6.情愛・人間関係
#目次
激しい恋(ひとめぼれ)の衝動
滴塵007 半鐘を連打するなり君の瞳(め)に 射られし我れの心の臓かな
強烈な愛(両想い)の衝動
滴塵008 金剛の箭(や)もて貫け我が心(むね)を 杵(しょ)もて貫く君の蓮華を
恋の終わり
滴塵011 風吹かばうち捨てらるる扇かも 秋が来ぬとは思わぬものを
あなたはもういないのに
滴塵014 頬伝う涙拭う手無きものを 有りやと思ほゆ身こそ悲しき
雨音はショパンの調べ
滴塵016 君待ちて独り寝(ぬ)る夜の明けぬれば ショパンの調べか雨音を聴く
妙滴清浄、菩薩の快楽
滴塵027 君と我れ二つの別なく溶けあいて 妙滴清浄菩薩の快楽(けらく)
花散らす雨夜の独り寝
滴塵028 咲き初めの花散らす雨君思い 独り寝る夜のしじまを破る
与えることが得ること
照滴004 優しさを求めてみれば遠いかな 与えよこれが得ることぞかし
愛は求めるものではない
照滴004 優しさを求めてみれば遠いかな 与えよこれが得ることぞかし
失った恋は美しい
照滴006 思い出をなぞりてみれば胸痛し 永遠(とわ)に美し失いし恋
渇愛。愛すれば愛するほど渇く
照滴010 愛しめば愛しむほどに苦しきは 何故なのか わずらわしきかな
孤独。無関心のつらさ
照滴018 愛されず愛さぬ道のあじけなさ 恨まれ恨む人ぞ羨まし
分かっていたけど分からなかったの
照滴019 人知れず流す涙の冷たさよ 分かっていたけど分からなかったの
目を閉じていて
照滴024 少しだけ目を閉じていてあなたには 弱い自分を見せたくないの
私だけには、見せていいよ
照滴025 見せなさい私だけにはその涙 露を含んだ華ぞ愛しき
紫陽花のような世間の言葉
照滴032 うたてやな人の言の葉頼みにき 変はらざらんや紫陽花の色
君のためならどこまでも
照滴037 天翔ける翼はあらで ぬばたまの黄泉まで行かむ 君がためなら
美しい言葉を使いたい
照滴040 美玉かと紛う言の葉紡ぎだす 君の魂やどす容れもの
慈雨の潤い
照滴041 君想ひ夜半に見る月 朧月 猛る心を霑せ慈雨よ
早春の宵、月の出と君を待つ
照滴045 春の夜の薫る帳の裡寒く 待つや月の出君の訪い
弱りゆく虫の声
照滴064 長々し夜は弱りゆく虫の声を  冷たき枕に顔を埋め聞く
信じちゃダメよ、あの日の私!
照滴065 うたてやな関越ゆ人は紫陽花の 色な信じそあの日の私
待ち人来らず
照滴066 松浦の待つ人来ぬと嘆きつつ 恨みつ恋ひしあだし君かな
胸の痛い朝
照滴067 眠れずに迎える朝の胸痛し 零れる涙の知る人ぞ無し
一夜の報い
照滴068 忘られぬ一夜の夢の報いかな 眠れぬ長夜を千度重ぬは
椿のような刹那の恋
照滴070 紅の炎(ほむら)立つなり八重椿 刹那の恋に身をば焦がしつ
君の面影
照滴071 物憂げに空に浮かぶは夜半の月 心に浮かぶは君の面影
悲しみの底の君に寄り添う
照滴072 ぬばたまの暗き八尋のわだつみの 底に沈みて君に寄り添う
遠いなあ
照滴074 天かける鳥船漕ぎて思ふべし 君と我とは星より遠しと
無くなってしまいたいけど、そうもいかない
照滴075 寄る辺なく漂ふ我れを砕かむと 探す巌ぞ宛てなくかなし
いずい
照滴077 もう顔も覚えていないあの人が 澱(おど)みとなりていずいのしゃ だれ