在
https://gyazo.com/38f96c3e59241d1d5b3a0783eba4c01c
ブルー・オーシャン・アイディア・インデックス(BOIインデックス)
以下の4つの項目において、新たにたてた戦略が条件を満たしているかを確認するもの
効用
新しい製品・サービスは、これまでの製品と比べ物にならない効用を実現しているか
価格
多くの人の需要を喚起するに値する価格か
コスト
価格設定から十分な収益をあげられる目標コストを達成できるか
導入
導入の障害となるものを予測し、事前に対処できているか?
7. アクションプランを作成し、確実に実行に移す
ティッピング・ポイント・リーダーシップが必要
組織の中で変革に対する信念を持つ人を増やす
→一定人数に達すると組織全体に新しい考えが広まっていく
フェアプロセスが鍵を握る
中間管理職含む全従業員の「手続きの公平性」を保つ
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