蓮葉(はちすば)に置ける玉露(たまつゆ)清らかに 曇りなき月の影をば宿す
滴塵035
本文
蓮葉(はちすば)に置ける玉露(たまつゆ)清らかに 曇りなき月の影をば宿す
形式 #短歌
カテゴリ #5.自然・風景
ラベル #月 #蓮華 #光 #自然現象 #清浄
キーワード #玉露 #蓮葉 #月影 #清らか #反射
要点
蓮葉に溜まった露が月影を宿し、清らかさを示す自然描写。
現代語訳
蓮の葉にたまった玉露は清らかで、曇りなき月の影を映している。
注釈
蓮葉(はちすば): 清浄、あるいは人間の清らかな心のメタファー。
玉露:朝露、水滴。儚いものの象徴。真珠のように丸く清らかな露。
曇りなき月:雲や塵に遮られていない満月の光。仏性、真理のメタファー。
解説
自然の静かな美と清浄さを象徴的に表現。月影を宿す玉露は、精神的清浄や悟りのイメージにも重なる。自然観察と精神性が融合した描写。
深掘り_嵯峨
滴塵001、003、020などに見られる「心の清浄と真理」のテーマを、蓮と露という美しいモチーフで描いた歌です。
露は、蓮葉という清らかな「器」(心)の上にある時、初めて「曇りなき月の影」(真理)を完全に映し出すことができます。露(人間の理性や知恵)が、蓮葉(清浄な心)に支えられて初めて、完全な真理を「宿す」ことができるという、悟りのプロセスを示唆しています。
これは、清浄な心があって初めて、真理は正しく理解され、受け入れられるという、求道の基本姿勢を象徴しています。