薄紅の色懐かしむ暇なく 散り果ててなお緑まばゆし
滴塵024
本文
要点
桜の薄紅が散っても、緑がまぶしく残る自然の移ろいを詠む。 現代語訳
薄紅色の桜を懐かしむ暇もなく、花は散り果て、緑がまばゆく輝く。 注釈
緑まばゆし:桜の葉が茂り、緑がまぶしく輝いている。新緑の力強い生命力。 桜の散る様子と新緑の眩しさの対比。
桜:無常の象徴。
解説
深掘り_嵯峨
滴塵022・023で描かれた無常の悲しみから、一歩踏み出した境地を描いています。桜が散るという「死」の悲哀に浸る間もなく、「緑まばゆし」という次の生(生命力)が力強く現れている、という生命のダイナミズムを捉えています。