蓮葉(はちすば)はまだ夏ながら繁れるに 風に従い舞う蜻蛉(あきず)かな
滴塵034
本文
蓮葉(はちすば)はまだ夏ながら繁れるに 風に従い舞う蜻蛉(あきず)かな
形式 #短歌
カテゴリ #5.自然・風景
ラベル #風 #夏 #虫 #蓮華 #自然現象
キーワード #蓮葉 #蜻蛉 #夏 #風 #自然
要点
夏から秋への移り変わり。蓮葉の上で蜻蛉が風に舞う自然描写。
現代語訳
夏の蓮葉は繁っているが、もう秋風に従って蜻蛉が舞っている。
注釈
蓮葉:蓮の葉、夏の水辺の象徴。仏教において清浄の象徴である蓮の葉。
まだ夏ながら:季節はまだ夏。
蜻蛉:自然の微細な生命、風との調和。秋。
解説
自然の微細な動きを観察し、夏から秋への情景を生き生きと描く短歌。蜻蛉の舞いが風と共鳴する様子から、自然の調和や儚さを意識させる。
深掘り_嵯峨
季節の移ろいの微細な兆候を捉えた、自然観察に基づく歌です。清浄な蓮が茂る夏の風景の中に、もう「秋」を連想させる蜻蛉が舞っています。
この歌は、無常が突然訪れるのではなく、着実に進行していることを、季節をまたぐ生物の姿から感じ取っています。「まだ夏」という安寧の中で、既に「秋」(無常や衰え)が始まっているという時間の流れの認識が、深い詩情を生み出しています。