滴シリーズの展開
滴シリーズの展開(テーマ変遷)
ダイジェスト
日常や身近な現実(塵)を見つめることで、まず自分の心と向き合う。
→ 出発点:修行や覚醒の芽生え。小さな気づきから始まる。
内面の光や響きを、宇宙や世界と結びつけて考える。
→ 展開:自己中心から世界観・宇宙観の広がりへ。
智慧や慈悲を「宝」として形にし、理想的な行いを描く。
→ 深化:学びや修行の成果が表現され、理念化される。
禅や密教、現代的なことばを取り込み、悟りに直結する行為と表現を追究。
→ 実践:抽象や理想だけでなく、現実の行動や思索に落とし込む。
シリーズの出発点。塵のごとき微細な気づきや法の片鱗を詠い、後続の巻への基礎を築く。 命が尽きるのと悟るのがどちらが先かという切実な問い(照滴003)。 真理が遠方ではなく「五尺のこの身」にあるという観照(照滴026)。 心が清ければ浄土と穢土が浄土を区別して見ないという歌(宝滴004)。
煩悩(貪瞋痴)が「小」なれば煩悩だが「大」なれば悟りであるという逆説(宝滴026)。
自己が仏の真似をするのではなく、仏が我れの真似をするという対等な境地(宝滴017)。 全ての現象が自己の心から生じるという「唯心所造」の境地(露滴107)。
自己の仏性を肯定する最終宣言「有難き命なりけり」(露滴084)。
シリーズは「露滴」で一区切りを迎えるかもしれないが、歌作自体は尽きることなく続く。 一滴の詩が波紋のように広がり、読者それぞれの内面に大海を映すことを意図している。
総括の結論_嵯峨